転生してループ?〜転生令嬢は地味に最強なのかもしれません〜
3.確かめたいこと
その後、リーゼロッテとフランツは、感動したルイスに抱きしめられて中々離してもらえなかった。
騎士として鍛え上げられた腕を、8歳児と6歳児の力では、到底解くことが出来なかったので仕方ない。
(イケメンに抱きしめられるとか、何のご褒美よっ)
未だに、ドキドキが治まらない。
いつもルイスは余所余所しくて、冷たいイメージを持っていたのだが。もしかしたら……お互い、自分を出せていなかっただけなのかもしれない。
漸く自分の部屋に戻れたリーゼロッテは、暫く一人で考えた。
(どうやったら――最悪の結末を回避できるかしら?)
リーゼロッテには、確かめたいことがあった。
一周目の時に、気になったがそのまま放置してしまったこと。それを、ひとつひとつ明確にさせたい。
もしかしたら、それが何かのヒントになるかもしれないからだ。
侍女達に見つからない様に、こっそりと部屋を抜け出すと廊下を進む。
もう、すっかり夜の帳は下りている。
電気の無いこの世界でも、魔力を溜めた魔道具があるため、夜でも明かりが灯っていて視界は良好だ。
突き当たりの壁の一部に手を触れて、魔力を流すと地下へ続く階段が現れた。
(……やっぱり)
以前、使用人が何かを運び入れているのを見たのだ。
真っ暗な階段に一歩足を下ろすと、明かりが灯る。まるで、センサーライトの様だ。
そんなことを思った途端、ギギッと背後の扉が閉まった。
――ビクッ!と、リーゼロッテの身体が強張る。
この階段の下には、何が隠されているのか。
リーゼロッテは、深呼吸して、恐る恐る階段を下りた。
地下の床が見えてきた瞬間、ピンッと空気が張り詰めた。
(……何かいる。獣の臭い……動物?)
階段下の地下室は薄暗く、まるで牢屋の様な物々しい雰囲気の場所だった。
息を殺して、ぐるりと周りの様子を窺う。
―――グルル……ッ。
唸り声と共に、ズン……っと威圧を感じ、苦しくて蹲み込んだ。
リーゼロッテは、威圧の苦しさをどうにかしようと、全身に力を入れて自分の魔力を巡らせる。
(んんんっ! ……あっ、治った)
一気に楽になり、ホッとする。
『……お前は、何者だ?』
「え? ……誰?」
『我が聞いている。勝手にこの場へ入って来た、お前は何者だ?』
「あ、はいっ、すみません。私は、この屋敷の人間でリーゼロッテ・フォン・エアハルト、8歳の普通の女の子ですっ!」
一応、テヘッと子供アピールをしてみる。意味があるかは分からないが……。
『……嘘をつくなっ!』
「は? 嘘ではないですよ?」
『我が威圧を解いた、その魔力……普通の人間の訳がない』
「いや、そんなこと言われても……。私の姿を見たら分かりますよ。貴方は何処に居ますか?」
リーゼロッテは、キョロキョロと声の主を探す。
『………。そのまま、真っ直ぐに進んで来い』
階段を背に、真っ直ぐに地下室の中を進むと、正面に鉄格子があった。
そして、その中から青く光る眼が、リーゼロッテを捉える。
『確かに、一見は子供だな。……だが、中身は違う。何者か?』
「うーん。中身も何も……。あ、記憶だけは子供ではないですけど?」
『……記憶?』
「えっと……。それを話したら、貴方の事も教えてもらえますか? 私ばかり情報提供するのは……不公平かと」
『人間風情が、我に交渉するとは面白い。よかろう』
「では、約束ですよ。
私は、この世界に生まれる前は、魔法とかが無い世界……つまり、異世界で普通の女性として生活していました。色々あり、そちらの世界で死んで、生まれ変わったのが今の私です。なので、記憶というか意識は大人です。
因みにこの世界でも、一度死んで二回目の人生になります。ただ、ちょっと変で……同じ人生をやり直しているようなのです」
『成る程……そういう事か』
「えぇっ!? そんな、あっさり信じてくれるのですか?」
『お前のその異質な魔力を見れば、合点がいく』
「……異質?」
『よく聞け、人間。我こそが、フェンリルだ』
のっそりと立ち上がると、手足にぐるぐると巻き付けられた細い紐と重石を引き摺り、鉄格子の近くまでやって来た。
見上げるほど大きく、立派な風貌をした灰色の狼だった。
「はい? ……フェンリル? 狼……さん、でしょうか?」
『狼ではないっ! 遠くは神の血をも引く、高位な魔獣である!!』
「あ、失礼しました。でも……何でそんな偉い魔獣さんが、こんな場所に閉じ込められているのですか?」
『…………まぁ、色々あったのだ』
ぷぃっと、横を向く仕草は人っぽくて可愛い。どうやら、そのことは話したくないらしい。
『人間、我と契約を結ばぬか?』
「……リーゼロッテです。契約って?」
『リーゼロッテ、其方の従魔に我がなってやろうと言っているのだ』
そして――。
フェンリルは、リーゼロッテに従魔契約について説明を始めた。
騎士として鍛え上げられた腕を、8歳児と6歳児の力では、到底解くことが出来なかったので仕方ない。
(イケメンに抱きしめられるとか、何のご褒美よっ)
未だに、ドキドキが治まらない。
いつもルイスは余所余所しくて、冷たいイメージを持っていたのだが。もしかしたら……お互い、自分を出せていなかっただけなのかもしれない。
漸く自分の部屋に戻れたリーゼロッテは、暫く一人で考えた。
(どうやったら――最悪の結末を回避できるかしら?)
リーゼロッテには、確かめたいことがあった。
一周目の時に、気になったがそのまま放置してしまったこと。それを、ひとつひとつ明確にさせたい。
もしかしたら、それが何かのヒントになるかもしれないからだ。
侍女達に見つからない様に、こっそりと部屋を抜け出すと廊下を進む。
もう、すっかり夜の帳は下りている。
電気の無いこの世界でも、魔力を溜めた魔道具があるため、夜でも明かりが灯っていて視界は良好だ。
突き当たりの壁の一部に手を触れて、魔力を流すと地下へ続く階段が現れた。
(……やっぱり)
以前、使用人が何かを運び入れているのを見たのだ。
真っ暗な階段に一歩足を下ろすと、明かりが灯る。まるで、センサーライトの様だ。
そんなことを思った途端、ギギッと背後の扉が閉まった。
――ビクッ!と、リーゼロッテの身体が強張る。
この階段の下には、何が隠されているのか。
リーゼロッテは、深呼吸して、恐る恐る階段を下りた。
地下の床が見えてきた瞬間、ピンッと空気が張り詰めた。
(……何かいる。獣の臭い……動物?)
階段下の地下室は薄暗く、まるで牢屋の様な物々しい雰囲気の場所だった。
息を殺して、ぐるりと周りの様子を窺う。
―――グルル……ッ。
唸り声と共に、ズン……っと威圧を感じ、苦しくて蹲み込んだ。
リーゼロッテは、威圧の苦しさをどうにかしようと、全身に力を入れて自分の魔力を巡らせる。
(んんんっ! ……あっ、治った)
一気に楽になり、ホッとする。
『……お前は、何者だ?』
「え? ……誰?」
『我が聞いている。勝手にこの場へ入って来た、お前は何者だ?』
「あ、はいっ、すみません。私は、この屋敷の人間でリーゼロッテ・フォン・エアハルト、8歳の普通の女の子ですっ!」
一応、テヘッと子供アピールをしてみる。意味があるかは分からないが……。
『……嘘をつくなっ!』
「は? 嘘ではないですよ?」
『我が威圧を解いた、その魔力……普通の人間の訳がない』
「いや、そんなこと言われても……。私の姿を見たら分かりますよ。貴方は何処に居ますか?」
リーゼロッテは、キョロキョロと声の主を探す。
『………。そのまま、真っ直ぐに進んで来い』
階段を背に、真っ直ぐに地下室の中を進むと、正面に鉄格子があった。
そして、その中から青く光る眼が、リーゼロッテを捉える。
『確かに、一見は子供だな。……だが、中身は違う。何者か?』
「うーん。中身も何も……。あ、記憶だけは子供ではないですけど?」
『……記憶?』
「えっと……。それを話したら、貴方の事も教えてもらえますか? 私ばかり情報提供するのは……不公平かと」
『人間風情が、我に交渉するとは面白い。よかろう』
「では、約束ですよ。
私は、この世界に生まれる前は、魔法とかが無い世界……つまり、異世界で普通の女性として生活していました。色々あり、そちらの世界で死んで、生まれ変わったのが今の私です。なので、記憶というか意識は大人です。
因みにこの世界でも、一度死んで二回目の人生になります。ただ、ちょっと変で……同じ人生をやり直しているようなのです」
『成る程……そういう事か』
「えぇっ!? そんな、あっさり信じてくれるのですか?」
『お前のその異質な魔力を見れば、合点がいく』
「……異質?」
『よく聞け、人間。我こそが、フェンリルだ』
のっそりと立ち上がると、手足にぐるぐると巻き付けられた細い紐と重石を引き摺り、鉄格子の近くまでやって来た。
見上げるほど大きく、立派な風貌をした灰色の狼だった。
「はい? ……フェンリル? 狼……さん、でしょうか?」
『狼ではないっ! 遠くは神の血をも引く、高位な魔獣である!!』
「あ、失礼しました。でも……何でそんな偉い魔獣さんが、こんな場所に閉じ込められているのですか?」
『…………まぁ、色々あったのだ』
ぷぃっと、横を向く仕草は人っぽくて可愛い。どうやら、そのことは話したくないらしい。
『人間、我と契約を結ばぬか?』
「……リーゼロッテです。契約って?」
『リーゼロッテ、其方の従魔に我がなってやろうと言っているのだ』
そして――。
フェンリルは、リーゼロッテに従魔契約について説明を始めた。
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