宝くじが当たったら、夫に殺されました。
15.殺したのは誰?
「きゃああ! 人殺し!」
呆然と倒れたカナデを見つめていたら、メイドの金切り声により私は現実に戻された。
カナデは口から血を吐いて、白目を剥いて明らかに即死していた。
「え、私? 私じゃ、ありません」
私は咄嗟に弁明の言葉を紡いだ。
私がお腹の子の父親であるカナデを殺すことはありえない。
それ以前にどんな恨みを持っても、私は人殺しなんて絶対にしない。
メイドの叫びを聞いて部屋に入ってきた警備員が私を取り押さえる。
床に顔を押し付けられ、鈍い痛みを感じた。
「この人殺しが!」
警備員がどすの利いた声で私を脅してきた。
私は程なくしてダイニングルームに入ってきた刑事たちに、警察署まで連行された。
私は夫殺害容疑で現行犯逮捕されたようだ。
♢♢♢
「御影亜香里さん、そろそろ本当のことを話してくれないかな」
取り調べも3日目で私はやっていないと言っているのに、全く信じて貰えない。
刑事ドラマのような取り調べ室で、2人の男性が私の自白を待っている。
若い刑事が少し怒り気味に私を恫喝し、ベテラン刑事は私の心に寄り添うよなことを言ってきた。
「私、殺してなんていません!」
私はこの3日間でこのセリフを100回以上言っていた。
「御影社長のお金目当てだったんでしょ。結婚してから保険金の受け取り先が全部貴方になっているし⋯⋯本当に大人しそうな顔をして怖い女だね」
若い刑事が私を怒鳴りつけてくるが、私は保険金の受け取り先が全て私にされていたことに驚いた。
(カナデは私が思っている以上に、私とお腹の子のこと考えていてくれたんだ⋯⋯)
「見た目は関係ないだろ。御影さんは結婚してから、旦那さんにずっと傷つけられてたんだよね。あの日も昼間は旦那さんはモデルとイチャイチャていたらしいし、殺したくもなるよねえ」
ベテラン刑事が私に同情をするように装い、優しい言葉をかけてくる。
(また、このパターンか⋯⋯)
「私、殺してなんかいないんです!」
取り調べの刑事に縋るように言っても、首を振られる。
「あのワインは誰から頂いたもの何ですか? 青酸カリか何か入っていたんですか?」
今、思うと長時間の取調べで私は頭が回っていなかった。
カナデは意に反して手を出した多くの女性に恨みをかっている。
そういった女性からのプレゼントのワインかもしれない。
それに取引先の社員である博貴からの出張土産という可能性もある。
三ツ川商事を出る時に、博貴が私を冷ややかに睨んでいたのを思い出した。
私のその言葉を聞いた時、2人の刑事がニヤリといやらしく微笑んだ。
(な、何?)
「自白が取れたな。気がつかないのか? 君はワインに毒を混入したことと、その毒が青酸カリであることを自白してしまったんだよ」
若い刑事が私の肩を叩きながら得意げに話してくる。
「違います。今のは自白の意味で話したんじゃありません」
私は慌ててしまった。
なんだか目の前がクラクラしてきて、足の間を生暖かいものが伝うのを感じる。
「御影さん、諦めなさい。君のパソコンの検索履歴から、青酸カリの入手方法について調べていたものが見つかった。しかも、君はワイングラスに毒が塗ってあった可能性を排除し、ワインに毒が入っていたと言い切った」
ベテラン刑事が首を振りながら私に言い聞かせる。
彼はなぜか視線を下に落として固まった。
「そうそう、それは犯人のみが知りうる事実だからね。御影さん! 血、すごい出てるけど、何?」
若い刑事が私の足を指差すと、私の内腿から足元まで血が伝っていた。
呆然と倒れたカナデを見つめていたら、メイドの金切り声により私は現実に戻された。
カナデは口から血を吐いて、白目を剥いて明らかに即死していた。
「え、私? 私じゃ、ありません」
私は咄嗟に弁明の言葉を紡いだ。
私がお腹の子の父親であるカナデを殺すことはありえない。
それ以前にどんな恨みを持っても、私は人殺しなんて絶対にしない。
メイドの叫びを聞いて部屋に入ってきた警備員が私を取り押さえる。
床に顔を押し付けられ、鈍い痛みを感じた。
「この人殺しが!」
警備員がどすの利いた声で私を脅してきた。
私は程なくしてダイニングルームに入ってきた刑事たちに、警察署まで連行された。
私は夫殺害容疑で現行犯逮捕されたようだ。
♢♢♢
「御影亜香里さん、そろそろ本当のことを話してくれないかな」
取り調べも3日目で私はやっていないと言っているのに、全く信じて貰えない。
刑事ドラマのような取り調べ室で、2人の男性が私の自白を待っている。
若い刑事が少し怒り気味に私を恫喝し、ベテラン刑事は私の心に寄り添うよなことを言ってきた。
「私、殺してなんていません!」
私はこの3日間でこのセリフを100回以上言っていた。
「御影社長のお金目当てだったんでしょ。結婚してから保険金の受け取り先が全部貴方になっているし⋯⋯本当に大人しそうな顔をして怖い女だね」
若い刑事が私を怒鳴りつけてくるが、私は保険金の受け取り先が全て私にされていたことに驚いた。
(カナデは私が思っている以上に、私とお腹の子のこと考えていてくれたんだ⋯⋯)
「見た目は関係ないだろ。御影さんは結婚してから、旦那さんにずっと傷つけられてたんだよね。あの日も昼間は旦那さんはモデルとイチャイチャていたらしいし、殺したくもなるよねえ」
ベテラン刑事が私に同情をするように装い、優しい言葉をかけてくる。
(また、このパターンか⋯⋯)
「私、殺してなんかいないんです!」
取り調べの刑事に縋るように言っても、首を振られる。
「あのワインは誰から頂いたもの何ですか? 青酸カリか何か入っていたんですか?」
今、思うと長時間の取調べで私は頭が回っていなかった。
カナデは意に反して手を出した多くの女性に恨みをかっている。
そういった女性からのプレゼントのワインかもしれない。
それに取引先の社員である博貴からの出張土産という可能性もある。
三ツ川商事を出る時に、博貴が私を冷ややかに睨んでいたのを思い出した。
私のその言葉を聞いた時、2人の刑事がニヤリといやらしく微笑んだ。
(な、何?)
「自白が取れたな。気がつかないのか? 君はワインに毒を混入したことと、その毒が青酸カリであることを自白してしまったんだよ」
若い刑事が私の肩を叩きながら得意げに話してくる。
「違います。今のは自白の意味で話したんじゃありません」
私は慌ててしまった。
なんだか目の前がクラクラしてきて、足の間を生暖かいものが伝うのを感じる。
「御影さん、諦めなさい。君のパソコンの検索履歴から、青酸カリの入手方法について調べていたものが見つかった。しかも、君はワイングラスに毒が塗ってあった可能性を排除し、ワインに毒が入っていたと言い切った」
ベテラン刑事が首を振りながら私に言い聞かせる。
彼はなぜか視線を下に落として固まった。
「そうそう、それは犯人のみが知りうる事実だからね。御影さん! 血、すごい出てるけど、何?」
若い刑事が私の足を指差すと、私の内腿から足元まで血が伝っていた。
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