私が私である為に
1.雨が好き
私が生まれたのは梅雨。
サクラマチ病院という場所で大雨の酷い夜中にお産が始まり、夜明けの雨上がりに生まれたそうだ。母が好きだった雑誌から、夏の陽に透ける若葉から、太陽も月も自然も全部味方につけて元気で明るい子に育つようにと萌と命名された。
私には一つ半上の姉がいる。メリハリと正義感の塊のような父と度を越して天然といえるような母。
これが私の家族構成、至って一般的だと思う。
私自身に幼少期の記憶はほぼないと言って間違いない。
ただ断片的なのは父の怒声と物の壊れる音、その都度時に警察を呼び、時に私や姉を連れて家を飛び出す母、両親がそうなる時はいつも決まって絵本を読んだり楽しいお話を聞かせてくれる姉、母が家を飛び出す時は大体決まって唯一の親族の祖母の家
祖母は私達姉妹を可愛がってくれていたが、母とはよく喧嘩しているように思えた。
そうしてタバコを吸う母の機嫌が悪くなるとガラスを割り、祖母に罵声を浴びせ追い出したかと思えば祖母の私物を物色しては母は勝手に売りさばいていた。
幼少期は母がどんな気持ちでどんな病気でそんな風なのか理解できなかった。
大きくなって知った、私の母は重度の統合失調症だと。
そんな母の事があったせいだろうか、父は私達姉妹がそれぞれ精神に重い疾患を患っていると話した所で「やめてくれ」の一言で受け入れてはくれない。
そんな私の幼少期は雨の日が好きだった。
父や母の怒声が怖かった私には雷雨は子守唄の様に響いた。
タバコの匂いで充満し手濁った家の中の空気は苦しく、そっと窓辺に顔を寄せて深呼吸をすれば湿った土の匂いもアスファルトの濡れた匂いも心地よく感じた。
雨の日は部屋の中が薄暗くなって、機嫌の悪い母に八つ当たりされないように気配を殺し、息を殺し、そうして過ごすのがとても楽だった。
だから私は雨が好き。
サクラマチ病院という場所で大雨の酷い夜中にお産が始まり、夜明けの雨上がりに生まれたそうだ。母が好きだった雑誌から、夏の陽に透ける若葉から、太陽も月も自然も全部味方につけて元気で明るい子に育つようにと萌と命名された。
私には一つ半上の姉がいる。メリハリと正義感の塊のような父と度を越して天然といえるような母。
これが私の家族構成、至って一般的だと思う。
私自身に幼少期の記憶はほぼないと言って間違いない。
ただ断片的なのは父の怒声と物の壊れる音、その都度時に警察を呼び、時に私や姉を連れて家を飛び出す母、両親がそうなる時はいつも決まって絵本を読んだり楽しいお話を聞かせてくれる姉、母が家を飛び出す時は大体決まって唯一の親族の祖母の家
祖母は私達姉妹を可愛がってくれていたが、母とはよく喧嘩しているように思えた。
そうしてタバコを吸う母の機嫌が悪くなるとガラスを割り、祖母に罵声を浴びせ追い出したかと思えば祖母の私物を物色しては母は勝手に売りさばいていた。
幼少期は母がどんな気持ちでどんな病気でそんな風なのか理解できなかった。
大きくなって知った、私の母は重度の統合失調症だと。
そんな母の事があったせいだろうか、父は私達姉妹がそれぞれ精神に重い疾患を患っていると話した所で「やめてくれ」の一言で受け入れてはくれない。
そんな私の幼少期は雨の日が好きだった。
父や母の怒声が怖かった私には雷雨は子守唄の様に響いた。
タバコの匂いで充満し手濁った家の中の空気は苦しく、そっと窓辺に顔を寄せて深呼吸をすれば湿った土の匂いもアスファルトの濡れた匂いも心地よく感じた。
雨の日は部屋の中が薄暗くなって、機嫌の悪い母に八つ当たりされないように気配を殺し、息を殺し、そうして過ごすのがとても楽だった。
だから私は雨が好き。

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