イモ好き令嬢は嫁いで、畑仕事に精を出したい! 〜ヤンデレ夏の妖精王とツンデレ冬の妖精王の溺愛よりもイモですイモ!イモが食べたい!〜

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第27話 妖精界のパーティー

 
 ついにやってきたパーティー当日。
 世界樹城では妖精の王たちが集う《円卓会議》も開かれるという。
 妖精の国もサフィール王国のパーティーと同じように、服装規定ドレスコードがあるらしく最低でも準礼装セミフォーマルでの参加となる。

(セミフォーマルって、格式ある結婚式にゲストとして参加するようなコーディネートよね)

 昼間ならセミアフタヌーンドレス、夜ならセミイブニングドレスと決まっている。袖がなく胸や露出が多いドレスを用意されたので、できるだけ地味なドレスを選んだのに当日は桃色のドレスになっていた。

(何故!)

 それも腰回りのラインがハッキリと出るもので、華やかな春をイメージしたものだ。アクセサリーは真珠や白を基調としており、華美すぎる。
 あまり目立ちすぎるのも危険なので顔を隠すためのベールを付けてもらうことにした。アルバート様曰く「虫除けにいい」とか。もしかしてミデル公爵のことを言っていたのだろうか。

(一応、アルバート様が取り計らってくれたから大丈夫だと思うけれど……ミデル公爵に絡まれませんように! )

 ミデル公爵、トリア義姉さん、精霊魔術師レムルには金輪際会いたくない。それにトリア姉さんはミデル公爵に夢中だけれど、アルバート様の容姿を見たら──惚れそうな気がする。もっともここは妖精の国。義姉が妖精族に嫁がなければ今後出会うことはない。

(そういえば、義姉さんがどうなったのか全然知らないわ。あの後、ミデル公爵と結婚したのかしら?)
「これで、出来上がりです」
「ありがとう」

 ドレスの試着時に手伝ってくれたのは、家政婦ブラウニーだ。綺麗な大人の女性でメイド服姿で手伝ってくれている。何でもやんごとなき御方に仕えているらしく、今日は私のためにドレスと一緒にドレスアップを一任されているらしい。

(やんごとなき御方っていったい……)

 前にアルバート様が言っていた妖精王オベロン様だろうか。とにもかくにも伴侶として恥をかくことだけは、なんとしても避けなければならない。
 そう気合を入れていると、アルバート様が部屋を訪れた。

「アルバート様」
「…………」
(うわぁ……。いつもより三倍増しでイケメンだわ)

 黒のディレクターズスーツ姿で、黒のジャケットにグレーのベスト、白シャツ、黒のストライプズボンをサスペンダーで吊るしたスタイルは眼福としかいいようがない。
 改めてアルバート様の整った顔立ちと気品もろもろも相まって「神々しい」の一言に尽きる。これで甘い笑顔でも見せたら卒倒する女性陣が出てくるだろう。うん、トリア義姉さんがいないことを願うばかりだ。

「ベールで素顔を隠したのか」
「はい。……ミデル公爵がいらっしゃるのであれば、こちらの方がいいかと」
「……」

 アルバート様はベールをめくると私の素顔をじっと見つめる。

(これはベールをしていてもあまり意味はないということ? それとも素顔を隠すのはルール違反だったりするのかな?)
「……そうだな。ベールはあったほうがいい」
「ですよね」
「他に取られたら困る」
「え?」
「サティ」

 アルバート様の顔が近づき、私の頬に唇が触れた。あまりにも唐突な行動に体が硬直する。

「!? え、アルバート様!?」
「……しては駄目なのか?」
「ダメというか……。あ、もしかして何か加護を?」
「いや。……しかし、そうだな。お前の身を護るためにも加護を強化しておこう」
「え」

 アルバート様は私が逃げないように腰に手を回し──完全にロックされた体は身じろぎ一つできない。軽く額に触れただけだというのに、心臓がバクバクと煩い。

(か、加護の強化だって分かっているのに、やっぱり照れちゃう!)

 
 ***


 妖精の国のパーティーと聞いた時はピンとこなかったけれど、実際に会場となる世界樹城の一角にある屋敷は豪華絢爛、近世ヨーロッパをモデルにした造りのようだ。
 世界樹の巨大さにも驚き、城の大きさに目を奪われる。

(わあ……!)
「ドワーフたちが粋を凝らして作り上げた城だからね」

 金剛石の床はピカピカに磨かれていて、金の刺繍をふんだんにあしらった真っ赤な絨毯、豪華なガラス細工のシャンデリア、内装の一環として宝石が壁にはめ込まれているという夢物語に出てきそうな空間そのものだった。

 妖精たちのドレスはみな豪華で、露出も多い。中でも上位精霊ニンフたちのドレスは背中とか丸見えだった。
 若くて美しい美女ばかりで、彼女たちの背には半透明の羽根が光って見える。人間の姿に近い彼女たちも、れっきとした妖精なのだ。

(サフィール王国の王族パーティー以上に緊張するっ……)
「どうかした?」
「あ、あまりにも場違いな気がして、緊張しているというか……」
「……私が傍にいる。何かあれば、ちゃんと頼るんだぞ」
「アルバート様。……はい!」

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