ほっとけないよ?

清水レモン

じゅ

 あらかじめ決めていることがあるなら、それに従えばいい。
 けど、窮屈に感じるなら飛び出してかまわないと思う。
 計画なんて、あってないようなもの。むしろ気にしないほうがいい。
 ていうか、計画からはずれることも含めて全体的フワッとした感覚で。
 どこに向かうか、そのゴール。とりあえずの中間地点でもいい。どこの駅で乗り換えるか間違えなければ、どの車両に乗ってもたどりつく。タイミングがずれたとしても目的地で会うことになる。
 おれにとっての今日もまた、計画された動きの中だ。ただし登場人物が増えている。目的地は明確なままだから問題ないと思う。思うけど。

 「じゅ」
 と、おれが言いかけて言葉を止める。
 
 「?」
 と不思議顔の彼女が沈黙したままチラリこちらを見て、見たと思ったら別方向に視線。

 受験するの。どういう進路。いまどんなふうに対策してる?
 とか質問しようとして中断した。
 あまりにも退屈だ、と思ったからだ。理由は、ない。そう思った、それだけがおれの発言を止めていく。
 急になんていうか、会話が面倒になってしまう。
 いやなんじゃないし、出たいわけでもサヨナラってしたいわけでもない。むしろ、このまま。このままでいい、このままがいい、けど。

 無意識に視線を彼女の顔に向けていて、もしかすると凝視していたかもしれない。彼女の顔を見ながらその奥の遠くを見ていたんだけど。

 「…なに?」

 「!」

 「見てるだけ?」

 「ああ、気に障ったならごめん。なんかすげえキレイだな、って思ったから」

 「思ったから?」

 「つい」

 「つい…まつげを観察してたの?」

 「たしかに睫毛まつげに見とれたけど、なんていうかさ」

 「なんていうかさ」

 「…そこだけ空間が違う気がした」

 「!?」

 

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