組織から孤島に逃げ落ちた元悪役令嬢は花屋を開きモフモフ動物達とスローライフを送っていたら世界トップレベルの魔石商になってしまった件⁉

菅原 みやび

その動きは正に疾風迅雷の如し

「戻りなさい、レッドニードル」

 私の命令に従い、元のサーベルの形状に戻っていくレッドニードル。

(さて、小次狼さんはどんな感じかな?)

 私は小次狼さんを素早く探し、様子を伺うが……。

 仁王立ちをし、こちらを静かに見つめている姿を確認する。

 その小次狼さんの足元には、若干焦げた跡が見られる全身黒ずくめの男が無残にも転がっていた。

(余計な心配だったかな……)

 そんな事を考えながら、私は手を軽く振り小次狼さんの元へ歩いて行く。

「あの、見てないで手伝ってくれてもよかったんじゃ……?」
「はっはっ! なあに久しぶりにレッドニードルの腕を見たくてな? 嬢ちゃんなら儂の気持ち分かってくれるじゃろ?」

「まあ……ね……」

 楽しそうにはにかむ小次狼さんを見て、私は苦笑するしかなかった。

(もう、小次狼さんったら、相変わらずバトルマニアなんだから……。そう、出会った時もそうだった……)

 私は数年前に敵として剣を交えた小次狼さんを思い出す。

(多分全力で戦ったのってあの時だけだよね……) 

 再び小次狼さんの足元に転がっている全身黒ずくめの男を見て思うのだ。

(多分、小次狼が使った雷遁術でやられたんだろうけど……。相手が悪かったよね) 

 小次狼さんが周囲に展開した雷気は相手の動作を全て感知する。

 その中で、雷気を巡らせた目にも止まらぬ疾風迅雷の如き二本の短刀での斬撃……。

 相手のリーチが長かろうが、動作を全て把握され目にも止まらぬ動作で動ける小次狼さんにはそんなもの全く意味をなさない。

(きっと、わけが分からないまま相手も倒れた事だろうな……) 

 そんな事を考えていると、周囲を見回っていたクロウが駆け足でこちらに向かってくる。

「……お2人ともお疲れ様です! 魔法感知で調べた感じでは、もう刺客は見当たりません!」 
「儂も雷気で感知していたがクロウ嬢と全く同じ感想じゃ」

 クロウの魔法感知と小次狼さんの雷気での気配察知。

 それぞれのプロフェッショナルでの2つの感知で確認し、敵意を見せる者はもういないと判断したのだ。

「分かったわ……。じゃ、宿に戻りましょうか……」

 そう、色々と清算する為に……。

 私達は深く頷き、宿に帰る事にする。

 ……それから色々あって翌日の早朝。

 晴天の最中、私達はイッカ国の自警団に来てもらい、外に転がっている死体2体と外に縛って転がしてい放置していた賊3人を引き渡す。

 幸いイッカ国の法律では「正当防衛による相手の死は罰せられない」。

 昨日の夜に食事をしたお店では言質を取っているので問題ないしね。

(お店の青年もそうだけど、沢山のお客さんも見ていたしね。実際にクロウは襲われそうになっていたしで、どちらが襲われた被害者側かなんて一目瞭然だものね……)

 そう、私達は完全な被害者なので、本当にいい迷惑である。

 私は宿部屋の中の窓から、プレイトメールで身を固めた屈強な自警団達にしょっ引かれて連れられる3人を眺め昨日の事を思い出す。

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