転生賢者は休みたい!
第18話
魔王の配下、アウグストゥスとの戦いを終えてから一年が経った。
だが一向に魔王が現れる気配はなかった。
魔物もめっきり見なくなり人々は魔物の存在も忘れ平和に過ごしていた。
そして俺はというと、
「ゼットー! わたしの服どこにやったのよ!」
「ゼットく~ん、ゴキブリが出ました~!」
「ゼットさん、紅茶のおかわりお願いします」
相も変わらずアテナとマリエルさんとネネに振り回されていた。
魔物がいなくなりギルドの依頼も激減したため俺たちの仕事はなくなった。
そこでもともと大きかった家をさらに増築して寮として人を住まわせることにしたのだった。
一ヵ月金貨五枚の良心設定だ。
そして俺はその寮の管理人という立場に収まった。
だが、
「管理人さーん、こっち来てっ」
ルナが俺を呼ぶ。
そうルナはロキと一緒にこの寮に住んでいるのだ。
しかも見知った顔はこの二人だけではなく、
「ゼットさんすみません。妹が絨毯にコーヒーをこぼしてしまいまして……」
「ゼット、ごめんなさい」
トゥーネットさんがメネットを連れて廊下に出てくる。
さらに、
「ゼットさま、わたくしに任せてください」
とマリーが雑巾を持ってきた。
ブラッドがそんなマリーの肩を抱き寄せる。
「きみがそんなことする必要ないって。ゼットに任しとけばいいんだよ」
それを見たゲイザーがブラッドを引きはがす。
「シスターの邪魔をするな」
はぁ……騒がしい連中だ。
うちに入寮しているのは知った顔ばかり。というのもみんなネネが誘ったらしい。
入ってくる金が増えるのはありがたいことだがこう毎日騒々しくてはかなわない。
魔物退治をしていた日々が懐かしい。
するとネネが、
「あっそういえば今日新しく入寮される方がもうじきいらっしゃるはずですよ」
紅茶のおかわりを飲みながら言う。
そういうことは前もって言っとけよな。
ピンポーン。
「来ましたよ」
「わかってる」
俺は玄関に向かうとチャイムを押した人間がもうすでにドアを開けて中に入っていた。
「よっゼット。これからよろしく頼むぜっ」
ギギトがそこに立っていた。
「おまえ盗賊だろ、なんでうちに住むんだよ」
「そっちのでかいねえちゃんが住め住めって言うもんでよう。まあゼットがいるならいっかと思ってな」
でかいねえちゃんってネネのことだな。
俺はネネを恨めし気に見たが俺の視線はおかまいなしで優雅に紅茶を飲んでいる。
「ねえ、こんなに人がいるんだしみんなでゲームしましょっ。そんで負けた人はとびっきりの罰をくらうこと、いいわねっ!」
アテナがまた妙なことを言いだした。
そんなの嫌に決まってるだ――
「おーいいね、面白そうじゃん」
「ちょっとこわいです~」
「私はゼットさんがやるならやります!」
みな口々に好き勝手なことを言いだす。
アテナが手を叩いて制す。
「はいはい、じゃまず始めは神経衰弱ね。ゼット、透視とかしたらマジで殺すからね!」
「……」
数分後、勝手に強制参加させられた俺は見事一位になった。下から数えてだがな。
「はい、ゼット罰ゲーム!」
楽しそうだなアテナ。
「ゼットへの罰は……わたしたちが知らない秘密を暴露することっ!」
ヒューとかキャーとかみんなが騒ぎ出す。
「実は虫が大嫌いとかつまんないこと言ったらもう一回だからねっ」
言おうと思っていたことを先に言われてしまった。
どうするか……うーん。
そうだな。うん。
ふっ、しょうがない。
とっておきの秘密を言ってやるか。
どういう反応をするだろうか。
つまんないと一蹴されるかもしれないし、驚かれるかもしれない。
まあでもこいつらになら。
ここまで誰にも言ってこなかった秘密を言ってもいいかもな。
じゃあ言うぞ。心して聞け。
「俺はな、実は別の世界から……」
だが一向に魔王が現れる気配はなかった。
魔物もめっきり見なくなり人々は魔物の存在も忘れ平和に過ごしていた。
そして俺はというと、
「ゼットー! わたしの服どこにやったのよ!」
「ゼットく~ん、ゴキブリが出ました~!」
「ゼットさん、紅茶のおかわりお願いします」
相も変わらずアテナとマリエルさんとネネに振り回されていた。
魔物がいなくなりギルドの依頼も激減したため俺たちの仕事はなくなった。
そこでもともと大きかった家をさらに増築して寮として人を住まわせることにしたのだった。
一ヵ月金貨五枚の良心設定だ。
そして俺はその寮の管理人という立場に収まった。
だが、
「管理人さーん、こっち来てっ」
ルナが俺を呼ぶ。
そうルナはロキと一緒にこの寮に住んでいるのだ。
しかも見知った顔はこの二人だけではなく、
「ゼットさんすみません。妹が絨毯にコーヒーをこぼしてしまいまして……」
「ゼット、ごめんなさい」
トゥーネットさんがメネットを連れて廊下に出てくる。
さらに、
「ゼットさま、わたくしに任せてください」
とマリーが雑巾を持ってきた。
ブラッドがそんなマリーの肩を抱き寄せる。
「きみがそんなことする必要ないって。ゼットに任しとけばいいんだよ」
それを見たゲイザーがブラッドを引きはがす。
「シスターの邪魔をするな」
はぁ……騒がしい連中だ。
うちに入寮しているのは知った顔ばかり。というのもみんなネネが誘ったらしい。
入ってくる金が増えるのはありがたいことだがこう毎日騒々しくてはかなわない。
魔物退治をしていた日々が懐かしい。
するとネネが、
「あっそういえば今日新しく入寮される方がもうじきいらっしゃるはずですよ」
紅茶のおかわりを飲みながら言う。
そういうことは前もって言っとけよな。
ピンポーン。
「来ましたよ」
「わかってる」
俺は玄関に向かうとチャイムを押した人間がもうすでにドアを開けて中に入っていた。
「よっゼット。これからよろしく頼むぜっ」
ギギトがそこに立っていた。
「おまえ盗賊だろ、なんでうちに住むんだよ」
「そっちのでかいねえちゃんが住め住めって言うもんでよう。まあゼットがいるならいっかと思ってな」
でかいねえちゃんってネネのことだな。
俺はネネを恨めし気に見たが俺の視線はおかまいなしで優雅に紅茶を飲んでいる。
「ねえ、こんなに人がいるんだしみんなでゲームしましょっ。そんで負けた人はとびっきりの罰をくらうこと、いいわねっ!」
アテナがまた妙なことを言いだした。
そんなの嫌に決まってるだ――
「おーいいね、面白そうじゃん」
「ちょっとこわいです~」
「私はゼットさんがやるならやります!」
みな口々に好き勝手なことを言いだす。
アテナが手を叩いて制す。
「はいはい、じゃまず始めは神経衰弱ね。ゼット、透視とかしたらマジで殺すからね!」
「……」
数分後、勝手に強制参加させられた俺は見事一位になった。下から数えてだがな。
「はい、ゼット罰ゲーム!」
楽しそうだなアテナ。
「ゼットへの罰は……わたしたちが知らない秘密を暴露することっ!」
ヒューとかキャーとかみんなが騒ぎ出す。
「実は虫が大嫌いとかつまんないこと言ったらもう一回だからねっ」
言おうと思っていたことを先に言われてしまった。
どうするか……うーん。
そうだな。うん。
ふっ、しょうがない。
とっておきの秘密を言ってやるか。
どういう反応をするだろうか。
つまんないと一蹴されるかもしれないし、驚かれるかもしれない。
まあでもこいつらになら。
ここまで誰にも言ってこなかった秘密を言ってもいいかもな。
じゃあ言うぞ。心して聞け。
「俺はな、実は別の世界から……」
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