組織から孤島に逃げ落ちた元悪役令嬢は花屋を開きモフモフ動物達とスローライフを送っていたら世界トップレベルの魔石商になってしまった件⁉
ブラックシューティングスター
……それからどれくらいの時間が経ったのだろうか?
私達の目の前にはスノーウルフ達のいくつもの死体が転がっていており、白い地面には鮮血が飛散した後も見られる。
私は20頭を超えたあたりから、燃やし尽くしたスノーウルフ達の数を数えていない……。
私は息も絶え絶えになり、レッドニードルを握っていた手にも感覚が無くなってきているのが自身でも理解出来る……。
なにしろ、私の吸った血を元に発動したレッドニードルの魔力も尽きてしまったため、私は自らの手で剣を振るい戦ったからだ。
正直、血を吸われている分動きが制限されてしまうからこうなるのは分ってはいた……。
そんな事を考えている間に、目の前には通常のスノーウルフの三倍ほどの大きさのボスと思われるものが吹雪の中から静かに姿を現す……。
私の見積もった感じでは私が倒した数十頭のスノーウルフよりも強いかもしれない……。
そんな静かな圧を目の前にいたボスは静かに放っていた……。
「……ごめん、クロウ……。後は頼んだわよ……」
私は意識が朦朧とする中、さっきからずっと呪文を詠唱しているクロウに呼びかける。
「異界より流れ落ちる黒き星よ……」
私が聞いた事も無い呪文を詠唱中のクロウは、私に向い静かに頷く。
(クロウのこんな真剣な表情、初めて見るわ……)
そのクロウの手には私が見た事も無い、ねじくれた樫木の杖を握っていた……。
樫木の先端には握りこぶし大程の真紅の魔石がはめ込まれていた。
よく見ると普段つけていない指輪も両手に身に着けている。
それらの魔石はクロウの詠唱が進むにつれ、より強い輝きを放ちだす!
(長から昔聞いた事がある。魔導士は魔法の威力をブーストする時や魔力を底上げする時に魔石の埋まった指輪やペンダントなどのアクセサリーを身につけるって……)
大体が使い捨てのものだとは聞いているから、おそらくこれ一回の為の切り札だろう。
「我が名に応えこの地に顕現し、我が敵を異界に運びたまえ!」
クロウの呪文が完成したのだろうか? クロウの身に着けていた指輪の魔石は全て光を失い、全てどす黒い黒石へと変化してしまう。
更にはクロウの手に持っていた杖の先端の魔石も漆黒の輝きを放ちだす!
一瞬……。
一瞬だけ目の前に黒い閃光が瞬く……。
そのあまりの眩しさに思わず目を閉じてしまう私。
……しばらくし、私は目をそっと開く……。
眼下に広がるのは猛吹雪とその景色……。
確かに私の目の前にいたはずのスノーウルフのボス……。
更にはその目の前にあったはずの木々や岩山がまるで巨大な槍にくり抜かれたような無の空間が広がっていた。
「はあ、はあ……。や、やりましたよ……レイシャ様……」
顔は青ざめ憔悴しきった姿のクロウ。
(この感じ、完全な魔力切れかな……)
「よくやったわ……本当に……」
私はそっとクロウの頭を撫でる。
「あ、ありがとうございます……。とりあえず、いっぺん下山しましょうか……」
「そ、そうね……。また、追加で何かモンスターが現れたらひとたまりもないしね」
♢
(そう、今思えばお互い憔悴しきった私達は仲良く肩を組み、よろけながらもなんとか無事に鉱山を下山したんだったよね……)
「異界より流れ落ちる黒き星よ……」
クロウの詠唱が闇夜の庭園に静かに響き渡る……。
私は目の前でクロウがあの時と同じ呪文を久しく唱えている姿を見て、ブラックシューティングスターの異名とその凄まじいまでの破壊力を思い出すのだった。
私達の目の前にはスノーウルフ達のいくつもの死体が転がっていており、白い地面には鮮血が飛散した後も見られる。
私は20頭を超えたあたりから、燃やし尽くしたスノーウルフ達の数を数えていない……。
私は息も絶え絶えになり、レッドニードルを握っていた手にも感覚が無くなってきているのが自身でも理解出来る……。
なにしろ、私の吸った血を元に発動したレッドニードルの魔力も尽きてしまったため、私は自らの手で剣を振るい戦ったからだ。
正直、血を吸われている分動きが制限されてしまうからこうなるのは分ってはいた……。
そんな事を考えている間に、目の前には通常のスノーウルフの三倍ほどの大きさのボスと思われるものが吹雪の中から静かに姿を現す……。
私の見積もった感じでは私が倒した数十頭のスノーウルフよりも強いかもしれない……。
そんな静かな圧を目の前にいたボスは静かに放っていた……。
「……ごめん、クロウ……。後は頼んだわよ……」
私は意識が朦朧とする中、さっきからずっと呪文を詠唱しているクロウに呼びかける。
「異界より流れ落ちる黒き星よ……」
私が聞いた事も無い呪文を詠唱中のクロウは、私に向い静かに頷く。
(クロウのこんな真剣な表情、初めて見るわ……)
そのクロウの手には私が見た事も無い、ねじくれた樫木の杖を握っていた……。
樫木の先端には握りこぶし大程の真紅の魔石がはめ込まれていた。
よく見ると普段つけていない指輪も両手に身に着けている。
それらの魔石はクロウの詠唱が進むにつれ、より強い輝きを放ちだす!
(長から昔聞いた事がある。魔導士は魔法の威力をブーストする時や魔力を底上げする時に魔石の埋まった指輪やペンダントなどのアクセサリーを身につけるって……)
大体が使い捨てのものだとは聞いているから、おそらくこれ一回の為の切り札だろう。
「我が名に応えこの地に顕現し、我が敵を異界に運びたまえ!」
クロウの呪文が完成したのだろうか? クロウの身に着けていた指輪の魔石は全て光を失い、全てどす黒い黒石へと変化してしまう。
更にはクロウの手に持っていた杖の先端の魔石も漆黒の輝きを放ちだす!
一瞬……。
一瞬だけ目の前に黒い閃光が瞬く……。
そのあまりの眩しさに思わず目を閉じてしまう私。
……しばらくし、私は目をそっと開く……。
眼下に広がるのは猛吹雪とその景色……。
確かに私の目の前にいたはずのスノーウルフのボス……。
更にはその目の前にあったはずの木々や岩山がまるで巨大な槍にくり抜かれたような無の空間が広がっていた。
「はあ、はあ……。や、やりましたよ……レイシャ様……」
顔は青ざめ憔悴しきった姿のクロウ。
(この感じ、完全な魔力切れかな……)
「よくやったわ……本当に……」
私はそっとクロウの頭を撫でる。
「あ、ありがとうございます……。とりあえず、いっぺん下山しましょうか……」
「そ、そうね……。また、追加で何かモンスターが現れたらひとたまりもないしね」
♢
(そう、今思えばお互い憔悴しきった私達は仲良く肩を組み、よろけながらもなんとか無事に鉱山を下山したんだったよね……)
「異界より流れ落ちる黒き星よ……」
クロウの詠唱が闇夜の庭園に静かに響き渡る……。
私は目の前でクロウがあの時と同じ呪文を久しく唱えている姿を見て、ブラックシューティングスターの異名とその凄まじいまでの破壊力を思い出すのだった。
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