君の涙色の恋を、いつまでもこの胸に抱いている

月乃夢想

3

 去年の四月一日は、雲一つない晴天だった。
 私は期待に胸躍らせながら、新しく通う高校の校舎を見上げた。肩まで伸ばした栗色の髪が、爽やかな春風に揺れる。
 受験勉強を頑張った甲斐あって、私は第一志望の私立高校に合格した。建て替えたばかりの校舎はどこもピカピカで、ブレザーの制服もすごく可愛い。付属大学があるから、悪い成績さえとらなければ、大学受験の心配をせずに高校生活を目一杯満喫出来る。
 ワクワクがいっぱいの新学期。まずは友達を作らなきゃ!
 一年二組の教室に入り、自分の席に着いた私は、緊張しつつも周囲をキョロキョロと見回した。と、通路を挟んだ隣の席の子と目が合う。柔らかそうな黒髪を左右で二つに結んだ、おっとりとした雰囲気の女の子だ。
「何だか緊張するね」
 勇気を出して声を掛けると、女の子は微笑んで頷いた。
「うん。知らない人ばっかり」
「私立だから、学区関係ないもんね。あの、私、三崎萌花。よろしくね」
「萌花って、可愛い名前だね。私は須藤沙弥だよ。話し掛けてくれて、ありがとう。ねぇ、良かったら友達にならない?」
「うん、勿論だよ!」
 こうして、私は沙弥とすぐに仲良くなれた。
 彼女は穏やかで優しい性格で、一緒にいると和んだ。一方で、おとなしそうな見た目に似合わず、ちょっと大胆なところもあった。
 例えば、後日、委員決めの学級会で、いきなり沙弥から中央委員に推薦された。中央委員とは、生徒会と連携して行事を運営する役割があって、なかなか責任がある立場だ。
 勿論、最初は断ろうと思った。だけど、沙弥に「萌花は、皆をまとめるのに向いていると思う」と言われて、気持ちが変わった。そんなことを言われたのは初めてだったから、本当に驚いたけど……私もやる気に満ちていたから、思い切ってやってみることにしたんだ。
 勉強と委員会で忙しかったけれど、仲の良い友達もいて充実した高校生活。
 もしかしたら、彼氏を作る機会もあるのかなぁ? まだ、好きな人はいないけど……。
 この時は、毎日がキラキラと輝いて見えていて、そんな日々がずっと続くって思ってたんだ。

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