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あらすじ
その日が来たのは、晴れているのに雨が降っているお天気雨が続く一日であった。空は泣いており嫁入りには相応しくない、そんな天気であった。
時は現代日本、昔から続く由緒正しき家である一条雪音は、昔からの風習である『御狐様との婚姻』を成功させるために19年間尽力し、厳しい環境下ではあったが耐え抜き生きてきた。
「お前には狐の嫁入りに行ってもらう。一条の名を名乗るのならばあり得ないが、失敗などしたら…わかるな?」
「もちろんでございますお父様。御狐様と婚約を無事果たし、一条家の発展の為に尽くさせていただきます。」
そんな一条家の内情は男尊女卑が強く残る、現代ではどうも考えられない家庭であったが、その家で長女として今までを賢く生きてきた。
狐の嫁入り当日、その名の通りお天気雨がちらつく天候の中、彼女は嫁入りに向かい、御狐様の境内へと足を踏み入れる。
「うーん、君が僕のお嫁さんになるのはちょっと違う気がするなぁ、というかもう一条には充分な祝福を与えてやったし、そろそろ飽きてきたんだよね。」
「…私では御狐様の望む完璧な御嫁になることは不可能、ということでしょうか」
しかし彼女は御狐様との婚約に失敗し、現代へと戻ってくる。けれども戻ってきたところで、もう一条家には戻ることは出来ず、けれども一条家という小さな箱庭で生きてきた彼女が今から社会に出る術など持ち合わせてもなかった。
そんな絶望の状況の中、転機のように現れたのは黒い翼を持つ妖、烏天狗であった。
「一条の娘…お前をこの俺の妻として迎える。」
「あの狐野郎に弾かれたんだろ、狐野郎となんも変わりはねえし、事情は全部知ってるぜ。なんせ妖の中じゃ一条の娘は有名だしな。」
「烏天狗、お前の婿となる妖だ。」
彼女は、烏天狗に拾われ、彼の寵愛を受け入れることになるが…?
「逃げれるもんなら逃げてみろよ。」
その黒く染まった瞳を映るのは赤の瞳。彼女は、その歪んだ愛を受け止められるのだろうか。キーワード
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