組織から孤島に逃げ落ちた元悪役令嬢は花屋を開きモフモフ動物達とスローライフを送っていたら世界トップレベルの魔石商になってしまった件⁉

菅原 みやび

晴天の祝宴

 それから数週間後、晴天の最中早朝からマーガレットが私の花屋に遊びに来ていた。

 遊びに来たというか、実は私がマーガレットを招いたのだ。

 その理由は……。

「ハッピーバースデーツゥユー! マーガレット10歳の誕生日おめでとう!」

 私とクロウの小気味よい拍手音がテラス周辺に響き渡る。

 そう、今日はマーガレットの誕生日だったのだ。

 それで外のテラスにテーブルを持ってきて、それを皆で囲み、わいわい騒いでいる最中だったりする。

 ちなみにメンバーは私にクロウ、マーガレットに子羊のモコだったりする。

 孤児院でのお祝いが夜らしくて、朝からマーガレットに来てもらった次第だ。

「えへへ……。みんなありがとう!」 

 テーブルの上に乗った生クリームいっぱいのホールケーキ。

 その上には10本のローソクが火を灯し、揺らめいている……。

「じゃ、消すね! ふーっ!」

 ローソクの本数が多いからか、中々ローソクの炎は消えない。

「メ、メエエ!」

 しまいにはモコが気を使って息をかけているのがなんとも微笑ましかったりする。

「じゃ、私ケーキ切りますね!」
「うん、お願い!」

 クロウは慣れた手つきでケーキを切り分けていく。

 私はその間に温かい紅茶を陶磁器の容器に人数分注いでいく。

「じゃ、いただきまーす!」

 用意が出来たので、私達は白皿に乗ったカットケーキを銀のフォークで切り分け美味しく食べていく。

「わあ、このケーキ、いちごが沢山入っていて美味しい!」
「ふふ、これはね、イッカ国に売っていた美味しいイチゴケーキなのよ」

「わあ、すごーい!」

 マーガレットは口元に生クリームまみれにし、満面の笑みを浮かべている。

(うん! マーガレットも喜んでくれているし、買ってきて正解だったね)

 私は紅茶を美味しく飲みながら、深く頷く。

「あ、マーガレット、はいこれ誕生日プレゼント!」
「え? なになに?」

 私はそっとマーガレットの首にペンダントをかける。

「わあ! 素敵! マーガレットの花を模したペンダントだ!」

 マーガレットは自身の首にかかったペンダントをまじまじと見つめ、目を潤ませいたく感激している模様。

 白い花弁は1枚1枚真珠を使い、中央の黄色の部分は金色の魔石を使用している。

 あとは周囲を純銀でコーティングして形どり、純銀の鎖をつけて完成したものになる。

 なお、この材料は数週間前にブラッド青年から頂いた、追加報酬から選び作った物だったりする。

「えへへ……喜んでもらえてなにより!」
「えっ! もしかしてクロウお姉ちゃんもこれを作るの手伝ってくれたの?」

「そだよー!」

 驚いているマーガレットに対し、胸を張り得意げにしているクロウ。
 
「クロウお姉ちゃんはね、とびっきり魔力が高そうなものを選んでくれたんだよ」 

「そっかクロウお姉ちゃんは、魔法が得意だから魔力感知が得意なんだよね! 凄いなあ!」
「メエエ!」

「そっ、それほどでもお……」

 クロウは照れて、顔が真っ赤っか状態だ。

 そう、そしてクロウが選んだ魔石と宝石を小太狼さんが綺麗に円状にカットし、後はそれを私が加工し終えたったわけだ。

 更には今回特別にブラッド青年、いや夜の長にお願いしてエンチャント加工して完成させたものだ。

 このマーガレットのペンダントのエンチャント効果は傷の回復上昇と様々な魔除け。

 更にはマーガレットに何か異常があった時にクロウがそれを感知出来るよう加工してある。

 ブリガン島内なら魔法結界は張っていないし、文字通りクロウがすぐさま飛んでいけるってわけ。

 なにしろ、クロウが私の居場所を感知出来たくらいだし、リッチー=アガンドラの手の者が此処を襲撃してくる可能性も出て来たわけだしね。

「ありがとうレイシャお姉ちゃん! クロウお姉ちゃん!」
「メ、メエエ!」

 子羊のモコは妬いているのか、なにやらそこいらに植わってあった白い野生の花を口にくわえマーガレットに渡している。

「あっ! モコもありがとう! いい子いい子!」
「メエエ!」

 モコはマーガレットからふわふわした羊毛に包まれた頭を優しく撫でてもらい、ご満悦の様子。

 私はその様子を眺め笑いながら、ずっとこんな毎日が続けばいいのにと願わずにはいられなかった。

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