亡命した貴族令嬢は隣国で神のような愛に包まれ、名家奪還の大逆転を遂げます!

鼻血の親分

Episode19

「僕の婚約者を紹介しよう。入っておいで」

ギィィ……とモニカがゆっくりと扉を開け、コツコツコツと靴を鳴らして私は堂々と入場致しました。チラッとリュメルは私を見ましたが、まだ気づいてないご様子。でもその後ろに控えていたスカーゲンが「あ……」と驚きの声を上げて立ち竦んでいます。

「リュメル閣下、この御令嬢に見覚えはございませんか?」
「えっ、いや?殿下、初めてと思いますが……」

あら、カアラプシャン国のベリューム家ではボロボロの姿しか印象にないので、孫にも衣装と言われたくらい着飾った私がお分かりになってないようね。では、私からご挨拶致しましょう。

「お久しぶりでございます。リュメル……様」
「ん?……んん!?」
「貴方の元正妻だったフロリアンをお忘れになって?」
「な、なに、フロリアンだと!?ま、まさか……ええーーーーーーーーーっ!」
「リュメル閣下、僕はフロリアン公爵令嬢と婚約しました。一応、元御主人に報告しなければと思ってね」

私だと認識したリュメルは、驚きのあまり立っていられなくなり、ソファーに座り込んでしまいました。そして震える手で私を指さしたのです。

「な、何で君がここに居るんだ?何故、殿下の婚約者なんだ?……じ、冗談にも程があるぞ!」
「リュメル様、私はライクス王国に亡命致しました。そして殿下と婚約したのです」
「そんな馬鹿な……」

まだ『信じられない』という表情を浮かべるリュメルは、しきりにゲーニウス殿下を見ています。冗談だと早く言って欲しいのでしょうか?

「では、本題に入りましょう、閣下」
「ま、待ってくれ。本当にフロリアンだな?まさか君は亡命して我がカアラプシャン国の機密情報を売ったのか!?」
「リュメル閣下、彼女からは何も聞いてませんよ」
「し、しかし……そうでなければ、ここに居るはずもない」
「フロリアンはライクス王国が保護対象として認めた要人です。そして僕の婚約者でもある。……それだけです」
「…………」

リュメルは余りにも突然の展開に茫然としてるようですが、殿下はそれを無視してお話を続けました。

「さて、懸案だったカアラプシャン国からの密入国者について、これまで前外交主宰だったベリューム公爵と協議を重ね対応してきたが、閣下になられてから犯罪を繰り返す者が爆発的に増加しています」
「……え?えーっと、そ、それはご迷惑を……。陛下からも厳しく取り締まるよう命じられているところで……」
「我が国はもはや我慢の限界を超えている。この度はライクス王国で収容している一万人の密入国者を強制送還します。犯罪を繰り返す彼らに二度と我が国へ入国出来ないよう対応をお願いしたい」
「なんと、一万人もだと!?」
「ええ、そうです。それからペナルティとして全ての貿易を一旦停止する。当然、渡航も制限するようになるでしょう」
「い、いや、待て!そんな事したら我が国の経済は破綻する!」
「ライクス王国は既に多大なる損害を被っている。これくらいの措置は当然だと思いますが?」
「で、殿下は圧力を掛けてるのか!?我が国を追い詰めれば双方が傷つくだけだぞ!」

「フッ、これは宣戦布告……と思って貰って結構だ。リュメル閣下」

リュメルが慌てふためいています。私は密かにほくそ笑んでしまいました。それにしてもゲーニウス殿下がカッコよくて素敵です!





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