エリート警察官の溺愛は甘く切ない
政略結婚③
ー あなたを守る事ができます。 -
帰り道、ぼーっとしながら頭の中で繰り返した言葉。
私、男の人に”守る”って言われたの、初めてかも。
でもそれって、警察官だから?
市民を守るって事と、同じ感覚?
それとも……私を女として、見てくれているの?
私は、地下鉄の窓に映る自分を、じーっと見た。
こんな私を、守ってくれるなんて。
胸の奥で、トクントクンと音が鳴る。
私、ドキドキしている。
これが恋になるのかな。
そう思うと、ふと笑顔になった。
家に着き、玄関のドアを開けた。
「どうだった?デートは。」
玄関の前に、母さんが立っていた。
「えっ?ずっと待ってたの?」
「当たり前じゃない!感想、聞かせて!」
頬に手を当て、ターンを決め込む母さんの方が、私よりも恋する乙女に見える。
「とりあえず、一旦休ませて。」
「はいはい。お茶、淹れるわね。」
そのままリビングのソファーに座って、じーっとテーブルを見た。
「はい、お茶。」
母さんが淹れてくれたお茶から、ゆらりと湯気が出る。
「どうしたの?黙って。」
母さんが私の隣に座る。
「ねえ、母さんは父さんが黙ったまま、何も話さなかった時は、どう思うの?」
「どう思うって、そうねえ。何も思わないわね。」
意外な言葉に、私は目が点になった。
「つまらない。何考えてんだろって、思わない?」
「結婚したての頃はね。そう思ってたわよ。でも、ずっと一緒にいるとね、そういう時間もあっていいと、思うのよ。」
ずっと一緒にいると。
少なくても私と圭也さんは、この前のお見合いで会ったばかりだ。
それなのに、黙っていても居心地がいいだなんて、思えない。
なのに……
またあの言葉を思い出して、胸がドキドキしてくる。
「何?もしかして、何もしゃべらなかったの?」
「うん。」
「ふふふ。初々しいわね。」
「初々しい?」
「緊張して、何も言葉が出てこなかったんでしょ。」
うーんと、私は考えた。
これがまだ高校生や、大学生だったら分かる。
けれど私達は、三十路を過ぎたいい歳した大人だ。
異性とデートするなんて、もう慣れているだろうに。
「じゃあ、紗良はつまらなかったの?」
「うん。つまらなかった。」
「それは残念だったわね。」
「残念……」
確かに残念だった。でも、私は今、前向きな気持ちでいる。
「でもね。それもいいなぁって、思ったの。」
「まあ。そう。」
母さんは、すごく喜んでいた。
そして帰って来た父さんに、その話をした。
父さんは喜んで、相手の一条さんの家に、このお話を受けたいと伝えた。
「えっ?断る?」
父さんは電話口で、驚いていた。
「ええ、圭也君がそう言っていたんですね。分かりました。」
電話を切った父さんは、ため息をついた。
「どうしたの?父さん。」
「結婚の話はなかったことにして欲しいと、圭也君から話があったそうだ。」
「えっ?」
私は立ち上がった。
ー あなたを守る事ができる -
あの言葉は、嘘だったの?
私は急いで、圭也さんに電話を架けた。
『はい。』
「紗良です。今、会ってお話することはできますか?」
『いいですよ。僕もそう思っていました。』
二人の気持ちは一緒で、近くのコーヒーショップで、待ち合わせをした。
私がお店に着いた時には、圭也さんはもう席に座っていた。
「すみません。遅くなって。」
「いいえ。僕も今、来たところですから。」
一緒にコーヒーを頼んで、一口飲んだ後、口を開いた。
「あのっ!」
「紗良さん。」
同時に話しかけて、ハッとなった。
「どうぞ、圭也さんから。」
「いいえ、紗良さんの方からどうぞ。」
私は息をゴクンと飲んだ。
「どうして、このお話、断ろうと思ったんですか?」
「えっ、紗良さん。この話、受けてくれるんですか?」
改めて言われると、何て答えたらいいか、分からない。
「この前、デートした時。紗良さん、乗り気ではないと思ったので。」
「いいえ。私は……」
圭也さんが、顔を上げた。
「私は、しゃべらなくても、圭也さんがいいと思いました。」
「紗良さん……」
ほんわかした空気が、二人の間を流れた。
「私の事、守るって言ったじゃないですか。」
「言いました。でもそれは、あくまで僕の気持ちです。」
「えっ?」
私の頭の上に、”?”マークが飛んだ。
「僕は、紗良さんの気持ちを無視できない。紗良さんが、僕の子供を産みたいと思ってくれないのなら、この話は……」
「ちょっと、誰が産みたくないって言いました?」
「えっ?」
今度は、圭也さんの頭の上に、”?”マークが飛んだ。
「紗良さん、僕の子供を産んでくれるんですか?」
その答えは、もっと気持ちを育んでからだと思っていた。
「……はい。できれば、その方向に持っていきたいと、思っています。」
「あは……ははは……」
圭也さんは、ズルっと体の力が抜けたようだ。
帰り道、ぼーっとしながら頭の中で繰り返した言葉。
私、男の人に”守る”って言われたの、初めてかも。
でもそれって、警察官だから?
市民を守るって事と、同じ感覚?
それとも……私を女として、見てくれているの?
私は、地下鉄の窓に映る自分を、じーっと見た。
こんな私を、守ってくれるなんて。
胸の奥で、トクントクンと音が鳴る。
私、ドキドキしている。
これが恋になるのかな。
そう思うと、ふと笑顔になった。
家に着き、玄関のドアを開けた。
「どうだった?デートは。」
玄関の前に、母さんが立っていた。
「えっ?ずっと待ってたの?」
「当たり前じゃない!感想、聞かせて!」
頬に手を当て、ターンを決め込む母さんの方が、私よりも恋する乙女に見える。
「とりあえず、一旦休ませて。」
「はいはい。お茶、淹れるわね。」
そのままリビングのソファーに座って、じーっとテーブルを見た。
「はい、お茶。」
母さんが淹れてくれたお茶から、ゆらりと湯気が出る。
「どうしたの?黙って。」
母さんが私の隣に座る。
「ねえ、母さんは父さんが黙ったまま、何も話さなかった時は、どう思うの?」
「どう思うって、そうねえ。何も思わないわね。」
意外な言葉に、私は目が点になった。
「つまらない。何考えてんだろって、思わない?」
「結婚したての頃はね。そう思ってたわよ。でも、ずっと一緒にいるとね、そういう時間もあっていいと、思うのよ。」
ずっと一緒にいると。
少なくても私と圭也さんは、この前のお見合いで会ったばかりだ。
それなのに、黙っていても居心地がいいだなんて、思えない。
なのに……
またあの言葉を思い出して、胸がドキドキしてくる。
「何?もしかして、何もしゃべらなかったの?」
「うん。」
「ふふふ。初々しいわね。」
「初々しい?」
「緊張して、何も言葉が出てこなかったんでしょ。」
うーんと、私は考えた。
これがまだ高校生や、大学生だったら分かる。
けれど私達は、三十路を過ぎたいい歳した大人だ。
異性とデートするなんて、もう慣れているだろうに。
「じゃあ、紗良はつまらなかったの?」
「うん。つまらなかった。」
「それは残念だったわね。」
「残念……」
確かに残念だった。でも、私は今、前向きな気持ちでいる。
「でもね。それもいいなぁって、思ったの。」
「まあ。そう。」
母さんは、すごく喜んでいた。
そして帰って来た父さんに、その話をした。
父さんは喜んで、相手の一条さんの家に、このお話を受けたいと伝えた。
「えっ?断る?」
父さんは電話口で、驚いていた。
「ええ、圭也君がそう言っていたんですね。分かりました。」
電話を切った父さんは、ため息をついた。
「どうしたの?父さん。」
「結婚の話はなかったことにして欲しいと、圭也君から話があったそうだ。」
「えっ?」
私は立ち上がった。
ー あなたを守る事ができる -
あの言葉は、嘘だったの?
私は急いで、圭也さんに電話を架けた。
『はい。』
「紗良です。今、会ってお話することはできますか?」
『いいですよ。僕もそう思っていました。』
二人の気持ちは一緒で、近くのコーヒーショップで、待ち合わせをした。
私がお店に着いた時には、圭也さんはもう席に座っていた。
「すみません。遅くなって。」
「いいえ。僕も今、来たところですから。」
一緒にコーヒーを頼んで、一口飲んだ後、口を開いた。
「あのっ!」
「紗良さん。」
同時に話しかけて、ハッとなった。
「どうぞ、圭也さんから。」
「いいえ、紗良さんの方からどうぞ。」
私は息をゴクンと飲んだ。
「どうして、このお話、断ろうと思ったんですか?」
「えっ、紗良さん。この話、受けてくれるんですか?」
改めて言われると、何て答えたらいいか、分からない。
「この前、デートした時。紗良さん、乗り気ではないと思ったので。」
「いいえ。私は……」
圭也さんが、顔を上げた。
「私は、しゃべらなくても、圭也さんがいいと思いました。」
「紗良さん……」
ほんわかした空気が、二人の間を流れた。
「私の事、守るって言ったじゃないですか。」
「言いました。でもそれは、あくまで僕の気持ちです。」
「えっ?」
私の頭の上に、”?”マークが飛んだ。
「僕は、紗良さんの気持ちを無視できない。紗良さんが、僕の子供を産みたいと思ってくれないのなら、この話は……」
「ちょっと、誰が産みたくないって言いました?」
「えっ?」
今度は、圭也さんの頭の上に、”?”マークが飛んだ。
「紗良さん、僕の子供を産んでくれるんですか?」
その答えは、もっと気持ちを育んでからだと思っていた。
「……はい。できれば、その方向に持っていきたいと、思っています。」
「あは……ははは……」
圭也さんは、ズルっと体の力が抜けたようだ。
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