蒼子のおそうじ日記

地野千塩

第10話 綺麗になりました 

 配送センターでのバイトをやめ、冴子のいるタイへ行く事に決めた。まずは旅行感覚で二週間だけだったが、心はワクワクしてきた。

「あれ、部屋が綺麗……?」

 気づくと掃除も習慣化され、部屋はスッキリと片付いていた。

 余計な安いものも買っていないので、必要なものだけをシンプルにまとめていた。何より蒼子自身の心がスッキリしていた。物を捨てているようだったが、心の中にある余計な汚れも捨てていたのかも知れない。まだまだ似合う服も見つけられていないし、完璧とは言いがたかったが。

 心のゴミを捨てたら、幸せになるという決意が入ってきた。今はまだノープランだったが、未来に希望を持っている。

 ノートを開くと、赤ぺンで大きく花丸をつけた。部屋が綺麗になった事ではなく、今の何でもない自分へ。

 急に自分を許せる感覚がしてきた。こんな自分でも、どんな自分でも大丈夫だと思えてきた。今、再び部屋が汚れてしまってもそんな自分でも許せそうだった。

『蒼子、よくやったわ!』

 ピー子が飛んできた。手の平の上にとまる。

『蒼子は今のままでオッケーよ。あなたはオッケー!』

 そんな言葉を聞いていたら、どんな自分でも許せそう。ピー子の言葉だが、神様とかそんな偉大な存在が伝えてくれているようにも聞こえてしまい、泣きそうだ。

 再びノートを広げ「幸せになる」という自分の言葉を見てみたが、それは側にあったのかもしれない。

 ノートに蒼子の涙が落ち、インクが滲んでいくが。

 もしかしてピー子は本当に蒼い鳥だった?

『何言ってるの、蒼子』

 ピー子は笑いなが否定していたが、幸せはすぐ側にあった気がしていた。

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