消え残るアクアマリン

清水レモン

たぶん梅だと思う

 ゆるやかな坂になり、カーブを曲がると日当たりがよくなった。
 白い花まるで満開。
 梅だ。
 たぶん梅だと思う。
 梅なんじゃないかな。
 桜にはまだ早いから。

 よく考えたら梅と桜の違いってなんだっけ。
 知ってるよ知ってる。
 でも、あらためて説明しなければならなくなったとしたら、なんて説明する?

 あ、これって受験勉強と似ている。

 だいたい、わかった。わかってる。
 受験勉強って、その繰り返し。
 じゃあ、いざ『説明してごらん』って言われて説明できないことが本当に多かった。
 授業を聞いて、ノートをとって、週末のテストを受けて、答え合わせと解説も聞いて復習する。そこまでしていても説明できないことは多々あった。
 知ってることをあらためて自分の言葉で説明しようとするとき、『なんだっけ?』ってなってしまう。
 なんだっけ本当に。頭では理解できていることだし、知らないんじゃなくて知っているんだよ。よく知っているからこその『なんだっけ?』が登場するのさ。

 舗道に沿って木造の壁が続いている。
 かなり大きな屋敷だろうか。庭木いくつか枝の状態、つまり落葉樹が多いと。対照的な白い満開は、やはり梅だと思う。

コメント

コメントを書く

「文学」の人気作品

書籍化作品