外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平

第46話 ボス戦 氷の守護者1

「おおおお!」

「えええい!」

 俺とアンが雄叫びを上げながらボス部屋に突入した。
 大きな声を出して魔物の注意を引き、魔法使いミレットが攻撃する時間を稼ぐのだ。

 アンが手に持った松明を氷の守護者――ゴーストに向かって放り投げた。
 松明はくるくる回って、半透明な氷の守護者を通過した。

 氷の守護者は、ノーダメージ。
 残念だが、何か効果があればラッキー程度の攻撃だ。
 俺とアンに動揺はない。

 俺はショートソードと盾を装備したゴブリンに斬りかかり、アンは棍棒を持ったゴブリンを攻撃する。

「セイッ!」

 俺はゴブリンに向かって思い切りショートソードを振り下ろした。

「グギャ!」

 ガツンと鈍い音。
 ゴブリンは盾を使って、俺の斬撃をしっかり受け止めた。
 俺は思わずつぶやく。

「コイツ! 強い!」

 グッとショートソードに力を入れて押し切ろうするが、ゴブリンも盾を持つ腕に力を入れて、俺の好きにさせてくれない。

 ゴブリンの右手が動いた!
 ヤバイ!

 俺はすかさずステップバックして、ゴブリンから距離を取る。

 俺がいた場所を、ゴブリンのショートソードが通過した。
 ゴブリンが横薙ぎしたのだ。

 ボス部屋のゴブリンが強化型なのは間違いない。
 動きもパワーも違う。
 俺はアンに警告を発する。

「アン! 気をつけろ!」

 俺は、もう一匹のゴブリンを相手取るアンに視線を向ける。

「えい! やあ!」

 アンは棍棒を持ったゴブリンにショートソードで攻撃しているが、ショートソードを振り回してしまっている。
 それに足が止まっているので、ゴブリンは楽々回避している。

「キイアアアアァァァァァ!」

 氷の守護者が甲高い声で叫んだ。
 するとアンの足下が白っぽくなり、みるみるうちにアンの足が凍りつく。

「えっ!? やだっ!? うそっ!? 動けない!?」

「アン!」

 不味い! アンの動きが封じられた!
 棍棒を持ったゴブリンが、アンに襲いかかる。

「キャッ! やだ! この!」

 アンは盾でゴブリンの棍棒を防ぎ、ショートソードを突くようにして、何とかゴブリンの攻撃に耐えている。
 だが、足が動かないのでバランスが悪い。
 踏ん張りもきかない。

「ギガァ!」

 こっちのゴブリンも勢いづく。
 ショートソードを振りかぶり、俺に襲いかかってきた。

 だが、動きは丸見え!

 俺は落ち着いてさばく。

「ふんっ!」

 ゴブリンのショートソードを盾で受け流す。
 バランスを崩したゴブリンは、とっとっと足を踏み出し転がった。
 俺がショートソードを振り下ろすが、ゴブリンは転がって逃げ距離を取った。

(それなら!)

 俺は距離を取ったゴブリンに背を向けて、ダッシュして床に転がる松明を拾い上げた。
 そして、アンのところへ。

「それ!」

 アンを攻撃する棍棒ゴブリンに横から盾を使ってタックルする。

「ギヒョ! ギヒョ!」

 棍棒ゴブリンは、俺に吹き飛ばされて床を転がる。

「アン! この松明で氷を溶かして!」

「ありがとう!」

 アンに松明を手渡し、俺は盾を構える。

 左からショートソードのゴブリン。
 右から棍棒ゴブリンがジリジリと距離を詰める。

 二対一の状況。

 早く! 氷が溶けてくれ!

 俺は棍棒ゴブリンに一歩踏み出し、大きくショートソードを横に振る。
 牽制だ。

 棍棒ゴブリンは、俺のショートソードをかわすために、再び距離をとる。

 ショートソードを持つゴブリンが、襲いかかってきた。
 俺は盾を使ってしっかり斬撃を受け止める。

 俺が棍棒ゴブリンを牽制し、ショートソードゴブリンの攻撃を盾で受ける。

 ――ボス戦は思わぬ苦戦から始まってしまった。

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