転生の輪舞は3度繰り返す-2度あることは3度あるって? マジ?【 Fプロジェクト】の謎を攻略せよ!-

菅原 みやび

深夜のカーデートはスリリング

 深夜に漆黒のスポーツカーのエンジン音が車内に静かに響き渡る。

 俺、【月神 守つきがみ まもる】は大学の親友達と車で深夜の山中をドライブの真っ最中だったりする。

「夜風がひんやりとして、とても気持ちいいですね……」

 俺の左隣りの助手席に座っている女性は【風見かざみ スイ】さん。

 夜風にあたり、セミロングの銀色の髪が静かになびく姿がなんかもうたまらない。

 童顔を感じさせる二重の大きな瞳、細長い眉、サファイアのように澄んだ青い瞳でほがらかに笑う横顔がとても魅力的なんだ……。

 彼女の小柄な体形と血色の良いもち肌、そしてふっくらとした丸みを帯びた顔と胸に合ったは小動物的な癒しを感じさせるし、今日着ている紺色のギャザーワンピがまた似合っている。

 風見スイさんは家の都合でアメリカから留学してきたハーフで、若くして理工系の博士号を持つ才色兼備さいしょくけんびな子だ。

「ですよねー!」

 俺はスイさんの言葉に満面の笑みを浮かべ、深くうんうんと頷く。

 実はこのドライブには目的がある。

 結論から言わせて頂くと、「スイさんへの告白をかねて」のドライブダブルデートだ。

 情けない話だけど、親友にお膳立てしてもらったのだ。

 隣に座っているスイさんの一挙一動に俺は幸せを感じていたし、心から親友に「ありがとう!」と感謝していた。

(いやーホント持つべきものは良い友……) 

「風も気持ちいいけど、俺ともっと気持ちいいことしませんか? なーんつって⁈」
「……」

 後部座席から訳の分からない言葉が聞こえ、代わりに静かなエンジン音のみが周囲を支配する。

(こ、こいつっ⁈ まじかっ⁈) 

 色々と、台無しである……。

 そのせいか、俺の額にじんわりと変な汗が滲み出てくるのが分る。

 ……今、後部座席から訳の分からない言葉を発したのが、悪友の【星流 学ほしながれ まなぶ】。

 聞いての通り学は剛速球な会話を得意とし、竹を割ったような性格をしている。

 パーソナルスペースというものは一切なく、この会話内容で分かる通り両手を広げ土足で人の心の領域に踏み込んでくるのだ。

 体の線は細いが馬鹿力を持っており、かつ武道の実力は相当なもので空手の師範代持ちだったりする。

(他人を思いやる優しい一面もあるんだけど、さっきの会話ようなデリカシーの無さがな……) 

 性格に反して顔と雰囲気は整った中性的であり、髪は薄い茶髪のオールバック、目は二重のアーモンド形の薄い茶色の瞳が特徴的だ。

 こいつの今日の服装は紺色のジーパンに灰色の長袖ポロシャツで、脳みそと同じで非常にシンプルだ。
 
「ごめんねスイ、こいつアホだから今の会話は軽いジョークと思って、軽く聞き流して?」
「ひ、ひどっ⁈」

 後部座席から馬鹿の声とは対照的に、歌手のような透き通った心地よい声色が聞こえてくる。

 あ、今ナイスフォローをしてくれたのは【音風 雫おとかぜ しずく】さん。

 スイさんの親友である雫さんは、有名な音風財閥の一人娘でいわゆるお嬢様だ。

 有名な音大に通えるほどの音感を持っており、ピアノが得意らしい。

 お嬢様であることを鼻にかけず人柄が良くて、今の会話で分かる通り頭の回転も速く機転が利くめっちゃいい人だ。

(すらっとした細身の長身に、同じくすらっとしたまな板のよう整った胸……か。天は流石に完璧は与えなかった模様)
 
 その時、俺の座っている座席の背中に軽い衝撃が走り、若干俺の座っていた運転座席が少し揺れる。

「い、イタッ!」

 俺はたまらず反射的に呻き声を上げてしまう。

「あら、ごめんなさい⁈ ちょっと足が滑っちゃって(笑)」
「おいおい、ホントか? 今、意図的に雫がったように俺は見えたぞ?」

(……な、何やら、馬鹿学がいる後部座席組が騒がしいが……) 

 あ、そうそう。

 紹介の続きなんだけど、雫様はきりっとした細長い眉毛に二重の大きな茶色の瞳、整った端正な可愛らしい小顔に茶髪のロングヘアーをしている。

 んで、現在あの学と付き合っていたりするし、その関係か今日の服装は学とペアルックだったりする。

 雫さんが学に惚れたのは、感性が高く学の魂の強さと優しさを感じ取れたからじゃないのかなと俺は思っている。

「ふふっ……。二人とも仲がいいんですね? 羨ましい……」

 スイさんは後部座席を覗き見て、ほがらかに微笑む。

(おお……⁈ 笑っているスイさんも可愛らしいな。結果オーライだがナイスだ! 悪友!) 

 俺は学に対し、心の中で深く感謝する。

「え? そう見える?」

 雫さんは照れながらも、まんざらでもない顔をしている。

「え? 俺らそんなんじゃねーから。って、痛っ……⁈」

 カーミラー越しで分かったが、学は雫さんから足を踏みつけられ悶絶している模様。

(……いい気味だ。リア従はそのまま爆死してはぜろや(怒)……) 

 と、その時、後ろから急接近してきた車が何故かパッシングしてくる⁈

「うわ……眩しいっ!」

 カーミラー越しに光が反射し、思わず眉を潜める俺。

 その様子を見て、後ろの車をじっと見つめるスイさん。

「……あの車、黒のクラウンでなんかやばそうなんで、先に行かせたほうが良くないです?」

 スイさんの意見に同感だった俺は無言で頷き、運転していた車を急いで道路の端に寄せる。

「あ、ごめん、知り合いにメール打つからしばらく無言になるね?」

 スイさんは何故か苦笑しながら? スマホをいじりだす。

(むむ? 誰かと連絡をとっているのだろうか?) 

「あ、どうぞ」

 そんな俺の思いはあるものの、嫌われたくは無いのでサラリと返す俺。

(と言ったものの、うう、さ、寂しい……。折角のスイさんとの楽しい時間を邪魔しやがって、この野郎っ……!)

 そんな事を考えながらしばらく待ち、後ろの車やり過ごしのを確認し、車の運転を再開させる俺。

 暇になった俺は心の中でため息をつきながらカーミラー越しに、後部座席に目をやる。

(て、おい⁈ 学と雫さんは缶ビールを飲みながら楽しそうに騒いでいるじゃん!)

 更によく見ると、雫さんは学に体をそっと預け学の耳元で何やら呟いているご様子。

 その直後、今度は学が雫さんの耳元で何やら呟いている姿が見えた。

(……こいつら人が真面目に運転している時に何イチャついてるんですかね?) 

 俺はこの時、学達の様子に内心嫉妬でハラワタが煮えくり返っていた。

「……え、ウソ?」

 と、その直後、雫さんの大声が車内に静かに響き渡る。

 その声の大きさに、まるで雷に打たれたように驚く俺。

 俺の隣の席でメールを打っていたスイさんも、驚いて後部座席に目をやるほどだ。

(えっ、なんだ? 一体どうしたんだ⁈) 

 ……。

 暫く車内は静寂に包まれる。

 深夜だからか、それがもう何とも言えなくて……。

 そして何かが俺の顔横をかすめ、飛んで行ったのが分る⁈

 その飛んできたものに素早く目線を移す俺。

(あ、これさっきあいつらが飲んでいたビールの缶か……)

 そう、カーミラー越しで雫さんが投げたものが運転席まで飛んできたのが分った。

(え? なんで分るかって? だって、さっき雫さんが飲んでたビールが手元にないもん) 

「あ、あぶなっ?」

 たまらず悲鳴を上げてしまう俺。

 しかも、その缶は色々バウンドし、不幸にもブレーキペダルの真下にスッポリはまってしまった模様……。

(まっ、まじか―――お、おおおイイイイイイイイい――――――――――――!) 

 当然ブレーキが使えないので、なんとかハンドルだけで車を操作していく俺。

(うおおおっ! ハリオカートで毎日鍛えているゲーマーの腕なめんなよっ!)  

「う、うわー⁈」
「キャー⁈」

 そんなこんなで当然、阿鼻叫喚の車内一同。

「あっ、ああっ⁈ さっきのクラウンが前にっ! と、止まらないと……」

 甲高い声で絶叫するスイさん。

 だが、不幸は重なって起きるもの。

 俺は衝突しないように咄嗟に左にハンドルを切ってしまう!

 慣性の法則により、当然そのまま左に勢いよくスピンする車。

(良い子の皆! 今のが悪い運転の例だ! 皆は絶対真似しないようにな!) 

「う、うおおおおおおおおおっ⁈」
「キャ―――――⁈」

 そして、その恐怖で思わず絶叫する俺達。

 結果、俺達の車はそのまま道路から放り出され、勢いよく真っ黒な闇夜を空中にダイブする羽目に。

「ひ、ひえええええ――――――⁈」
「い、いや――――――⁈」

 直後、超高層ビルのエレベーターに乗った時に感じられる真下に落ちていく気味の悪い感覚に包まれ、体中がぞわぞわする。

 多分、本能的に体が危険信号を出しているんだろう。

 その時、過去の出来事が瞬時に走馬灯のように蘇ってきた。

(ああ……俺と学は捨て子として孤児院に拾われ、兄弟のように育ったんだったな) 

 その孤児院も幼少期に謎の火事にあい、実の兄弟のように育った学とは離れ離れで引き取られることになって……。

(くそっ、両親の愛情を知らない不幸の連続だった俺達にもこうして青春を謳歌する時が来たってのに……) 

 何よりもスイさんに告白もしてないのに……。

(こ、こうなったら……) 

 俺は急いでスイさんを真剣な目で見つめる。

「す、スイさんっ聞いてくださいっ!」
「はわわっ? はいっ」 

「俺っスイさんのことっ……」
「ば、馬鹿野郎っ、今そんなことしている場合じゃねーだろ?」

 肝心な次の言葉をしゃべる前に、学から怒りの声が上がる。

(あ、スマン……確かにそうだよな。冷静さをに欠けてたわ……) 

「みんなっ、俺の手に掴まれっ」

 力強く叫ぶ学は、何故かほんやりと不思議な光に包まれていた。

 何故そうしたか自分でも分からないけど、そんな学に惹かれるように手を掴んだ。

 他の皆もだ。

 その瞬間、俺らは不思議な真っ白い光に包まれ意識を失う……。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品