強さがすべての魔法学園の最下位クズ貴族に転生した俺、死にたくないからゲーム知識でランキング1位を目指したら、なぜか最強ハーレムの主となっていた!
11話。父親から、我が家の誇りだと言われる
「ちょっと恥ずかしいけど。恋人ならキスくらいは、するよね? アルバン様たちに、私たちがいかに愛し合っているか見てもらおうよ」
な、なぜ、セリカはここまで積極的なんだ?
俺は生唾を飲み込みながらも、セリカ関連のゲームシナリオを思い出した。
ゲームでのセリカは、幼いころの境遇から他人を信じられなくなっていた。
その反動で、自分の味方になってくれると信頼した人間、勇者アレンのことを一途に好きになるのだ。
ソレはもうゾッコンに。
つ、つまり、今、俺は意外なことにセリカの恋人、勇者アレンのポジションにいるということか?
俺のことが大嫌いなセリカが、デレてくるなんて、思いもしなかった。
「……セリカ、今はまだダメだ」
「えっ?」
俺が拒絶すると、セリカは心底意外そうな顔をした。
おそらく、セリカはまだ俺のことを完全に信用しきれておらず、周囲に俺と恋人であることをアピールし、俺との絆を深めれば、俺が裏切りにくくなると思っているのだろう。
勇者アレンと違って、俺が性急に距離を詰め過ぎてしまったが故の結果だと思う。
うれしい気持ちはあるが、それは愛とは呼べないじゃないか。
「その通り、絶対にダメです! まだ正式な婚約者でないならキスするなんて、この私が許しません!」
「ちょ!? エレナ!?」
エレナがセリカを羽交い締めにして、俺から無理矢理引き剥がした。
おっ、ナイスだぞ、我が妹よ。
「す、少し待てヴァイスよ。話が見えぬのだが、つまり……お前が王女殿下を襲った魔族を倒し、その褒美として、王女殿下の恋人の座を望んだということなのか?」
父上が、非常に困惑した様子で口を挟んできた。
「うん、その通りよアルバン様!」
俺より先にセリカが応えた。
いや、前半はともかく後半は誤解なんだが……
「ま、まさか……! 【ステータス隠蔽】を解くと言ったな!? 【アナライズ】!」
再度、俺に【アナライズ】を使った父上の顔が、見る見る驚きに満ちた。
「レベル10! し、しかも上位クラス【マスターシーフ】だとぉおおおッ!?」
「えっ!? まさかヴァイス兄様は、上位クラスにクラスチェンジされたのですか!?」
「すごい! 騎士学園の教師並みの実力じゃない!?」
エレナとセリカも、あ然としている。
「だが、な、なんだ、この【速度】偏重のステータスは……!? いかに我がシルフィード伯爵家が【速度】を重視する家系とはいえ……!」
「これは俺のユニークスキル【超重量】を活かすためのビルドです。我が家の家訓にもある通り、一番重要なステータスは、『速度』ですよ父上。『防御』などは回避率を極限まで高めれば、実は捨てても良く、【超重量】を使えば『筋力』が低くてもインファイトで敵を一撃必倒できます」
「な、なに……?」
「キャラの特徴を考慮しないバランスの良いステ振りなど、俺に言わせれば使えないキャラを生みだす愚策です。これこそ、最適のステ振りです」
「そ、そんな……兄様は騎士学園の教えが間違っているとおっしゃるのですか!?」
ゲームのうんちくを語りだすと、気分が良くなって、ついペラペラしゃべってしまった。
父上とエレナが俺の解説に舌を巻いていた。
「そうだ。自分のユニークスキルの強みを知って、それを最大限活かすようにステ振りとスキル構成を考えるのが、最善のビルドなんだ。エレナなら『速度』と『幸運』を中心に振って、回避能力を高めつつ、手数の多さとクリティカルヒットで敵を倒すビルドが最も強くなれる道だな。『筋力』と『防御』は捨てて良い」
「な、なるほど!」
エレナは目からウロコが落ちた様子だった。
「待て、【超重量】だと!? そ、それは、単に身体が重くなるだけの外れスキルだったのではないのか!?」
「いえ、このスキルの真価は、『俺の身体に触れた物体を重くすること』です。俺はこの力で、魔族を倒したんです」
「うん、小石を風魔法で飛ばして、ガロンを穴だらけにしちゃったんだよね!」
「なんですと!?」
父上が息を飲んだ。
「このスキルは、攻撃力を上げる以外にもこのような使い方もできます」
ここは、論より証拠だろう。
俺は父上の腰の剣に触れた。同時に、剣の重量を1000倍にする。
「【超重量】発動!」
「なにぃ!? 剣が!?」
父上は突如、2トン近くになった剣の重さに耐えきれず、尻もちをついた。
「お父様!?」
エレナも仰天している。
体幹を鍛え抜いた父上が、バランスを崩して転ぶなど、有り得ないことだった。
「このように、敵の装備を重くするデバフとしても使えます。2トン近い重さの剣を振り回すなんて、どんな剣士でも不可能です。鎧に触れれば、敵を圧死させられます」
「【超重量】は、こんな使い方もできるんだね! アルバン様に通用するなら、どんな相手にだって通用するわ!」
セリカは興奮気味になっている。
そう、この応用範囲の広さこそ、【超重量】の最大の魅力だ。
「速度を活かして敵に触れた時点で、ほぼ勝負が決まります。俺が速度を重視した最大の理由がこれです。身体を加速させる風魔法との相性もバッチリです!」
「わ、私の【剣聖】などより、よっぽどスゴイじゃありませんか!? さすがはヴァイス兄様です!」
「……こ、これは想像以上のスキルではないか! まさか、外れスキルと見限った【超重量】が、こ、これほどのモノだったとは!?」
父上は興奮に声を震わせた。
「この力で魔族を倒し、王女殿下をお救いしたとは……! ヴァイスよ。お前は、シルフィード伯爵家の誇りだ!」
父上は剣を捨てると、ぐわしと俺の肩を掴んだ。その身は感動で震えている。
俺のことを外れスキル持ちのクズ呼ばわりしていたのに、なんとも調子の良い父親だった。
だが、父上がこの国トップの騎士であるのは、事実。利用できるモノは、何でも利用して強くならねば。俺はすかさず頼み込んだ。
「では父上、今後、俺に体術と風魔法の指導していただけませんか?」
能力値は、レベルアップだけでなく、日々の地道な訓練によっても上昇させていくことができる。
なにより、【超重量】使いの俺にとって、体術と風魔法は、強くなるための必須科目だ。
「特に最優先で教えて欲しいのが、【空気抵抗ゼロ】です」
「なに? 【空気抵抗ゼロ】だと。風魔法の奥義ではないか!?」
父上は瞠目した。
俺の【超重量】のポテンシャルを最大限に発揮するために必要不可欠なのが、風魔法【空気抵抗ゼロ】だ。
これを手に入れられれば、一気に最強への道が開ける。
「さっそく、今夜から修行をつけていただけないでしょうか? 2週間以内にモノにしてみせます!」
「なんと、その心意気やよし! 昔のようにワシが修行をつけてやろう。見事、【栄光なる席次】1位となって、王女殿下の正式な婚約者となる栄光を掴み取って見せよ!」
「はい!」
よし、これで破滅回避にまた一歩前進だな。
これから始まる戦いを前にして、悠長なことはしていられない。最短で強くなってみせるんだ。
「もっとも【栄光なる席次】1位は、単なる通過点。俺の最大目標は、大魔族ジセルの討伐です」
俺は高らかに宣言した。そのつもりで、修行をつけてもらいたいからな。
「な、なにぃ!? かの【七公爵】の1人、【傾国】を!?」
「す、すごいです兄様! なんと高いお志!」
「そうよ、ふたりとも。ヴァイス君は真の英雄になれる人なのよ!」
その場の全員が、俺を尊敬の眼差しで見つめた。
えっ、いや、まあ、志が高い訳じゃなくて、そうしうないと、破滅するからなんだけどね。
な、なぜ、セリカはここまで積極的なんだ?
俺は生唾を飲み込みながらも、セリカ関連のゲームシナリオを思い出した。
ゲームでのセリカは、幼いころの境遇から他人を信じられなくなっていた。
その反動で、自分の味方になってくれると信頼した人間、勇者アレンのことを一途に好きになるのだ。
ソレはもうゾッコンに。
つ、つまり、今、俺は意外なことにセリカの恋人、勇者アレンのポジションにいるということか?
俺のことが大嫌いなセリカが、デレてくるなんて、思いもしなかった。
「……セリカ、今はまだダメだ」
「えっ?」
俺が拒絶すると、セリカは心底意外そうな顔をした。
おそらく、セリカはまだ俺のことを完全に信用しきれておらず、周囲に俺と恋人であることをアピールし、俺との絆を深めれば、俺が裏切りにくくなると思っているのだろう。
勇者アレンと違って、俺が性急に距離を詰め過ぎてしまったが故の結果だと思う。
うれしい気持ちはあるが、それは愛とは呼べないじゃないか。
「その通り、絶対にダメです! まだ正式な婚約者でないならキスするなんて、この私が許しません!」
「ちょ!? エレナ!?」
エレナがセリカを羽交い締めにして、俺から無理矢理引き剥がした。
おっ、ナイスだぞ、我が妹よ。
「す、少し待てヴァイスよ。話が見えぬのだが、つまり……お前が王女殿下を襲った魔族を倒し、その褒美として、王女殿下の恋人の座を望んだということなのか?」
父上が、非常に困惑した様子で口を挟んできた。
「うん、その通りよアルバン様!」
俺より先にセリカが応えた。
いや、前半はともかく後半は誤解なんだが……
「ま、まさか……! 【ステータス隠蔽】を解くと言ったな!? 【アナライズ】!」
再度、俺に【アナライズ】を使った父上の顔が、見る見る驚きに満ちた。
「レベル10! し、しかも上位クラス【マスターシーフ】だとぉおおおッ!?」
「えっ!? まさかヴァイス兄様は、上位クラスにクラスチェンジされたのですか!?」
「すごい! 騎士学園の教師並みの実力じゃない!?」
エレナとセリカも、あ然としている。
「だが、な、なんだ、この【速度】偏重のステータスは……!? いかに我がシルフィード伯爵家が【速度】を重視する家系とはいえ……!」
「これは俺のユニークスキル【超重量】を活かすためのビルドです。我が家の家訓にもある通り、一番重要なステータスは、『速度』ですよ父上。『防御』などは回避率を極限まで高めれば、実は捨てても良く、【超重量】を使えば『筋力』が低くてもインファイトで敵を一撃必倒できます」
「な、なに……?」
「キャラの特徴を考慮しないバランスの良いステ振りなど、俺に言わせれば使えないキャラを生みだす愚策です。これこそ、最適のステ振りです」
「そ、そんな……兄様は騎士学園の教えが間違っているとおっしゃるのですか!?」
ゲームのうんちくを語りだすと、気分が良くなって、ついペラペラしゃべってしまった。
父上とエレナが俺の解説に舌を巻いていた。
「そうだ。自分のユニークスキルの強みを知って、それを最大限活かすようにステ振りとスキル構成を考えるのが、最善のビルドなんだ。エレナなら『速度』と『幸運』を中心に振って、回避能力を高めつつ、手数の多さとクリティカルヒットで敵を倒すビルドが最も強くなれる道だな。『筋力』と『防御』は捨てて良い」
「な、なるほど!」
エレナは目からウロコが落ちた様子だった。
「待て、【超重量】だと!? そ、それは、単に身体が重くなるだけの外れスキルだったのではないのか!?」
「いえ、このスキルの真価は、『俺の身体に触れた物体を重くすること』です。俺はこの力で、魔族を倒したんです」
「うん、小石を風魔法で飛ばして、ガロンを穴だらけにしちゃったんだよね!」
「なんですと!?」
父上が息を飲んだ。
「このスキルは、攻撃力を上げる以外にもこのような使い方もできます」
ここは、論より証拠だろう。
俺は父上の腰の剣に触れた。同時に、剣の重量を1000倍にする。
「【超重量】発動!」
「なにぃ!? 剣が!?」
父上は突如、2トン近くになった剣の重さに耐えきれず、尻もちをついた。
「お父様!?」
エレナも仰天している。
体幹を鍛え抜いた父上が、バランスを崩して転ぶなど、有り得ないことだった。
「このように、敵の装備を重くするデバフとしても使えます。2トン近い重さの剣を振り回すなんて、どんな剣士でも不可能です。鎧に触れれば、敵を圧死させられます」
「【超重量】は、こんな使い方もできるんだね! アルバン様に通用するなら、どんな相手にだって通用するわ!」
セリカは興奮気味になっている。
そう、この応用範囲の広さこそ、【超重量】の最大の魅力だ。
「速度を活かして敵に触れた時点で、ほぼ勝負が決まります。俺が速度を重視した最大の理由がこれです。身体を加速させる風魔法との相性もバッチリです!」
「わ、私の【剣聖】などより、よっぽどスゴイじゃありませんか!? さすがはヴァイス兄様です!」
「……こ、これは想像以上のスキルではないか! まさか、外れスキルと見限った【超重量】が、こ、これほどのモノだったとは!?」
父上は興奮に声を震わせた。
「この力で魔族を倒し、王女殿下をお救いしたとは……! ヴァイスよ。お前は、シルフィード伯爵家の誇りだ!」
父上は剣を捨てると、ぐわしと俺の肩を掴んだ。その身は感動で震えている。
俺のことを外れスキル持ちのクズ呼ばわりしていたのに、なんとも調子の良い父親だった。
だが、父上がこの国トップの騎士であるのは、事実。利用できるモノは、何でも利用して強くならねば。俺はすかさず頼み込んだ。
「では父上、今後、俺に体術と風魔法の指導していただけませんか?」
能力値は、レベルアップだけでなく、日々の地道な訓練によっても上昇させていくことができる。
なにより、【超重量】使いの俺にとって、体術と風魔法は、強くなるための必須科目だ。
「特に最優先で教えて欲しいのが、【空気抵抗ゼロ】です」
「なに? 【空気抵抗ゼロ】だと。風魔法の奥義ではないか!?」
父上は瞠目した。
俺の【超重量】のポテンシャルを最大限に発揮するために必要不可欠なのが、風魔法【空気抵抗ゼロ】だ。
これを手に入れられれば、一気に最強への道が開ける。
「さっそく、今夜から修行をつけていただけないでしょうか? 2週間以内にモノにしてみせます!」
「なんと、その心意気やよし! 昔のようにワシが修行をつけてやろう。見事、【栄光なる席次】1位となって、王女殿下の正式な婚約者となる栄光を掴み取って見せよ!」
「はい!」
よし、これで破滅回避にまた一歩前進だな。
これから始まる戦いを前にして、悠長なことはしていられない。最短で強くなってみせるんだ。
「もっとも【栄光なる席次】1位は、単なる通過点。俺の最大目標は、大魔族ジセルの討伐です」
俺は高らかに宣言した。そのつもりで、修行をつけてもらいたいからな。
「な、なにぃ!? かの【七公爵】の1人、【傾国】を!?」
「す、すごいです兄様! なんと高いお志!」
「そうよ、ふたりとも。ヴァイス君は真の英雄になれる人なのよ!」
その場の全員が、俺を尊敬の眼差しで見つめた。
えっ、いや、まあ、志が高い訳じゃなくて、そうしうないと、破滅するからなんだけどね。
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