外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平

第14話 新人研修終了

 冒険者ギルドに到着した。
 冒険者ギルドの中は人が多くごった返していた。
 ベテランと思わしき冒険者もいて、十三歳で体の小さな俺たちは、人の波にのまれてしまいそうだ。

 タイソン教官が大声で怒鳴った。

「注目! 各自、カウンターでドロップ品の買取をしてもらい、冒険者ギルドの登録証であるギルドカードを受け取れ!」

 タイソン教官の大声に、冒険者ギルド中の注目が集まり、シンと静かになった。

「オマエたちは、今日一日よくやった! 中には上手く戦えず納得出来なかった者もいるだろう。戦闘を振り返り、反省し、明日の糧にして欲しい」

 俺たち新人は一カ所に集まってタイソン教官の訓示に耳を傾ける。

「冒険者にとって大切なことは! 生き残ることだ! オマエたちは今日を生き延びた! 立派なことだ! 誇れ!」

「今からオマエたちは冒険者だ! 自ら判断し! 自ら行動せねばならない! 時には迷うこともあるだろう。だが、頼りになる先輩冒険者たちがオマエたちの周りにいる! 力を貸してくれるギルドスタッフが、オマエたちのそばにいる! 何でも相談して欲しい! そして生き残れ!」

「それでは新人研修を終了する! 新しい冒険者の誕生だ! おめでとう!」

 冒険者ギルドの中が拍手に包まれた。

「おめでとう!」
「がんばれよ! 新人!」
「生き残れよ!」

 先輩冒険者も冒険者ギルドのスタッフも拍手をして応援してくれる。

 俺は背筋を伸ばしてから、タイソン教官に頭を下げた。

「ありがとうございました!」

 俺がタイソン教官に礼をすると、俺を真似して新人たちが頭を下げた。
 タイソン教官はちょっと照れくさそうだ。

「さあ! カウンターへ行け! 行け!」

 タイソン教官の言われた通り、ミレットと一緒にカウンターへ向かう。
 先輩冒険者が順番を譲ってくれた。
 俺はドナさんが座るカウンターを選んだ。

「ドナさん。ただいま戻りました! こちらはミレットです」

「お帰りなさい。ユウト、ミレット。じゃあ、ちゃっちゃと手続きをするわよ。夕方は冒険者が一斉に帰ってきて忙しいの。さっさと手続きするのが流儀よ」

「「はい!」」

「よろしい。では……えっとユウトとミレット……。はい! これがギルドカードよ。なくさないように首からかけておきなさい」

 ドナさんが渡してくれたギルドカードは、ドッグタグのような金属製のプレートだった。
 革製のヒモが付いている。
 俺とミレットは、すぐにギルドカードを首から下げた。

「じゃあ、今日の獲物を出してちょうだい」

 ドナさんに促され、俺はホーンラビットからドロップした魔石をショルダーバッグから取り出した。

「これです。ホーンラビットの魔石を五つ!」

「はい。確かに受け取りました~。一つ百ゴールド、五つで五百ゴールドですっ!」

「安っ!」

 俺は目をつぶって天を仰ぐ。
 そして思わず声に出してしまった。

 パン一つが、百ゴールド。
 定食一食が、五百ゴールド。

 つまり、俺とミレットが命がけで戦った成果は、定食一食分にしかならないのだ。

「そんなこと言わないの。最初はこんなもんよ」

「そうなんですか?」

「戦闘を続けて強くなれば、強い魔物を倒せるようになるでしょ? そうすれば買取額も上がるわ。わかった?」

「はい。了解です!」

 それはそうだよな。
 いきなり大金持ちにはなれないよな。
 早く沢山稼げるようになって、サオリママに美味しい物を食べさせてあげたい。

「あの……わたくしはお金に困っていないので、ユウトに全部上げますよ?」

 ミレットが話に入って来た。
 ミレットは、どこかのお嬢様っぽい。
 ミレットからすれば五百ゴールドは、大した金額ではないのかもしれない。

 一瞬、心がグラリとしたが、俺はミレットの申し出を辞退した。

「ミレット。ありがとう。でも、こういうことはキチンとした方が良いと思うんだ。ちゃんと半分こにしよう」

「その方が良いわよ。お金のことは、ちゃんとしておかないと後々もめる原因になるの」

 ギルドスタッフのドナさんも俺の意見に賛成する。
 結局、収入は半分こすることにした。

 ミレットは今日の売り上げをギルドに預け、俺は現金で受け取った。

 冒険者ギルドの外へ出ると、ギルドの前に立派な馬車が止まっていた。
 馬車のよこには、金属製の甲冑に身を包んだ女騎士が立っていた。
 女騎士は、ミレットに恭しく頭を下げる。

「ミレットお嬢様。お待ちしておりました」

「ご苦労様。じゃあ、ユウト。また明日ね」

 ミレットは、馬車に乗って去って行った。
 いや、ミレットは何者なんだ!?

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