言いたくても、やりたくても、できないこと。
プリクラ
プリント倶楽部……通称、プリクラですが。
僕はこの機械が流行り始めたころ、ほとんど無縁の物でした。
ぼっちだったので、一緒に撮る相手が居なかったからです……。
それはさておき、当時の機種に比べると。時代と共に機能が進化しましたね。
スタンプや背景に文字を書いたり、更には顔や体型そのものを加工するものまで。
ここまで来るとおじさんの僕は、ついて行けません。
たまに家族で撮影しますが、何がなにやらサッパリです。
僕がとある繫華街のゲームセンターを、歩いていた時の話です。
あまりゲームセンターで遊ぶのは、得意な方じゃないですが。
今はアプリなどの特典を使って、無料のゲームが出来ますので。
たまに遊んでいます。
慣れないクレーンゲームで遊んでいると。
ふと、近くにあるメイク台が気になりました。
隣接しているプリクラで撮影をする前に、若い女の子たちがメイクしたり、髪型を整えるところです。
入念にまつ毛を上げたり、化粧直しをしていました。
~30分後~
僕は何回やっても、クレーンゲームで惨敗し、仕方なく帰ろうとしたその時でした。
メイク台で、先ほどの若い女の子がまじまじと鏡を眺めていました。
よく見れば、隣りに座っている子も同一人物でした。
(女子高生かな? お年頃だもんな……)
しかし、ここで僕は思いました。
(待てよ……彼女たちは、気がついてないのではないか?)
(今のプリクラは、”あれ”が搭載されていることに!)
そう思った僕は、メイク台に座る女子高生たちへ声をかけました。
「あ、あの……」
突然、声をかけられた女の子たちは驚いていました。
「ひっ! な、なんですか?」
「その……今のプリクラ機なら、そんなにメイクする必要ないと思うんですよ」
「は?」
「僕の時代、20年前の機種ならほぼ無加工だったので、メイクも必要でしたが。今の機種は最初から”激盛れ”じゃないですか?」
「なにが言いたいんですか?」
首をかしげる女子高生を見て、僕は深呼吸してからこう言いました。
「つまりですね。髪型ならセットしても意味あると思うんですけど。加工される顔はすっぴんでも大丈夫と言うことです!」
「……」
デリカシーのない発言をした僕は、周りにいた若い女の子全員から通報された。
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