組織から孤島に逃げ落ちた元悪役令嬢は花屋を開きモフモフ動物達とスローライフを送っていたら世界トップレベルの魔石商になってしまった件⁉

菅原 みやび

牢に幽閉されし者

「わ、分った……。その強さ本物であるし信用する……。だからその手を放してくれ……」

 リーダー格の男は悲痛な声で呻くように小太狼さんに訴えかける。 

 しばらくして小太狼さんは静かにリーダー格を抑えていた手を放す。

「分かればよい。それでな、儂らは主らの引継ぎにいけと言われてな。内容は主らに聞けと言われた次第じゃ……」
「な、なんだって……? そんな話聞いてないぞ?」

 黒づくめの男達は当然ざわつきだす。

(そりゃそうよね、この話は小太狼さんが今アドリブで作った話だろうし……)

 おそらく小太狼さんはしれっと、この男達から情報を抜き取ろうと考えての事だろうけど……。

(でも、やり方が上手よね……)

 というのはいちおクロウはリッチー=アガンドラと面識はあるし、合言葉も正解だった。

 更には強者の匂いをかもし出す小太狼さんが力でリーダーヘ格を抑えたのである。

 もし嘘であっても、心理的に言う事は聞くしかないし、更にはこの指示が本当なら引継ぎはしないといけない。

 そう、黒づくめの男達には選択肢は最早無いのである。

「……で、儂らは何を守ればいいんじゃ?」
「……この奥は牢屋になっている」

「なるほど、王家が昔使っていた罪人用の牢屋か……」
「そうだ、そこにいる男が脱獄しないように見張っていればいい……。ほら、これがその鍵だ」

 リーダー格の男は、一本の錆びかけた牢屋の鍵を小太狼さんに渡す。

「じゃ、俺達はいくぞ……」
「ふむ、ご苦労様じゃった……。残りの1人には儂が直接伝えておくから安心するが良い……」

「ああ、じゃあな……。後は任せたぞ……」

 黒づくめの男達は小太狼さんに軽く手を振り、何処かに消えて行った……。

(さ、流石小太狼さん、超頼りになる……)

 ホント大した胆力と強さである。

 それからしばらくして私達は牢屋の前に辿り着く……。

 更にはそこで見張りをしていた1人の黒づくめの男に先程の話をし、帰って貰う。

(さて、これで邪魔者はいなくなったけど……)

 私はそんな事を考えながらクロウを横目に見る。

 クロウは暗がりに照らされた光の精の明かりを頼りに黙々と牢の鍵を開ける。

 牢は錆びだらけであり、周囲にはかび臭い何とも言えない匂いが立ち込めている。

 一体いつごろからこの牢屋は作られたのであろうか……。

 それは兎も角、クロウのその目にはいつもの明るい生気は無い……。

「こんな暗いとこに閉じ込められて……」

 クロウが話しかけている相手は1人のボロ布を覆ったみすぼらしい老人であった。

「あ、あうあう……」

 その老人はクロウに向かって何か喋りかけているが正直何と言っているか分からない。

 クロウが悲しそうな顔をしているのはきっと老人を労わっているからであろう。

 私はふと老人が胸に付けているブルーダイヤのペンダントに気が付く。

「ね、ねえ? も、もしかしてこのペンダントって……?」

 小太狼さんは無言で空いた牢に入り、老人が胸に付けているペンダントを裏返しにする。

「ふむ、間違いない……。このペンダントはイハール殿が身に着けていたペンダントじゃ……」
「え? 別のイミテーションじゃないの? だって身に着けている人が別人じゃない……」

「実はこの裏の銀版にな、儂がこっそり印を刻んでおいたのじゃ……」
「え? もしかしてこの十字の傷?」

「そうじゃ」

 私の回答に深く頷く、小太狼さん。

「そうです、このペンダントには長の気配がするんで私はそれを頼りに此処まで追って来たんですよ……」
「そ、そうなんだ。まあ、2人が言うなら間違いないだろうけど」

(それは兎も角、この老人は一体何者であり、何故此処に幽閉されていたの?)

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