亡命した貴族令嬢は隣国で神のような愛に包まれ、名家奪還の大逆転を遂げます!
Episode16
「フロリアン、よく来てくれた!」
ゲーニウス殿下の執務室に入った瞬間、とびきりの笑顔でハグされました。それはモニカが咳払いするまで続きます。
いきなり私はポワーんとしてしまいました。
「どう?こちらの生活は慣れたかい?」
「は、はい。……いえ、実は余りにも皆様が親切で少々戸惑っております」
「なるほど。でもそれだけ君はこの国にとって大切な存在なんだよ」
「有難い事でございます。これも父のなされた事業のお陰だと思います」
「そうだね。今は亡き父に代わって君がカアラプシャン人の希望の光だ。僕はその事である決断をした」
「……と仰いますと?」
「こっちへおいで。フロリアン」
殿下にぎゅっと手を握られ、宮殿の見える窓の側まで歩きました。私は少々ドキドキしております。
「僕はリュメル閣下と会談する。あの宮殿でね」
「え?リュメル……様と?」
私はリュメルと聞いて、カアラプシャン国で虐げられた日々を思い出しました。ベリューム家を乗っ取ったあの方々に腹が立ちます。でもそんな感情は殿下の意外な言葉によって掻き消されたのです。
「そこに君も同席してくれないか?嫌でなければ……」
「わ、私も!?」
えーっ!何で!?
正直返答に困りました。同席すれば亡命した事を公にします。殿下は一体どういう意図で仰っているのでしょうか?
「僕がフロリアンを保護してる事実を元御主人に宣言されてくれ」
「あ、あの……それはどういう意味でしょうか?」
すると殿下は私の耳元でささやかれたのです。
「フロリアンを僕の婚約者として紹介したいんだ」
──はぁあ?な、何を仰って……!?
「お、おからかいにならないでください!」
つい興奮した私は真っ赤な顔をして殿下に詰め寄ってしましました。
「殿下は私からカアラプシャン国の何が知りたいのですか?ライクス王国への対応についてですか?何でもお答え致します。だから思わせぶりな発言はやめてください!」
あー、言っちゃいました。もうおしまいかもしれません。だって、婚約者だなんてあり得ませんもの。殿下は私の気持ちを弄んでいらっしゃいます!
そんな私を制す様に殿下は優しく両手を握られ、そっとお顔に近づいて来たのです。私は恥ずかしくて思わず顔を背けてしまいました。
「驚かせてごめん。でも僕は本気だ。それにカアラプシャン国の事なら君に聞かなくても何でも知っているよ。多くの諜報員を入れてるからね。例えば、君があのお屋敷で何があったかも含めてだ」
「……えっ!?」
殿下と目と目が合いました。
「使用人の一人に諜報員を潜り込ませていた」
「そ、そこまでしてリュメル様の動向を探っていらしたのですか!?」
「君も知っての通り、我が国はカアラプシャン国からの不法入国、オーバースティなど、不法滞在者に困っている。中には犯罪を繰り返す者も居るんでね」
「はい。それは承知しております」
「だから僕はこの問題に終止符を打ちたい」
「それは……つまり」
「我が国はカアラプシャン国を侵略する!リュメル閣下に宣戦布告をするんだ!」
や、やはり殿下は戦争をお考えになっていらっしゃる!
私は意味不明な婚約のお話よりも、カアラプシャン国がどうなっていくのか、そちらの方が心配になりました。
ゲーニウス殿下の執務室に入った瞬間、とびきりの笑顔でハグされました。それはモニカが咳払いするまで続きます。
いきなり私はポワーんとしてしまいました。
「どう?こちらの生活は慣れたかい?」
「は、はい。……いえ、実は余りにも皆様が親切で少々戸惑っております」
「なるほど。でもそれだけ君はこの国にとって大切な存在なんだよ」
「有難い事でございます。これも父のなされた事業のお陰だと思います」
「そうだね。今は亡き父に代わって君がカアラプシャン人の希望の光だ。僕はその事である決断をした」
「……と仰いますと?」
「こっちへおいで。フロリアン」
殿下にぎゅっと手を握られ、宮殿の見える窓の側まで歩きました。私は少々ドキドキしております。
「僕はリュメル閣下と会談する。あの宮殿でね」
「え?リュメル……様と?」
私はリュメルと聞いて、カアラプシャン国で虐げられた日々を思い出しました。ベリューム家を乗っ取ったあの方々に腹が立ちます。でもそんな感情は殿下の意外な言葉によって掻き消されたのです。
「そこに君も同席してくれないか?嫌でなければ……」
「わ、私も!?」
えーっ!何で!?
正直返答に困りました。同席すれば亡命した事を公にします。殿下は一体どういう意図で仰っているのでしょうか?
「僕がフロリアンを保護してる事実を元御主人に宣言されてくれ」
「あ、あの……それはどういう意味でしょうか?」
すると殿下は私の耳元でささやかれたのです。
「フロリアンを僕の婚約者として紹介したいんだ」
──はぁあ?な、何を仰って……!?
「お、おからかいにならないでください!」
つい興奮した私は真っ赤な顔をして殿下に詰め寄ってしましました。
「殿下は私からカアラプシャン国の何が知りたいのですか?ライクス王国への対応についてですか?何でもお答え致します。だから思わせぶりな発言はやめてください!」
あー、言っちゃいました。もうおしまいかもしれません。だって、婚約者だなんてあり得ませんもの。殿下は私の気持ちを弄んでいらっしゃいます!
そんな私を制す様に殿下は優しく両手を握られ、そっとお顔に近づいて来たのです。私は恥ずかしくて思わず顔を背けてしまいました。
「驚かせてごめん。でも僕は本気だ。それにカアラプシャン国の事なら君に聞かなくても何でも知っているよ。多くの諜報員を入れてるからね。例えば、君があのお屋敷で何があったかも含めてだ」
「……えっ!?」
殿下と目と目が合いました。
「使用人の一人に諜報員を潜り込ませていた」
「そ、そこまでしてリュメル様の動向を探っていらしたのですか!?」
「君も知っての通り、我が国はカアラプシャン国からの不法入国、オーバースティなど、不法滞在者に困っている。中には犯罪を繰り返す者も居るんでね」
「はい。それは承知しております」
「だから僕はこの問題に終止符を打ちたい」
「それは……つまり」
「我が国はカアラプシャン国を侵略する!リュメル閣下に宣戦布告をするんだ!」
や、やはり殿下は戦争をお考えになっていらっしゃる!
私は意味不明な婚約のお話よりも、カアラプシャン国がどうなっていくのか、そちらの方が心配になりました。
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