消え残るアクアマリン

清水レモン

踏切から踏切まで

 ちがわない。なにも、ちがわない。
 予想通りの展開だ。
 架空の未来行動だったけど、思い描いていたとおりにおれはいまこうして歩いている。
 線路沿いの一本道だから迷いようがない。
 踏切から踏切まで、つまり改札口を抜けて最初の踏切を過ぎたら次の踏切が見えるまでは、ひたすら歩くだけ。

 なにも考えなくていい。なんなら歴史の年号の暗唱でもするか脳内で。あるいは。
 なんて自由に思いを馳せながら歩けばいい。つい、うっかり道を間違えてしまった、なんてことにはならないのがまたいい。

 『うん。この道この舗道このような砂利道。凍結の心配がなく滑りようがない』

 ときどき大きな砂利が靴の裏でジャリッと音をたてるのがわかった。手入れの行き届いた繊細な砂利道ではないな、だがそれがいい。ジャリジャリジャリジャリと一歩踏みしめるたびに、じんわりと沈み込む。おれの体重は軽い。喧嘩のときは不利に感じることが多かったけれど、今は違う。むしろ頼もしい。軽快なあしどり、とてつもなく頼もしいじゃないか。おれはおれに絶大なる信頼を寄せているんだよ。

 なんという軽やかさだろう!
 おれが歩けば砂利が鳴る。ステップのまま鳴り響いてる。なんていうか、その。
 『まるで音楽じゃないか』
 ひそかに喜びをかみしめた。
 『歩きやすい道を、すべる心配もなく安心して歩き続けられる。なんていうかこれはもう』
 ラッキーだ。
 ちがうか?


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