組織から孤島に逃げ落ちた元悪役令嬢は花屋を開きモフモフ動物達とスローライフを送っていたら世界トップレベルの魔石商になってしまった件⁉

菅原 みやび

闇夜の回廊を進め

 私達は開いている玄関のドアを開き、闇夜の月を眺めながら屋敷の回廊を静かに歩いて行く。

 鍵がかかっていなかったのはおそらく今いる屋敷の主から「これるものなら来てみろ」というメッセージだと私は受け取っている。

「ん? お前達曲者か? おいっ、竜牙兵達を連れてこいっ!」

 回廊を曲がった出会い頭に、複数の黒ずくめの男達が待ち構えていた。

 私達はそれぞれ素早く臨戦態勢を取り、黒ずくめの男達を迎え撃つ。

「燃えよ! レッドニードル! 更に伸びよ!」

 私は胸元にレッドニードルを掲げながら、朗々と叫ぶ。

 私の声に応えたレッドニードルはまるで龍のように蛇行し、黒ずくめの男達を一瞬で焼き尽くす!

「な、なんの騒ぎだ! ここをイハール様の屋敷と知っての狼藉か?」

 奥から忙しく現れたのは追加の黒ずくめの男達と竜牙兵達。

「知ってますが、何故そのイハールさんの屋敷にエターナルアザーの関係者がいるんですかねっと! ドラゴンファングっ!」

 クロウのいつもの炎の魔法が応援に来た黒ずくめの男達と竜牙兵達を一瞬で焼き尽くす!

 そう、よくよく考えたら私はエターナルアザーの元№2。

 クロウも現№3である。

 決して彼らが弱いわけではなく、私達が強いだけなのである。

(そりゃ、百年以上も戦闘経験を積めばね……)

 更に私達はエターナルアザーの第一線で死線を潜り抜けて来たのだ。

 言わずもがなである。

 そして小太狼さん。

 禅国の元忍者の統領。

 隠居したものの、現在もその腕は健在なのである。

「ぐっ!」
「がっ!」

 私は天井から回廊に落ち、苦悶の悲鳴を上げる黒ずくめの男達を見ながら1人静かに頷く。

 その黒ずくめの男達の急所や手には、小太狼さんの投げた苦無が刺さっていた。

「さて、早いとこイハール殿の、いや……今現在主になっている者の所へ急がないといけないですからのお……」 

 小太狼さんは無造作に苦無を回収しつつ、ぼそりと呟く。

「そうね……」
「ですよね!」

 私とクロウはそれに賛同するように深く頷く。

(私達の予想ではそれはおそらく……)

 私はそんな事を考えながら、目的の2階のブラッド青年の部屋まで回廊を小走りで進んでいくのだ。

 2階の階段を上ってすぐの場所で、目の前に静かに佇む男が1人いた。

 ガタイの良い体に肩や胸などの主要部分にのみつけられた黄金色の軽鎧が見られる。

 よく見ると頭はドラゴンのそれであり、鱗の色も黄金色であった。

 賊に言うヒューマノイド、いわゆる竜人というやつだ。

「……久しいなレイシャ。それにクロウもか……」
「あ、貴方はエターナルアザー№6のサンダー=ドラグネオン!」

 竜人ドラグネオンの言葉に思わずたじろぐ私とクロウ。

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