受験生は視線そらさない
日曜日の午前10時43分
「あの。はなしていただけますか」
彼女が僕に訴えている。
いつのまにか僕は彼女と再び見つめ合っていた。
凝視、という表現が的確だろう。
さっきまでと違うことがある。
あきらかに僕が紅潮し、頭の回転が遅くなったことだ。
よろけつつも片足で立っている彼女。
もう片足は空中を膝蹴りしたままで、僕がつかんでしまっている。
彼女の声が僕の脳に届くまで時間がかかっている、そんな気がする。
処理速度が遅い。僕は言い返せないままだ。
「あの」
さっきまでと違う声のトーンの彼女がーーーーさっきまでよりも、ほんの少し小さく感じられた。
「うん」
僕は、無表情に答えた。つもりだ。
ふにゅ、とやわかい感触が手のひらにある。
血液の流れがさっきまでと違うのだろう、頬や脳に血が集まっているのかもしれない。
僕の手は、あたたかいともひんやりとも区別がつかないままで、どちらかというとギュっと脚をつかんでしまっていた。
「・・・えっち」
彼女が無表情で言う。
「そ」
僕は答えるが、うまく認識できていない。
「はなしてもらえません? その、その手」
彼女が言い淀んだ。
「その手。どの手」
「だからそのそれ、その」
「ああ、これ」
僕は理解した。
でも脳から手へ情報伝達がうまくいかなかったのだろう。
僕は彼女の脚をつかんだまま、くいっと膝を僕の下腹部に当てた。
「な!」
とととっと。と、彼女がよろけつつも片足で上手にバランスを整えている。
「なにを、なさいますの」
と彼女が困り顔に見えたので、
「うん。ひざげり?」
と僕は答えた、
そう答えながら彼女の脚を持ったまま、その膝を僕の下腹部に直撃させる。
「な!」と驚く彼女、さっきまでのよりも小さい声。
「なぜ僕を蹴り飛ばしたのさ?」と僕は問う。
「ええっ!? えっ、えっ、えっ!! なんで? えっ、わたし蹴ってなんかいない」
と、まるでうろたえたみたいに彼女がバランスを失いかけてしまったので、
つい。
「あ。あぶない」
と僕は彼女を支えた。
支える手に力を込め、指先はふとももをもみほぐしにかかり、
「とっとっと」
と僕までバランスが乱れてしまったので、
「!」
あきらかに驚いたような顔で、目をおおきくした彼女。
僕と目が合い、そのまま固まってしまう。
なにもかもが静止したかのように思えた次の瞬間、僕の指から力が少しだけ抜ける。
その拍子に、彼女の脚が重力で床に引き寄せられるように落ち始めた。
「あ」
「あ」
ふたりの声が重なったとき、僕の手のひらは彼女の脚を逆流してしまい、指先がスカートとは別の生地と思われる薄い布に触れていた。
すとん、と彼女の膝蹴りが終わって靴が床に降りたとき。
僕の手は彼女のスカートの中にあり、めくりあげたみたいな格好になってしまった。
彼女が僕に訴えている。
いつのまにか僕は彼女と再び見つめ合っていた。
凝視、という表現が的確だろう。
さっきまでと違うことがある。
あきらかに僕が紅潮し、頭の回転が遅くなったことだ。
よろけつつも片足で立っている彼女。
もう片足は空中を膝蹴りしたままで、僕がつかんでしまっている。
彼女の声が僕の脳に届くまで時間がかかっている、そんな気がする。
処理速度が遅い。僕は言い返せないままだ。
「あの」
さっきまでと違う声のトーンの彼女がーーーーさっきまでよりも、ほんの少し小さく感じられた。
「うん」
僕は、無表情に答えた。つもりだ。
ふにゅ、とやわかい感触が手のひらにある。
血液の流れがさっきまでと違うのだろう、頬や脳に血が集まっているのかもしれない。
僕の手は、あたたかいともひんやりとも区別がつかないままで、どちらかというとギュっと脚をつかんでしまっていた。
「・・・えっち」
彼女が無表情で言う。
「そ」
僕は答えるが、うまく認識できていない。
「はなしてもらえません? その、その手」
彼女が言い淀んだ。
「その手。どの手」
「だからそのそれ、その」
「ああ、これ」
僕は理解した。
でも脳から手へ情報伝達がうまくいかなかったのだろう。
僕は彼女の脚をつかんだまま、くいっと膝を僕の下腹部に当てた。
「な!」
とととっと。と、彼女がよろけつつも片足で上手にバランスを整えている。
「なにを、なさいますの」
と彼女が困り顔に見えたので、
「うん。ひざげり?」
と僕は答えた、
そう答えながら彼女の脚を持ったまま、その膝を僕の下腹部に直撃させる。
「な!」と驚く彼女、さっきまでのよりも小さい声。
「なぜ僕を蹴り飛ばしたのさ?」と僕は問う。
「ええっ!? えっ、えっ、えっ!! なんで? えっ、わたし蹴ってなんかいない」
と、まるでうろたえたみたいに彼女がバランスを失いかけてしまったので、
つい。
「あ。あぶない」
と僕は彼女を支えた。
支える手に力を込め、指先はふとももをもみほぐしにかかり、
「とっとっと」
と僕までバランスが乱れてしまったので、
「!」
あきらかに驚いたような顔で、目をおおきくした彼女。
僕と目が合い、そのまま固まってしまう。
なにもかもが静止したかのように思えた次の瞬間、僕の指から力が少しだけ抜ける。
その拍子に、彼女の脚が重力で床に引き寄せられるように落ち始めた。
「あ」
「あ」
ふたりの声が重なったとき、僕の手のひらは彼女の脚を逆流してしまい、指先がスカートとは別の生地と思われる薄い布に触れていた。
すとん、と彼女の膝蹴りが終わって靴が床に降りたとき。
僕の手は彼女のスカートの中にあり、めくりあげたみたいな格好になってしまった。
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