外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平

第42話 作戦会議

 五階層――初心者ダンジョンの最終階層だ。
 五階層を突破すれば、初心者ダンジョンはクリア。
 中級ダンジョンに入る資格を得られる。
 今日中に、この五階層を突破するのが俺たちの目標だ。

 五階層へ続く階段で、俺たちは休憩を取った。
 この世界に腕時計はないので正確な時間はわからないが、感覚的には午後三時くらいだと思う。

 俺、ミレット、アンの三人で階段に座り、水を飲む。
 ミレットが、マジックバッグからビスケットを取り出し、俺とアンに分けてくれた。
 素朴な素焼きのビスケットだけど、砂糖が入っていてほんのり甘くて美味しい!

 ビスケットを食べながら、五階層の打ち合わせだ。
 まずミレットが情報提供をしてくれる。

「五階層は、これまで出て来た魔物が全て出現するそうです」

 なるほど。
 魔物に応じて適切な対応が必要ということだな。
 最後の階層は、総合力が試されていると感じる。
 俺はミレットに応じた。

「了解した。魔物は対処法が明確になっているから問題ないと思う。地図はある? ゴールまで距離はあるのかな?」

「これです」

 ミレットが地図を階段に広げた。
 俺とアンが地図をのぞき込み、ミレットが地図を指さす。

「私たちがいるのが、この地図の端です。ゴールは、この真ん中です」

「グルッと回り込むのか……」

「遠回りだね……」

 ミレットが広げている地図によれば、最終地点まで右回りの渦状のルートだ。
 二回転している。

 俺は地図を見て思いついたことをつぶやく。

「そうか、連戦能力が必要だな。体力と集中力……」

「ポーションは手持ちがあるので、怪我をしたら言って下さいね」

 ミレットが笑顔でマジックバッグをポンと叩いた。
 ポーションは魔法薬で、傷や打ち身を瞬時に回復してくれる。
 ポーションを提供してもらえるなら、連戦も大丈夫だろう。

 俺は階段に広げた地図の中央を指さす。

「そして問題は、この最終地点……ボス部屋だね!」

 ミレットとアンが緊張した面持ちでうなずく。

 ダンジョンにはボス部屋があるのだ。
 階層ごとにボス部屋があるダンジョンもあれば、この初心者ダンジョンのように最後の階層にだけボス部屋があるダンジョンもある。
 ボスは、階層主、守護者などと呼ばれていて、強力な魔物である。

 俺とアンは、ミレットを見た。
 ミレットは真剣な表情で語り出す。

「この五階層の階層主……初心者ダンジョンのボスは、氷の守護者と呼ばれるゴーストです!」

「氷の守護者!?」

 何やら大層な異名をつけられているな。
 強いのだろうか?

 ミレットは続ける。

「ボス部屋で出現する魔物は三体です。氷の守護者と呼ばれるゴースト。ゴーストを守るゴブリンが二体。氷の守護者は、聖属性魔法と火属性魔法が弱点です。それ以外の攻撃は効きません」

「物理攻撃はダメなのか?」

「はい。氷の守護者は、氷属性の魔法を放ちます。氷のつぶてを放ち、冒険者の足を凍らせ動けなくするそうです」

「厄介そうだな……。じゃあ、大雑把な戦闘プランだけど、俺とアンがゴブリンと戦う。その間にミレットが火属性魔法で氷の守護者を倒す」

「大まかには良いと思うわ。ただ、ゴブリンは二階層よりも強いそうよ」

「強化されているのか。それなら、こっちもボス部屋に入る前にレベルアップして強化したいね」

「レベルアップ出来ればベストですね」

 次はレベル4だ。
 レベルアップに必要な討伐ポイントは、30ポイント。

 四階層で、五体のレッサーツナを討伐したので、あと魔物二十五体を討伐するとレベルアップだ。

 俺は改めて地図に目を落とす。
 かなり歩かされそうだが、魔物二十五体の討伐は微妙なラインだ。

「ミレットの魔力が心配だな。五階層には、レッサートレントも出るんだよね? レッサートレントにミレットの魔法を使うと、ボス部屋で魔力が不足してしまうかもしれない」

「それは考えられますね……。魔力ポーションは持ってないです……」

 ミレットが残念そうに言う。

 レッサートレントは、植物の魔物で歩く木だ。
 火属性魔法が弱点なので、ミレットのファイヤーボールで簡単に撃破出来る。
 しかし、レッサートレントでミレットの魔力を消費させられるのは面白くない。
 ラストのボスは、ミレットの火属性魔法しか攻撃手段がないのだ。

「ミレットの魔力は温存だな」

「それでは時間が掛かりすぎるのでは?」

「うーん……」

 ミレットの指摘は間違ってないんだよな。
 ボス部屋にたどり着く前に、俺とアンが疲弊して、強化ゴブリンに倒されては目も当てられない。

「「うーん……」」

 俺とミレットは、腕を組んでうなった。
 すると、アンがスッと手を上げた。

「あのアイデアがあるんですけど?」

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