外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!

武蔵野純平

第5話 討伐ポイントとスキル

【お知らせ】
前回『スキルポイント』が出て来ましたが、『討伐ポイント』に修正しました。

「よし! 自分のスキルを理解したらステータスボードを閉じろ! ステータスボードを閉じる時は『ステータス! クローズ!』だ!」

 タイソン教官が、訓練場に立つ新人冒険者に指示を出した。
 新人冒険者は、タイソン教官の指示に従いステータスボードを閉じ始める。

 俺は閉じる前に自分のステータスボードを見た。


 ◆―― ステータス ――◆

【名前】 ユウト
【レベル】1
【スキル】レベル1

 ・レベル1⇒討伐ポイントを使って、自分が知るレベル1のスキルを取得することが出来る。

 ◆―――――――――――◆


(討伐ポイントって何かな?)

 俺は不思議に思いながら、『ステータスクローズ』と言いステータスボードを閉じた。

 タイソン教官の説明が続く。
 タイソン教官の見た目は、ヒゲ面でゴツイが見た目に反して丁寧に教えてくれる。

 ・自分のスキルは人に教えるな。
 ・ステータスボードをのぞき込むのは、マナー違反。
 ・冒険者ギルドの職員やパーティーメンバーに、自分のスキルを教えるのは良い。

 冒険者は対人戦になることもあるそうだ。
 自分のスキルは、対人戦の切り札にもなれば、弱点になることもあり得る。
 だから、自分のスキルをペラペラ吹聴するなと注意された。

「スキルは新しく身につけることが出来る。例えば剣術や盾術だ。剣術持ちから動きを教わり、長く剣を使っていると剣術を得られることがある。だから、戦闘スキルが得られなかった者も腐るな! 努力していれば、スキルを得られることがあるのだ! 神は見ているぞ!」

 一人の少年が手を上げてタイソン教官に質問をした。

「あの……剣術はどのくらい修行すればスキルを得られるのでしょうか?」

「まあ、だいたい五年だな。早い者は三年で剣術スキルを得る。ガンバレよ!」

「はいっ!」

 質問した少年は明るく返事をした。
 多分、成人の儀式で戦闘スキルを得られなかったのだろう。

 だが、最短で三年。平均五年。
 このスキル取得までの年数が長いか短いか、微妙なところだな……。

 俺たち新人冒険者は十三歳。
 五年後なら十八歳だ。

 成人の儀式で戦闘スキルが得られなくても、修行を続けて十八歳になれば剣術スキルが得られる。
 体が成長して、バリバリ元気な十八歳でスキルが一つ増えるなら悪くない。

 だが、五年間生き残れるだろうか?

 冒険者は魔物と戦う職業だ。
 当然、魔物は手加減なんてしてくれない。

(これは五年分ショートカット出来ると考えて、俺はスキル【レベル1】でさっさと戦闘スキルを取得した方が良さそうだぞ……)

 俺は早めにスキルを取得しようと心に決めた。
 死にたくないからな。
 生存確率を高めていこう。

「では! 模擬戦でスキルを見せる! 剣術と盾術だ!」

 タイソン教官が剣を抜いて構えた。
 もう一人ガッチリした体格の冒険者が盾を持って進み出る。

「ハッ!」

 タイソン教官が剣を振り下ろし、盾を構えた冒険者が剣を受ける。
 ガン! ガン! と重低音が訓練場に響く。

「振り下ろし! 突き! 切り上げ!」

「受け! いなし! 弾く!」

「剣術スキルがあれば、剣の扱いが楽になる!」

「盾術スキルは、相手の攻撃を防御しやすくなる!」

 二人は声を出して技を解説してくれた。
 なるほど、戦闘スキルがあると二人の教官のように流れるような動きが出来るのか……。

 俺たち新人冒険者は、教官二人の華麗にして力強い戦闘に見入った。

「では、最後に! 討伐ポイントを使った必殺技を見せよう! パワースラッシュ!」

 ドン! と地面を蹴りつける音がしたと思ったら、タイソン教官の体が消えて見えた。

「「「「「えっ!?」」」」」

 気が付いた時は盾を持った教官が後ろに吹き飛ばされていた。

「このように! スキルのレベルが上がると、討伐ポイントを用いて必殺技が使えるようになる! 討伐ポイントは魔物を倒すと手に入る。覚えておけ!」

 俺は疑問を感じて、手を上げてタイソン教官に質問した。

「スキルのレベルを上げるには、どうすればよいですか?」

「魔物を倒して討伐ポイントを貯めろ!」

「えっ……!?」

「討伐ポイントはレベルアップにも使うぞ!」

「……」

 俺は考え込む。
 魔物を倒すと討伐ポイントというポイントが手に入る。
 討伐ポイントは、レベルアップ、スキルのレベルアップ、必殺技に使うことが出来る。

「それって難しくないですか? レベル上げを優先すると必殺技を使わないようにして討伐ポイントを貯める……。でも、早く魔物を倒そうとすれば、討伐ポイントを消費して必殺技に頼らざるを得ないですよね?」

「うむ。そこは自分の強さと相談してくれ」

「つまり……魔物が弱ければ討伐ポイントを貯めて、魔物が強ければ討伐ポイントを使って必殺技を出すと?」

「そうだ! 上手くやれ!」

 最後は『上手くやれ!』と非常にアバウトなアドバイスでまとめられてしまった。

 だが、この世界のシステムは理解出来た。
 とてもゲームっぽい。

 そういえば転生する時に、転生の女神様が『ゲームのような世界で、もう一度生きてみませんか?』と言っていた。
 俺のスキルが【レベル1】なのは、死ぬ前に新しいゲームをプレイしようとした影響なのかもしれない。

「わかりました。がんばります!」

 俺はタイソン教官に礼を述べて頭を下げた。
 すると横から誰かが俺の肩を小突いた。

「なーに言ってやがる! オマエは外れスキルだから関係ないだろう?」

「あっ……!」

 俺の肩を小突いたのは、昨日、神殿で俺を罵倒した太った男の子だった。

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