亡命した貴族令嬢は隣国で神のような愛に包まれ、名家奪還の大逆転を遂げます!

鼻血の親分

Episode12

私たちは早朝からディーナが用意した馬車に乗り、国境まで進みました。ここでライクス王国の役人と落ち合い、騎士団に護衛されながらライクス王国へ入国したのです。これも全てディーナのお陰だと思います。

「ありがとう、ディーナ。無事、国境を越えられましたね」
「はい、手筈通りです。ところでお嬢様、久しぶりに見るライクス王国の街並みはいかがですか?」
「ええ、とてもお懐かしいですわ」

……私は留学時代を思い出しておりました。整然と並ぶ美しい建物や街路樹、人々で賑わう活気ある市場など、どれもこれもカアラプシャン国とは大違いでございます。私は時間が経つのも忘れるくらい、この国の景観に見惚れていました。

やがて首都へ到着した私たちは宮殿の敷地内にある大きな建物へ入り、最終的な署名などの手続きを行って、ようやく亡命が叶ったのです。

「あー、これで晴れてライクス王国の民になったのねー!」
「はい、お嬢様!お疲れ様でございました!」
私はユリカと共に天井を見上げながら背伸びをしました。とても清々しい気分でございます。
その時、同い年くらいの女性に声をかけられました。スラッと高身長でとてもお美しい女性です。その女性の後ろには四人の兵士が控えております。何やら物々しく感じます。

「フロリアン……ですね?」
「は、はい。そうでございます」
「やっぱり面影あるわ!」
「はあ……」

えーと、正直に申せば、どなたか失念しています。「どちら様でしょうか?」とも申し上げにくい。
でも困惑した私の雰囲気が、この女性に伝わったようです。

「あーら、貴族院の学友だった『モニカ』をお忘れになって?」
「……あ!」

私は思い出しました。確かに貴族院でご一緒でした。でも殆どお話した事などございません。何故なら、伯爵令嬢の彼女は美しい容貌でいつも大勢の学友に囲まれていたから、地味な留学生である私は近寄りがたく……いえ正直に申せば苦手な存在だったのです。容姿端麗、スタイル抜群、華やかで高飛車な女性っていうのはどうも……

「私が貴女を担当するとこになりましたの。宜しくね、フロリアン」
「え?あの、担当って……?」
「貴女は要人特別待遇。だから我が国が保護致しますわ」
「要人?私が!?」
「ええ、カアラプシャン国、外交主宰のご夫人だったからねえ。なので貴女には二十四時間、護衛が付きます」
「そんな、大袈裟です!私ごときに!」
「これは殿下の命令なのよ」
「ゲーニウス殿下の!?」
「貴女にとてもお逢いしたがっているご様子。妬けるくらいにね!」

きっと彼女はからかっていらしゃるんだわ。大国の王子様が……あの眩いゲーニウス様が、私ごときに逢いたいだなんて。いえ、もしかして政治的に利用したいって事かしら?私からカアラプシャン国の情報が聞きたくて……

「フロリアン。では、ご挨拶に参りましょう」
「いきなりですか!?」

私たちはモニカの先導で宮殿の奥へと進んで行きました。周りには兵士が護衛しています。亡命直後から王子様に謁見とは、この驚きの展開に私はかなり戸惑っております!




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