組織から孤島に逃げ落ちた元悪役令嬢は花屋を開きモフモフ動物達とスローライフを送っていたら世界トップレベルの魔石商になってしまった件⁉

菅原 みやび

巡る縁

 その時丁度ホウキを持った店のオジサンが私達に気が付き、店から出て来た。

「おや? 貴方達はいつぞやの……?」
「あ、どうも……」

 私達は店のオヤジさんに軽く会釈する。

 それからしばらくして……ここは花屋リランダの店の中。

「えっ! ええええ? け、経営主様がゆ、行方不明に……?」
「そうなんですよ……」

 私達は店のオヤジさんに此処に来た理由を端的に話した。

「そ、それで経営主様のいそうな場所を探していると?」
「はい」

 店のオヤジさんは目をパチパチさせ、私達の顔を見つめている。

「あ、あの……おっしゃる意味は分かりますが、私はそもそも経営主様が行方不明になった事を今貴方達から聞いて知ったんですよ?」

「でしょうね……」
「そのようですな……」

 クロウと小次狼さんは深く頷いている。

(まあ、この感じ2人とも系統の違う読心術を使ってるんでしょう……)

 この人畜無害そうな人の良さそうなオジサンを疑うのは大変心苦しいが、時間が勿体ないので今回ばかりは仕方ない。

「すいません、時間が勿体ないし、人の生死がかかっているので単刀直入にオヤジさんに目的を言います」
「は、はい……」

 真剣な目で店のオヤジさんに食い入るクロウ。

 その態度に店のオヤジさんはたじろいでいる模様。

「私は探知系の魔法が使えるんですよ」
「は、はあ……」

「で、此処にそのヒントがあると私の探知魔法で辿ってきたわけなんです」
「え、ええ?」

 その話の内容に眉を潜め、胡散臭そうな目でクロウを見つめるオヤジさん。

(そりゃそうだよね。店のオヤジさんはブラッド青年が行方不明なのも知らないと言っているのに、クロウは「此処にヒントがあります!」て言っているようなもんだしね)

 店のオヤジさんからしたら、クロウの言っている内容は理解不能だろう。

 ただ、私達はクロウの卓越した魔法能力を信頼している。

 なのでクロウを信じて此処に来たわけなのだ。

「うーん、魔法を知らない人に分かりやすく感覚を説明しても分かんなないでしょうし……」
「は、はあ……」

 まあ、クロウは思いっきり感覚派なので人に説明するのは得意じゃないしね。

 だからか、クロウは思いっきり頭を抱えている状態だ。

「あの、この店の中にイハールさんが何か整理している倉庫みたいな場所がありませんか?」 
「えっ! ……あ、ああ……ありますね! でも『部外者をいれるな』と経営主様に言われてますし……」

「ふむ、それならこれを見ていただけますかな?」

 小次狼さんは懐から取り出した物を店のオヤジさんに見せる。

「ああっ! これは経営主様との契約書とサイン! そ、それにこのアクセサリーはもしや?」
「そうじゃ、儂達はイハール殿と契約したビジネスパートナー。これはイハール殿に委託されたアクセサリーでの、儂達3人の自慢の合作の1つじゃ……」

「あっ! ああ、確かにこの前も貴方達がそんな話してましたね。こ、これは凄い! 私はアクセサリーは専門外ですが、見事なもんですね……」

 店のオヤジさんも花屋の店主であり、それなりに造形美はあるのだろう。

 だからか、ため息をつきながら私達の作った自慢のアクセサリーをまじまじと見つめている。

「素晴らしい! 分かりました、ではそこにご案内させていただきます!」

 オヤジさんは私達がブラッド青年のビジネスパートナーと色々理解してくれたようで、にこやかに笑いながら私達を店の奥の部屋に連れて行ってくれた。

「えっと、ここがその倉庫ですね……」

 オヤジさんは何も無い通路の黄色の絨毯をえいやっとめくる。

 するとなんと驚いた事に、地下に降りる鉄の扉が出て来たのだ。

「鍵を開けてっと……。ではついて来てください」

 私達は言われた通りオヤジさんの後をついて行き地下に下る。

「暗いので明かりつけますね!」

 クロウは素早く呪文を詠唱し、たちまち周囲が明るくなる。

「ほお、これは便利な魔法ですね」
「光の魔法で、有名なやつです。ダンジョンとかによく使うんですよねこれ」

「はは……なるほど……って、あったあった! ここら辺にあるものが経営主様が保管されている取り扱いの品々です」

 オヤジさんが言うようになるほど、確かに絵画に宝石類、毛皮などなど……様々な希少品が並んでいた。

「ねえクロウ、クロウはこの中に手掛かりがあるって言いたいの?」
「はい! レイシャ様。まずはこれです!」

 クロウは無造作に1つの絵画を無造作に手に持つ。

「……え? ええっ! な、何故この絵が此処に?」

 私はクロウが持つ絵を見て、顔が自身で青ざめているのが分った。

 クロウが持つその絵。

 それは私とクロウが初めて組織で仕事をして拝借した絵そのものだったからだ……。

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