宝くじが当たったら、夫に殺されました。
20.私にはあなたしかいない。
「もう、離婚するのに私を再教育しようとするのはなぜなの?」
泣きたい気持ちなのに恐怖で涙が出てこない。
それか、脳に障害が残ってしまっていて涙が出せないのかもしれない。
「俺がそれだけお前を気に入ってやってるってことだよ。俺はお前と離婚する気はないんだ。鈴木菜々子はダメだ。俺を慕っているから相手をしてやったが、俺の子を妊娠しているとか嘘吹いてきてやがった」
私は混乱していた。
鈴木さんの妊娠が嘘だと彼が言い切るのがなぜか分からない。
しかし、私は婦人科系で引っかかったことがなく自分が不妊の原因ではないとどこかで思っていた。
だから、私の記憶と思考により作られた世界で、私は孕ったのだろう。
「もしかして、博貴に不妊の原因があったの?」
私は彼の機嫌を損ねるのが怖いと思いつつも、恐る恐る尋ねた。
「ちげーよ。お前が子種だけを目的に俺に抱かれようとするから、わざわざパイプカットしたんじゃねーか。前は俺のこと好きで堪らないって感じで、求めてきたくせによ。お前が排卵日以外、疲れたふりして寝ているのはバレバレなんだよ」
博貴がベッドの上に突然乗っかってきた。そして、寝転がっている私のお腹を力強く踏みつける。
今まで身体的に暴力を振られたことはなかったが、今日の博貴は迷いなく私に乱暴してくる。
そして、こんなに乱暴な言葉使いをする彼を見るのも初めてだ。
(今の彼は、私が憎くて仕方がないんだ⋯⋯彼が求めている私を演じれば乱暴されないかも)
「私が、間違っていたよ。私は、どうしたら良いの? 私には博貴しかいないって分かったから。何でも言うこと聞くから、もう許してよ」
安全性の確認できていないものを、脳神経に繋がれていたからか自分の体を自由に動かせない。
声を出すのさえも辛い。
このまま暴力を振られるのが怖くて、私は彼が好む従順だった新入社員時代の私を演じた。
社会人になりたてで上手いこと受けこたえができなくて、ひたすらに彼の顔色を伺っていた頃の私だ。
「亜香里、違うんだよ。俺はただ一途に俺のことを思っていたお前に戻って欲しいんだ。俺も、そんなお前を愛したいと思っている」
博貴は急に優しい声色を使い、私の頬を撫でながら額にキスしてきた。
寒気と嫌悪感でいっぱいになる。
何で、こんな自己愛の塊のような男と結婚してしまったのか。
結婚したからには、離婚せず添い遂げなければならないと彼に固執してしまった自分が間違っていた。
(もっと早くに彼を捨てればよかった⋯⋯)
普段の私なら嫌悪感が顔に出てしまうが、怪しい商品の後遺症か麻痺して表情を変えずにすんでそうだ。
「亜香里、本当に君だけを愛してる。亜香里は今、俺にどうして欲しい?」
博貴が私の顔中にキスを落としてくる。
私は顔中にナメクジが張っているような気持ち悪さを感じた。
(もう、本当に彼のことが生理的に無理だ⋯⋯)
それでも動けぬ体で、彼にされるがままになるしかない。
私は消え入りそうな声で、彼に懇願した。
(彼の望む言葉を言わなきゃ! 殺される!)
「抱いて。博貴⋯⋯たくさん、愛して。やっと、分かったの私にはあなたしかいないって」
私の言葉に博貴は満足そうに微笑んだ。
泣きたい気持ちなのに恐怖で涙が出てこない。
それか、脳に障害が残ってしまっていて涙が出せないのかもしれない。
「俺がそれだけお前を気に入ってやってるってことだよ。俺はお前と離婚する気はないんだ。鈴木菜々子はダメだ。俺を慕っているから相手をしてやったが、俺の子を妊娠しているとか嘘吹いてきてやがった」
私は混乱していた。
鈴木さんの妊娠が嘘だと彼が言い切るのがなぜか分からない。
しかし、私は婦人科系で引っかかったことがなく自分が不妊の原因ではないとどこかで思っていた。
だから、私の記憶と思考により作られた世界で、私は孕ったのだろう。
「もしかして、博貴に不妊の原因があったの?」
私は彼の機嫌を損ねるのが怖いと思いつつも、恐る恐る尋ねた。
「ちげーよ。お前が子種だけを目的に俺に抱かれようとするから、わざわざパイプカットしたんじゃねーか。前は俺のこと好きで堪らないって感じで、求めてきたくせによ。お前が排卵日以外、疲れたふりして寝ているのはバレバレなんだよ」
博貴がベッドの上に突然乗っかってきた。そして、寝転がっている私のお腹を力強く踏みつける。
今まで身体的に暴力を振られたことはなかったが、今日の博貴は迷いなく私に乱暴してくる。
そして、こんなに乱暴な言葉使いをする彼を見るのも初めてだ。
(今の彼は、私が憎くて仕方がないんだ⋯⋯彼が求めている私を演じれば乱暴されないかも)
「私が、間違っていたよ。私は、どうしたら良いの? 私には博貴しかいないって分かったから。何でも言うこと聞くから、もう許してよ」
安全性の確認できていないものを、脳神経に繋がれていたからか自分の体を自由に動かせない。
声を出すのさえも辛い。
このまま暴力を振られるのが怖くて、私は彼が好む従順だった新入社員時代の私を演じた。
社会人になりたてで上手いこと受けこたえができなくて、ひたすらに彼の顔色を伺っていた頃の私だ。
「亜香里、違うんだよ。俺はただ一途に俺のことを思っていたお前に戻って欲しいんだ。俺も、そんなお前を愛したいと思っている」
博貴は急に優しい声色を使い、私の頬を撫でながら額にキスしてきた。
寒気と嫌悪感でいっぱいになる。
何で、こんな自己愛の塊のような男と結婚してしまったのか。
結婚したからには、離婚せず添い遂げなければならないと彼に固執してしまった自分が間違っていた。
(もっと早くに彼を捨てればよかった⋯⋯)
普段の私なら嫌悪感が顔に出てしまうが、怪しい商品の後遺症か麻痺して表情を変えずにすんでそうだ。
「亜香里、本当に君だけを愛してる。亜香里は今、俺にどうして欲しい?」
博貴が私の顔中にキスを落としてくる。
私は顔中にナメクジが張っているような気持ち悪さを感じた。
(もう、本当に彼のことが生理的に無理だ⋯⋯)
それでも動けぬ体で、彼にされるがままになるしかない。
私は消え入りそうな声で、彼に懇願した。
(彼の望む言葉を言わなきゃ! 殺される!)
「抱いて。博貴⋯⋯たくさん、愛して。やっと、分かったの私にはあなたしかいないって」
私の言葉に博貴は満足そうに微笑んだ。
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