外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平

第8話 冒険者パーティー分け(ミレット登場)

「「「「「一! 二! 三!」」」」」

 続いて基礎訓練だ。
 剣術グループは、剣を持って素振り。
 魔法グループは、杖を使った格闘術を習っている。

 俺は剣術グループの後ろに立って一緒に素振りだ。
 剣を握るのは初めてだが、もう馴染んだ。
 きっと素振りを、毎日している成果だ。

 剣術グループの中には、初めて剣を握った子もいるようで、おっかなびっくり剣を振っているこもいる。
 それでも、それなりに様になっているのだ。
 スキルの補正が入っているのだろう。

 こうして素振りの様子を冷静に見てみると、スキル持ちが優遇されるのも理解出来る。

 タイソン教官が俺に近づいて来た。

「ユウト……だったな。剣の振り方を誰かに習ったことがあるのか?」

「いえ。自己流です」

「ふむ……筋が良いな」

「ありがとうございます! 毎日素振りをしてきた効果だと思います!」

 俺はタイソン教官に褒められて心底嬉しかった。
 日本の剣道を思い出して棒きれで素振りをしていた。
 毎日続けた甲斐があった。

「ユウト。オマエはスキルを早く得られるかもしれない。腐らず続けろよ」

「はいっ!」

 まあ、でも、スキルは【レベル1】で、さっさと獲得するつもりなんだよね。


「よし! これから実戦を行う! パーティーを組んでもらう!」

 タイソン教官の説明によれば、冒険者はパーティーを組んで魔物の討伐にあたるそうだ。
 ゲームと似ているな、誰と組もうかなと俺が考えている間に、どんどん冒険者パーティーが組まれていった。

 不味い! 急がなきゃ!

 俺は近くにいる子に片っ端に声を掛けた。

「ねえ! パーティー組まない?」

「ごめん! もう、パーティーを組んだよ」

「一緒に冒険しませんか?」

「あ……、外れスキルの人とは……ちょっと……」

 どうやら近所の子、顔見知りの子でパーティーを組んでいるようだ。
 それに俺が外れスキルと知れ渡ったことで、俺と組もうとしてくれる子がいない。

(このまま行くとソロか……。まあ、仕方ない……)

 俺はソロでやろうかと考え、パーティーを組むのを諦めかけた。
 すると一人の女の子から声がかかった。

「あの、わたくしと組みませんか?」

 振り向くと魔法使いの装備に身を包んだかわいい女の子が立っていた。
 大きな赤い革製の三角帽子に同色のマント。
 着ている服は白いフワッとした高そうなワンピースだ。
 光沢があるから、シルクかもしれない。

 手にしている杖は、先端に大きな丸い宝石が光っている。
 いや、宝石じゃなくて魔石かな?
 これは高そうな杖だ……。

 女の子はぱっちりとした目で優しく俺を見ていた。
 何かの間違いじゃないか?
 俺はキョロキョロ周りを見回したが、どうやら俺のことらしい。

「えっと……俺……ですか?」

「はい! そうです!」

 魔法使いの女の子は、好意的な視線を俺に注いでいる。
 俺は魔法使いの女の子に恐る恐る尋ねてみた。

「あの……俺は外れスキルで、剣術スキルは持っていませんが?」

「聞いてましたよ。でも、毎日素振りをしていらしたのでしょう? 偉いですね!」

「えーと……。はい。ありがとうございます」

「それにとても家族思いでいらっしゃるでしょう? お母様の名誉のために、体の大きい子に立ち向かうなんて勇気があるのですね!」

「いえ、まあ、その……ありがとうございます!」

 なんか俺の行動をかなり好意的に解釈してくれたらしい。
 大変ありがたい。
 それならパーティーを組んでも大丈夫かな?

「じゃあ、よろしく! 俺はユウト!」

「ミレットと申します。よろしくお願いします」

 俺とミレットさんがパーティーを組むと、眼鏡をかけた神経質そうな男が走ってきた。
 神経質そうな男は、冒険者ギルドの制服を着ている。

「ミレット様! ミレット様がパーティーを組む相手は、あちらに用意してあります」

 神経質そうな男が手で示した先には、俺と喧嘩になったジャイルがいた。
 ジャイルの周りには、良さそうな装備に身を固めた男の子が二人と女の子が一人いる。
 ジャイルは四人のパーティーだな。
 あのパーティーにミレットが加わる予定だったのか。

 俺はミレットがいなくなると思いガッカリした。

 だが、ミレットはプイッと頬を膨らませる。

「ギルド長さん! わたくしは自分で組む相手を選びます!」

 眼鏡をかけた神経質そうな男は、ギルド長なのか!
 ギルド長が冒険者パーティーの相手を手配するということは、ミレットはかなり良い家のお嬢さんではないだろうか?

(口出しすると不味そうだな……)

 ミレットと冒険者パーティーを組んでみたいが、組めなくても仕方がない。
 最悪ソロでも構わない。
 俺は黙って成り行きを見守ることにした。

 ミレットとギルド長は、あれこれと議論している。

「しかし! お父様に何と説明をすれば――」

「父への説明はわたくしからいたします! わたくしのことは、わたくしが決めます!」

「かしこまりました……」

 ミレットはギルド長の提案をきっぱりと拒否した。
 ほわほわとした雰囲気のミレットだが、意外とガンコだ。

 俺だけじゃなく、新人全員がギルド長とミレットのやり取りをジッと見ていた。

 話がついたところで、俺へ視線が移る。

『なんでコイツなの?』

 といった視線が多い。

 そんなの俺が知りたいよ……。

 そしてジャイルたちからは、敵意むき出しの視線が注がれる。
 ジャイルなんて、目をつり上げて今にも俺に襲いかかりそうだ。

 やれやれ厄介ごとだなと思う一方で、ミレットのような可愛い女のことパーティーを組めることが素直に嬉しい。

「よーし! では、出発するぞ!」

 タイソン教官の号令で、俺たちは魔物が生息する魔の森へ向かった。

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