ノクターナルサーガ Nocturnal SAGA
第4章 男子禁制87 夏川リサの本性
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姫野にカフェテリアで罵られた日の夕食の後。紫生が海の宿題を見てやっていると、いきなり部屋のドアが勢いよく開いた。二人が驚いて入口を見るとリサが立っていた。リサは腕組みしたまま部屋に勝手に入ってきた。
「ちょっとあんた。今日、偉そうなこといってくれたわね?」リサは学校では誰にも見せたことのないキツイ口調でそう言った。
「偉そうって?」
「怖いのは、あなただとか。恥ずかしくないのかとか。どういうつもりよ!」
当時紫生がリサの家で世話になっているのは同級生の誰もが知っていることだったが、紫生を虐めているのがリサだということは、紫生と巴萌以外、誰も知らなかった。
リサは頭も要領も良く、先生の受けも良かった。なおかつ人付き合いも愛想も良かったので、リサが虐めをやるとは、まず普通の人間は疑わない。姫野は気が強い割には繊細な性質だったので、いつもリサの顔色を伺がっていた。
そんな姫野の性格を利用して、リサはいつも姫野を通して、気に入らない人間を虐めているのだ。ドラマでよく見るありがちな設定だが、実在するということをリサに会って初めて知った。
だがそれを学校でおおっぴらに言うことは出来なかった。巴萌も皆の前ではリサのことには触れなかった。海が何をされるか分からないからである。
実際のところ、リサと接点のある生徒たちはリサの本性に気付いてはいた。だがリサは、証拠が残る積極的な虐めは絶対にしなかった。全て証拠の残らない、虐められた方の「気のせいだ」と言われてしまえばそこまでの、消極的な虐めが彼女のやり方だった。だから誰も何も言えず、余計に怖れている。
だが紫に対しては家では露骨な態度を見せていた。それが最近特に激しくなっている。
「やっぱり、アカウントを探したのはリサね?」
「そうよ。あんたスマホを置きっぱなしで隙だらけだもの」
「なんて陰湿なの?」
「黙れ! 居候の分際で。大人しくしていろよっ! 生意気なことしたら、海と一緒にいられなくしてやるからね」そう言うと、リサはバタンとドアを激しく閉め、部屋を出て行った。
「お姉ちゃん?」海が不安そうに紫生のそばに寄って来た。
「大丈夫よ。そんなこと出来っこないから」紫は海を抱っこした。
+++
「学校でわたしを本当に虐めていたのはリサよ。姫野さんはリサの言いなりになっていたに過ぎない。
前に姫野さんがリサに命令されて出した呪いの手紙を見せてくれたわよね。リサが死んだ日も海は一晩中飲まず食わずで真冬のトイレに閉じ込められていたの。
桃李が来て助け出してくれたから私と海はスピリットに殺されずに済んだけど、怜と桃李がわたしたちの前に現れなければどっちにしろ夏川家で殺されていたわ。
怜の行動は魔族の掟破り。ハンターとしてあるまじき行為よね。
けど怜は半分神様だもの。おかげでわたしはたちは助かった。あのとき桃李がいったの。『たとえば誰にも見られず呪いの手紙を出したとする。自分は上手くやったと思うかもしれない。けどほからなぬ自分は知っている』ってね」
フッと怜の口元が緩んだ。「桃李にしては」
「まともよね。一年に一回くらいいいこというのよ。リサは自分で自分の鬼を呼んだだけ。だからもう自分を責めないで。怜はわたしたちを助けてくれたのよ。わたし全然恨んでない」
怜は静かに頷いた。
貴賓室の前室で入るのをためらっていた桃李は黙って前室を出て行った。廊下を歩いていると、犬井が慌ててやってきて「桃李様、玄世様がお見えです」といった。桃李は急いで貴賓室に戻ると怜と紫生を呼んでリビングに向かった。
姫野にカフェテリアで罵られた日の夕食の後。紫生が海の宿題を見てやっていると、いきなり部屋のドアが勢いよく開いた。二人が驚いて入口を見るとリサが立っていた。リサは腕組みしたまま部屋に勝手に入ってきた。
「ちょっとあんた。今日、偉そうなこといってくれたわね?」リサは学校では誰にも見せたことのないキツイ口調でそう言った。
「偉そうって?」
「怖いのは、あなただとか。恥ずかしくないのかとか。どういうつもりよ!」
当時紫生がリサの家で世話になっているのは同級生の誰もが知っていることだったが、紫生を虐めているのがリサだということは、紫生と巴萌以外、誰も知らなかった。
リサは頭も要領も良く、先生の受けも良かった。なおかつ人付き合いも愛想も良かったので、リサが虐めをやるとは、まず普通の人間は疑わない。姫野は気が強い割には繊細な性質だったので、いつもリサの顔色を伺がっていた。
そんな姫野の性格を利用して、リサはいつも姫野を通して、気に入らない人間を虐めているのだ。ドラマでよく見るありがちな設定だが、実在するということをリサに会って初めて知った。
だがそれを学校でおおっぴらに言うことは出来なかった。巴萌も皆の前ではリサのことには触れなかった。海が何をされるか分からないからである。
実際のところ、リサと接点のある生徒たちはリサの本性に気付いてはいた。だがリサは、証拠が残る積極的な虐めは絶対にしなかった。全て証拠の残らない、虐められた方の「気のせいだ」と言われてしまえばそこまでの、消極的な虐めが彼女のやり方だった。だから誰も何も言えず、余計に怖れている。
だが紫に対しては家では露骨な態度を見せていた。それが最近特に激しくなっている。
「やっぱり、アカウントを探したのはリサね?」
「そうよ。あんたスマホを置きっぱなしで隙だらけだもの」
「なんて陰湿なの?」
「黙れ! 居候の分際で。大人しくしていろよっ! 生意気なことしたら、海と一緒にいられなくしてやるからね」そう言うと、リサはバタンとドアを激しく閉め、部屋を出て行った。
「お姉ちゃん?」海が不安そうに紫生のそばに寄って来た。
「大丈夫よ。そんなこと出来っこないから」紫は海を抱っこした。
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「学校でわたしを本当に虐めていたのはリサよ。姫野さんはリサの言いなりになっていたに過ぎない。
前に姫野さんがリサに命令されて出した呪いの手紙を見せてくれたわよね。リサが死んだ日も海は一晩中飲まず食わずで真冬のトイレに閉じ込められていたの。
桃李が来て助け出してくれたから私と海はスピリットに殺されずに済んだけど、怜と桃李がわたしたちの前に現れなければどっちにしろ夏川家で殺されていたわ。
怜の行動は魔族の掟破り。ハンターとしてあるまじき行為よね。
けど怜は半分神様だもの。おかげでわたしはたちは助かった。あのとき桃李がいったの。『たとえば誰にも見られず呪いの手紙を出したとする。自分は上手くやったと思うかもしれない。けどほからなぬ自分は知っている』ってね」
フッと怜の口元が緩んだ。「桃李にしては」
「まともよね。一年に一回くらいいいこというのよ。リサは自分で自分の鬼を呼んだだけ。だからもう自分を責めないで。怜はわたしたちを助けてくれたのよ。わたし全然恨んでない」
怜は静かに頷いた。
貴賓室の前室で入るのをためらっていた桃李は黙って前室を出て行った。廊下を歩いていると、犬井が慌ててやってきて「桃李様、玄世様がお見えです」といった。桃李は急いで貴賓室に戻ると怜と紫生を呼んでリビングに向かった。
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