消え残るアクアマリン

清水レモン

刻まれていく

 心臓の鼓動が時計の秒針のように骨全体に響き渡る。
 時計を意識していないのに、勝手に刻まれていく。
 おそらく無意識とはいえ、時間を気にしているからだ。
 時間…試験の開始、その五分前。アラームは設定していないが意識が強く向いてしまっている。
 とどこにいても、なにをしていても、していなくても。
 意識が向いている先にあるのは、『試験開始の五分前』という世界。
 それは今日に限ったことではなく、おそらく受験を決めたときから始まっている。

 そもそも、いつだっけ。受験を決めたときって。

 塾に通い始めたのは四年生のときだけど。
 中学を受験するか、と父が正式に勧めてきたときも思い出せるけど。
 そういうのとは、ちがう。
 ちがくないけれど、なにかがちがう。
 そんな気がする。
 自分で決意した瞬間…それがある、あったはず、そのときからストップウォッチが始動している。

 そう考えると、決して遠い過去ではない。
 なのに、なぜだろう。はっきりとしない。 

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