亡命した貴族令嬢は隣国で神のような愛に包まれ、名家奪還の大逆転を遂げます!

鼻血の親分

Episode13

「おお、フロリアン!君に逢いたかった!」

ゲーニウス殿下は笑顔で私を迎えてくださいました。そして、事もあろうかハグなされたのです!

──ひゃ、あ、あの、憧れの王子様に……

私は例によってカラダが硬直してしまい、更に殿下から甘い香りが漂ってきてボーっとします。
上品な装飾が施されたパールホワイトの宮廷服を着こなされた殿下は、益々素敵な男性になっておられました。

ああ、恥ずかしいです。殿下、もうお辞めになってください。……いえ、正直に申しますと、ずっーとこうしていたいです……

執務室で長めのハグをされていると、モニカが咳払いして夢のような時間が終りを告げました。

「殿下、フロリアンが困ってます」
いえ、困ってないですけど。
「あ、嬉しくてつい。それにしても暫く会わないうちに一段と綺麗になったね」
「き、綺麗だなんて……」
殿下こそ、お世辞がお上手になりましたのね。貴族院では、全く私に無関心なご様子でしたのに。

「我がライクス王国はとても優秀且つ、素敵な女性を手に入れた。フロリアン、僕が全力で守る事を約束しよう」
「ありがとうございます。殿下、私に出来る事があれば何なりと仰ってください」
「……僕は君の美しい文字をいつも眺めていた」
「え?それは父の代筆をさせて頂いた外交書類の事でしょうか?」
「そう。最近は元御主人のね」
「……はい」
「フロリアン、僕の仕事を手伝って貰えないか?」

実はそのお言葉を待っておりました。ライクス王国の外交主宰のお仕事が手伝える事は、カアラプシャン国の行く末が見えます。私が政治的に利用されるのは仕方ありませんが、ただ、正しい方向へ導いて頂ければそれで良いのです。これが間近で感じられるのは願ってもないお話だと思います。

「私で良ければ、喜んでお手伝いさせて頂きます」
「それは有難い、フロリアン!」

殿下にぎゅっと両手を握られました。私、もう気絶しそうでございます。それにしても殿下って女性に対して、こんなに積極的な御方だったのかしら?貴族院でのイメージとは少々異なります。

「今日は疲れているだろうから、お屋敷でゆっくりして、落ち着いたら顔を見せてくれ」
「お心遣いありがとうございます。ではまた……」
私はお顔を赤らめながら、そうお答え致しました。


゚・*:.。. ☆☆.。.:*・゜゚・*:.。. ☆☆.。.:*・゜゚・*:.。. ☆☆


それから私たちは騎士に護衛されてモニカ様と馬車に乗り、父が建てられたというお屋敷へ向かいました。

「まったく殿下ときたら、ハグが長いって!」
「モニカ様、ゲーニウス様も今では外交主宰です。女性の扱いにも慣れてらっしゃるのでしょう」
「あー、フロリアン?先ずモニカと呼び捨てにして頂戴。それから殿下は貴族院時代から硬派な男性よ。あんなにデレデレしたお姿、初めてご覧になりましたわ!」

そ、そうなんだ。どういう事かしら。よっぽど私からカアラプシャン国の機密情報が知りたいのでしょうか……?

私は馬車に揺られながら、正面でイライラしてるモニカに気づかないフリをして、物思いにふけっておりました。




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