あれやこれや 5

ノベルバユーザー607660

毎月のこと

 月に1度は、弾丸日帰り帰郷。帰郷といっても実家にいるのはわずかな時間だ。
 朝イチの新幹線に乗り3時間弱。仕事の疲れでウトウトする。
 まだ母は地元の駅までひとりでなんとか来られる。
 待ち合わせして大学病院の付き添い。予約していても予定通りにはいかない。
 父の施設の面会は午後3時。それまでに戻れるといいが。
 母は実家にひとり暮らし。デイケアに通っている。もう家の風呂は使わない。使っている部屋はひと部屋だけ。食事は弁当を頼んでいる。
 父は介護施設だ。実家の近くだから、母は歩いて面会に行ける。いずれ、母も入ることになるのだろう。
 そのあと、実家に母を送り、家の点検、ゴミの片付け等。草むしりもしたいが時間的に無理だ。

 今日は、父の面会に私の従兄が来てくれる。年賀状だけの付き合いで、何十年も会っていないが。
 まだらボケの父がポツリと言ったのだ。
「ひょうきんなやつだった」

 父が会いたがっていると、ハガキを出した。従兄の家から施設まで車で2時間。来てくれると期待はしていなかったのだが、すぐに返事が来た。 
 従兄はもう退職しているので、こちらの都合に合わせて面会に来てくれる。奥さんも一緒に。
 従兄とは、父の実家で子どもの頃遊んだ記憶があるだけだ。
 子どもの頃は大勢の親戚が集まった。

 
 駅で3時に待ち合わせをした。こちらは少し遅れてしまったが。数十年ぶりに会ったが、互いにすぐにわかった。
 奥さんは初対面なのに、すぐに母と親しげに話していた。
 従兄の車で施設まで行った。私が欲しい車種だ。羨ましい。
 従兄はすでに退職し、健康のために早朝のアルバイトをしているという。夫婦の両親はすでに他界……羨ましい。
 今は夫婦でゴルフを楽しんでいる。優雅な老後だ。

 父は喜んだ。昔の話をし、つぎつぎ、兄弟姉妹の名を出した。皆、すでに亡くなったか施設だ。
 帰り際に従兄の奥さんがみやげを差し出した。 
 父には有名店の小型羊羹の詰め合わせ。
 母にも和菓子の詰め合わせ。
 こちらが礼をしなくてはならないのに、律儀な夫婦だ。
 従兄は家まで送ってくれた。奥さんは庭を褒めた。母が育てたクリスマスローズが繁殖している。奥さんはマンションのベランダで育てたが夏の暑さに溶けたそうだ。
 庭のある家を羨ましがった。
 いずれこの家も処分しなければならない。
 母が買い置きのハチミツをみやげに渡した。
 
 妻は実家に帰っている。義父が亡くなり義母も看取り状態だ。家で死にたい、なんてわがままを言うから、妻はもう2ヶ月も実家に泊まり込んでいる。
 それももう少しだろう。


【お題】 弾丸日帰り旅行

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