閉ざされた冬の国に嫁いだ幸薄令嬢は偽りの婚姻を望む

あさぎかな@電子書籍二作目発売中

第7話 第二王子ヴォルフの視点

 僕だけ氷漬けにはならなかった。だから最初は兄サガライアの計画に沿って、犯人を炙り出すつもりだった。だから婚姻契約も兄の名サガライアで行うつもりでいた。
 でもメリッサと出会った瞬間、心臓がバクバクと煩くて、自分でもよくわからない感情でいっぱいになった。

(この人と一緒に居たい。離れたくない!)

 本能でそう思ったのだ。だから婚姻契約は自分の名前にして、伴侶にしかみせない獣姿も見せた。
 外堀をせっせと埋めて、メリッサを囲んでいく。メリッサはほわほわしているけれど、誰よりも一生懸命で、責任感が強い。薬草や珍しい物が好きで、宝石やドレスなどには興味もない。

(貴族令嬢らしくないけれど、そんなメリッサが好きだ)

 三日間、寝室で添い寝することで「きせいじじつ」も完璧だ。大好きだって気持ちをたくさん伝えていった。好きな気持ちが膨れ上がると同時に、罪悪感も増す。
 みな今回の計画を知っているから、色々と配慮してくれた。

(メリッサに本当のことを……。でも初対面の時から失態ばかりして、その上、私が第二王子で、計画に利用しようとしていたと知ったら失望どころか嫌われてしまう。そんなのは嫌だ)

 怖くて本心が言えなかった。
 でも、メリッサを失うかもしれないと思った瞬間、幼稚な言動のツケが回ってきたのだ。氷漬けになっているメリッサを見た瞬間、血の気が引いた。

「メリッサを寄越せ」と言ってきた他国の王子と公爵は、サガライア兄上が追い返した上、今後文句を言われないよう手を打ってくれた。これでメリッサは、あの二つの国に関わらずに済む。
 メリッサの氷結魔法を解きたくて、《冬の魔女》の知恵を借りようとしたが、彼女は人見知りらしく、小鳥を使って声だけを届けてきた。

『我が弟子がかけた氷結魔法は《忘却の氷夢》。ここに囚われてしまったら最後、幸福な夢を見続けて目覚めることはない。……それでも、寝覚めるのを待つのか? 第二王子』

 《冬の魔女》様の言葉に私は「はい」と答えた。待つだけなんてしない。方法を探すんだ。メリッサはいつだって、そうやって無理を覆してきた。
 だから何度でも声をかけるし、解決方法を探し続ける。

「メリッサ、愛している。君じゃないと駄目なんだ……戻ってきて」

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