よりによって人生で最悪な時に再会した初恋の人がじれじれの皇太子だったなんておまけに私死んだことになってましたから
31
この日街は建国記念の祝賀ムードでとても盛り上がっている。
市場を走り抜けるときにもたくさんの人でにぎわっていた。
「今日は国中の人がデルハラドに集まるんです」
マール様が話して下さった。
「そうなんですか。それでこんなに…」
「広場には芸人たちが集まって色々な芸も披露するんです」
私たちは広場のそばを走り抜けながらその様子を見た。
「凄いですね。では夜会もさぞかしにぎやかなんでしょうね」
「ええ、たくさんの人でごった返します。でも僕たちは貴族エリアですからゆったり過ごせるはずです。安心して下さい」
「そうですか‥それでマール様はロベルト皇太子殿下と親しいとお聞きしましたが」
「ええ、ロベルト皇太子とは同じ年で、学校も同じでして、それが何か?」
「ええ、あの‥実はその皇太子殿下を拝見してみたくて」
「ええ、いいですよ。それくらい。良ければご紹介しますよ」
「いいんですか?」
「ええ、その代わり僕のそばを離れないでいただけますか」
「何かあるんですか?」
「実は父が僕に婚約者を引き合わせると言っていて、ずっと断って来たんです。でも夜会には必ず顔を出すと知っているのでこの時をチャンスだと思ったらしくて、それで申し訳ないんです僕が付き合いを申し込んでいるという話でお願いできたらと…」
マール様は頬を赤くされた。
私はマール様は良い方だと思っているが、勘違いはされたくないと思ってしまう。
それはどうして?浮かぶのはアルベルト様の顔。
いえ、何でもないわ!
そして再度マール様が尋ねた。
「いかがでしょうか?こんなお願いお嫌ですか?」
「あっ…でもいいんですか。私は貴族のお嬢様でもないんですよ。きっとご迷惑でしょう?それに御父上が…」
そう言えばこんな話になってロベルト様に近づけなくなったら…
まごまごしている間にもマール様の説得は続いた。
「シャルロット様、僕は次男ですからそんなものは関係ありません。家督をつぐのは兄ですし、兄はもう結婚して子供もいますので、僕が誰とどうしようと関係ないんですよ」
「はぁ…」
マール様に言い寄られているのに、私がロベルト様に言い寄るなんて…
でもそんな事を言ってはいられません。私にはやるべきことがあるんです。
痛む胃がさらにきゅぅんとにねじれるみたいです。
馬車は王宮の門をくぐると、鬱蒼とした木々の間を抜けると王城の入り口を入って止まった。
「さあ、着きました。どうぞ、手を…」
マール様が紳士的に手を差しだされて私は肢にぐっと力を入れると一歩一歩を確かめるように馬車を下りた。
そしてマントを羽織られた頼もしいマール様にいざなわれて建国記念式典が執り行われる会場に入った。
そこは王城の中庭で前には大きな舞台があり、中央には噴水がありその周りには燭台が整然と並んでいた。
両側に貴族の人たちがずらりと並び、どの方も煌びやかなドレスと礼装に身を包んでいた。
マール様は必然的に父親のブランカスター公爵の隣に並んだ。
「これはこれはシャルロット様では…」公爵はその後の言葉が続かなかった。
「マール、お前どうしてシャルロット嬢を連れている?」
「いけませんか父上?シャルロット様にお付き合いを申し込んでる所なんですなんです」
「どういうことだ?まあこんな所では話も出来ん。後で詳しく聞かせてもらうからな」
「ええ、どうぞ。だから今夜婚約者と会うわけにはいきませんので…コホン」
「マールお前!」
お二人の間に火花が…
どうしましょう。私のせいですか?
見ていられなくて顔を背けた。
私ははっとする。
アルベルト様がじっとこちらを見ていた。
瞳がグリーンだからかしら?いいえ、そんな事彼はとっくに知っているし…
私と目が合うと彼は狼狽したかのように一瞬顔を反らす。
今日の彼はビロード生地の銀色のマントを羽織っていてそのマントには金糸で刺しゅうが施してあった。
その下には白と銀色の騎士隊の礼服でマール様以上に肩章に勲章や飾緒が輝いていた。
思わず胸が高鳴る。
でも、華やかな礼服にうって変わりお顔はすごく元気のない様子…いえ、むしろ怒っているような感じだった。
さらに彼は睨み付けて来た。
傷は治っているはず…痛みのせいではないと分かる。
わ、私のせい?私がここにきているから嫌なんだわ。
なんだか恐い…
私はとっさにマール様にしがみつく。
「マール様、これから何が始まるんでしょうか?」甘えた声で聞く。
「ええ、これからランベラート皇王の挨拶があって式典が始まります。そして聖女エリザベート様が一斉にロウソクに火を灯して…その時ロベルト皇太子やアルベルト様も舞台に上がられますから顔が見れますよ」
「楽しみですわ」
しばらくするとラッパが鳴り響き、貴族の方々が並び始める。
「いよいよです。ありがとうシャルロット、助かったよ。父はしつこいんです」
「いえ、そんなつもりではなかったんですけど…」
すぐにランベラート皇王の挨拶が始まり、いつの間にかアルベルト様も舞台の上にいた。
何だかすごく寂しそう。アルベルト様はひとり離れて後ろにたたずんでいた。視線は何処を見ているかわからないみたいに宙を彷徨っていた。
「ほら、あれがロベルト皇太子だよ」
マール様がロベルト様を教えて下さって顔を確かめる。しっかりその顔を頭に刻む。
ロベルト様は瞳は黒っぽかったが髪はブラウンだった。アルベルト様は美しい金色なのに、そういえばランベラート皇王もブラウンだ。
ではお母様が金色の髪だったのかしら…そんな事を考えながら私の視線はいつの間にかずっとアルベルト様を見ていた。
挨拶が終わると今度はエリザベート様が舞台の前に出て来た。
彼女は赤い緋色の瞳をしていて大柄な40歳くらいの女性だったが若々しく見えた。
そして彼女は付けている腕輪に視線が釘付けになる。腕輪は金色のらせん状で彼女の腕にぐるりと巻き付いていた。
あれが、守護の宝輪なんだわ。お母様のものだった腕輪……
彼女は舞台の上で建国記念のお祝いを述べると手を振り上げた。
「ファイヤートリンカトワイス!」大きな声で呪文を叫んだ。
いきなり燭台のロウソクの炎がついた。
人々の声が上がる。
エリザベートはそんなの当たり前よ。見たいな顔をして次の呪文を唱えた。
「ウォータートリンカトワイス!」
次には噴水から水が滾々とあふれ出した。
人々はますます熱狂した。
そして最後に「ウインドトリンカトワイス!」そう叫ぶと風が沸き起こり色とりどりの花びらが空中を舞った。
きれいな色々な花の花びらが空から降り注いでみんなの頭や顔やドレスに。
仄かな花の香りが漂いそれはとっても華やかな式典だった。
でも、私はその時エリザベート様より少し離れたところで手を振りかざしていた数人の女性に惹きつけられた。
その女性たちも目が緋色だったから…
あの女性たちも魔女?あの人たちなにしてるのかしら?
でも、そんな考えもランベラート皇王の次の発言ですっかり忘れてしまう。
この後、式典でロベルト様の婚約が発表された。
「我が息子ロベルトに隣国のモンテビオ国の王女との婚約が正式に決まった。今宵は建国記念と次期皇王の婚約記念を皆で祝ってくれ」とランベラート皇王が機嫌よく言った。
そしていよいよ皆さんが夜会の会場に入って行った。
私は緊張のあまり喉もカラカラになり、おまけにロベルト様の婚約が決まった事にも驚き、作戦がうまく行くか心配で心配で…
ああ…神様…もし失敗したらどうしよう…
市場を走り抜けるときにもたくさんの人でにぎわっていた。
「今日は国中の人がデルハラドに集まるんです」
マール様が話して下さった。
「そうなんですか。それでこんなに…」
「広場には芸人たちが集まって色々な芸も披露するんです」
私たちは広場のそばを走り抜けながらその様子を見た。
「凄いですね。では夜会もさぞかしにぎやかなんでしょうね」
「ええ、たくさんの人でごった返します。でも僕たちは貴族エリアですからゆったり過ごせるはずです。安心して下さい」
「そうですか‥それでマール様はロベルト皇太子殿下と親しいとお聞きしましたが」
「ええ、ロベルト皇太子とは同じ年で、学校も同じでして、それが何か?」
「ええ、あの‥実はその皇太子殿下を拝見してみたくて」
「ええ、いいですよ。それくらい。良ければご紹介しますよ」
「いいんですか?」
「ええ、その代わり僕のそばを離れないでいただけますか」
「何かあるんですか?」
「実は父が僕に婚約者を引き合わせると言っていて、ずっと断って来たんです。でも夜会には必ず顔を出すと知っているのでこの時をチャンスだと思ったらしくて、それで申し訳ないんです僕が付き合いを申し込んでいるという話でお願いできたらと…」
マール様は頬を赤くされた。
私はマール様は良い方だと思っているが、勘違いはされたくないと思ってしまう。
それはどうして?浮かぶのはアルベルト様の顔。
いえ、何でもないわ!
そして再度マール様が尋ねた。
「いかがでしょうか?こんなお願いお嫌ですか?」
「あっ…でもいいんですか。私は貴族のお嬢様でもないんですよ。きっとご迷惑でしょう?それに御父上が…」
そう言えばこんな話になってロベルト様に近づけなくなったら…
まごまごしている間にもマール様の説得は続いた。
「シャルロット様、僕は次男ですからそんなものは関係ありません。家督をつぐのは兄ですし、兄はもう結婚して子供もいますので、僕が誰とどうしようと関係ないんですよ」
「はぁ…」
マール様に言い寄られているのに、私がロベルト様に言い寄るなんて…
でもそんな事を言ってはいられません。私にはやるべきことがあるんです。
痛む胃がさらにきゅぅんとにねじれるみたいです。
馬車は王宮の門をくぐると、鬱蒼とした木々の間を抜けると王城の入り口を入って止まった。
「さあ、着きました。どうぞ、手を…」
マール様が紳士的に手を差しだされて私は肢にぐっと力を入れると一歩一歩を確かめるように馬車を下りた。
そしてマントを羽織られた頼もしいマール様にいざなわれて建国記念式典が執り行われる会場に入った。
そこは王城の中庭で前には大きな舞台があり、中央には噴水がありその周りには燭台が整然と並んでいた。
両側に貴族の人たちがずらりと並び、どの方も煌びやかなドレスと礼装に身を包んでいた。
マール様は必然的に父親のブランカスター公爵の隣に並んだ。
「これはこれはシャルロット様では…」公爵はその後の言葉が続かなかった。
「マール、お前どうしてシャルロット嬢を連れている?」
「いけませんか父上?シャルロット様にお付き合いを申し込んでる所なんですなんです」
「どういうことだ?まあこんな所では話も出来ん。後で詳しく聞かせてもらうからな」
「ええ、どうぞ。だから今夜婚約者と会うわけにはいきませんので…コホン」
「マールお前!」
お二人の間に火花が…
どうしましょう。私のせいですか?
見ていられなくて顔を背けた。
私ははっとする。
アルベルト様がじっとこちらを見ていた。
瞳がグリーンだからかしら?いいえ、そんな事彼はとっくに知っているし…
私と目が合うと彼は狼狽したかのように一瞬顔を反らす。
今日の彼はビロード生地の銀色のマントを羽織っていてそのマントには金糸で刺しゅうが施してあった。
その下には白と銀色の騎士隊の礼服でマール様以上に肩章に勲章や飾緒が輝いていた。
思わず胸が高鳴る。
でも、華やかな礼服にうって変わりお顔はすごく元気のない様子…いえ、むしろ怒っているような感じだった。
さらに彼は睨み付けて来た。
傷は治っているはず…痛みのせいではないと分かる。
わ、私のせい?私がここにきているから嫌なんだわ。
なんだか恐い…
私はとっさにマール様にしがみつく。
「マール様、これから何が始まるんでしょうか?」甘えた声で聞く。
「ええ、これからランベラート皇王の挨拶があって式典が始まります。そして聖女エリザベート様が一斉にロウソクに火を灯して…その時ロベルト皇太子やアルベルト様も舞台に上がられますから顔が見れますよ」
「楽しみですわ」
しばらくするとラッパが鳴り響き、貴族の方々が並び始める。
「いよいよです。ありがとうシャルロット、助かったよ。父はしつこいんです」
「いえ、そんなつもりではなかったんですけど…」
すぐにランベラート皇王の挨拶が始まり、いつの間にかアルベルト様も舞台の上にいた。
何だかすごく寂しそう。アルベルト様はひとり離れて後ろにたたずんでいた。視線は何処を見ているかわからないみたいに宙を彷徨っていた。
「ほら、あれがロベルト皇太子だよ」
マール様がロベルト様を教えて下さって顔を確かめる。しっかりその顔を頭に刻む。
ロベルト様は瞳は黒っぽかったが髪はブラウンだった。アルベルト様は美しい金色なのに、そういえばランベラート皇王もブラウンだ。
ではお母様が金色の髪だったのかしら…そんな事を考えながら私の視線はいつの間にかずっとアルベルト様を見ていた。
挨拶が終わると今度はエリザベート様が舞台の前に出て来た。
彼女は赤い緋色の瞳をしていて大柄な40歳くらいの女性だったが若々しく見えた。
そして彼女は付けている腕輪に視線が釘付けになる。腕輪は金色のらせん状で彼女の腕にぐるりと巻き付いていた。
あれが、守護の宝輪なんだわ。お母様のものだった腕輪……
彼女は舞台の上で建国記念のお祝いを述べると手を振り上げた。
「ファイヤートリンカトワイス!」大きな声で呪文を叫んだ。
いきなり燭台のロウソクの炎がついた。
人々の声が上がる。
エリザベートはそんなの当たり前よ。見たいな顔をして次の呪文を唱えた。
「ウォータートリンカトワイス!」
次には噴水から水が滾々とあふれ出した。
人々はますます熱狂した。
そして最後に「ウインドトリンカトワイス!」そう叫ぶと風が沸き起こり色とりどりの花びらが空中を舞った。
きれいな色々な花の花びらが空から降り注いでみんなの頭や顔やドレスに。
仄かな花の香りが漂いそれはとっても華やかな式典だった。
でも、私はその時エリザベート様より少し離れたところで手を振りかざしていた数人の女性に惹きつけられた。
その女性たちも目が緋色だったから…
あの女性たちも魔女?あの人たちなにしてるのかしら?
でも、そんな考えもランベラート皇王の次の発言ですっかり忘れてしまう。
この後、式典でロベルト様の婚約が発表された。
「我が息子ロベルトに隣国のモンテビオ国の王女との婚約が正式に決まった。今宵は建国記念と次期皇王の婚約記念を皆で祝ってくれ」とランベラート皇王が機嫌よく言った。
そしていよいよ皆さんが夜会の会場に入って行った。
私は緊張のあまり喉もカラカラになり、おまけにロベルト様の婚約が決まった事にも驚き、作戦がうまく行くか心配で心配で…
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