炎上乙女ゲー聖杯伝説~結婚当日に友人王女が婚約者を寝取って婚約破棄なので諦めてた初恋の隣国王弟の攻略に戻ります

真義あさひ(聖女投稿①書籍化)

魔力継承の仕方

ところで、と休憩中に焚き火で温めて飲んでいた白湯を飲みながらヨシュアが皆に訊いてきた。

「そんなに強い属性別魔力を持ってて、どうやって管理してるの? 違う属性同士で結婚して子供を作ると混ざるよね?」
「それがそうでもないのよね」
「持ってる属性で差別などもないよな。まあ光の魔力持ちだと優遇されるけど」

(乙プリの設定資料集のネタだけど)

「両親が代々続く家だったらって条件が付くけど。父母どちらかが暮らしていた土地で妊娠して生まれ育つことで、ある程度コントロールできると言われてるわ」
「そうですね、同じやり方で子供の外見も両親どちらかに偏って似やすいです」

ヒューレットが横から補足してきた。

実際、例えばカーティスは父親のザックス辺境伯と同じ火の魔力持ちで、外見も辺境伯一族特有の赤茶の髪とグレーの瞳だ。

ヒューレットは王家の近い親戚だが、王家に出やすい金髪ではなく今のノア公爵家に多い水の魔力にヘーゼルブラウンの瞳と銀の瞳。

「私の場合なら、孕んだ土地は母の留学先だったこの国の王都だが、生まれ育ったのは隣国王女の母が隣国に帰国した後だから、母と同じ黒髪だ。ただ、瞳は恐らく実の父と同じだ」

セドリックの場合、彫りの深い顔立ちは隣国王家のものだ。この国の貴族だった実父の要素は目の色だけだった。
両親どちらも土の魔力保持者だったこともあり、セドリックは特に強い土の魔法を扱える。

「妊娠時と育った環境の魔力が関係してるのかな? そういえばオレの家も外からどれだけ新しい血を取り込んでも本家の子供は同じ顔になるなあ」
「ヨシュアさんと同じ?」
「そうそう。うちは使用人も同じ一族で固めてるから家の中はみーんなこの髪の色と目の色だね。顔も同じ」
「それは、また」

青銀の髪と薄水色の麗しの一族なわけだ。想像するだけで圧倒されそうだった。



「エスティア嬢は風の魔力だから……ええと、お母上は四属性だっけ? じゃあお父上似なのかな?」

その場の空気が凍った気がした。
ヨシュアはパラディオ伯爵家の内情を知らないから、平気で地雷を踏み抜いてしまっている。

「ええ。私のこのミルクティ色の髪と緑の目は父譲り。顔は母に似たわ」

どちらも美男と美女だったので、結果として両親の良いとこ取りをした外見に生まれて育っている。

「聖女を輩出するパラディオ伯爵家だっけ? 女系で継承してるのにお父上側の要素が出るようにしたってことは、お母上はお父上にゾッコンだったんだねえ」
「え?」

何だか予想もしないことを言われて、エスティアは父テレンス譲りの緑の目を瞬かせた。

「本当は外見丸ごとお父上の要素を持った君を儲けたかったんじゃないの?」
「考えたこともなかったわ」

(私が子供の頃にはもう両親は仲が悪かったし)

両親の結婚は当時の国王、先王による王命だったと聞いている。

(サンドローザが言ってたことが本当なら、お父様が私を冷遇したのは何か事情があったのかも。でも)

一度は追い出してしまった父親を見つけ出して、話し合いが必要なのは理解している。

けれど母カタリナの生前から十数年に渡って不仲だったあの父テレンスと和解するイメージが今のエスティアには作れなかった。

(お父様が好き勝手なことをやって、領主の仕事や領内の魔物退治をお母様だけにやらせて過労死させたのは事実。外に愛人と子供がいるのも。私は頭に怪我までさせられた。そんな父親と同じ髪と目の色だなんて)

いくら前世の乙プリの推しキャラだったとはいえ、萌えが萎びてしまいそうだった。

救いは、そんな父と同じ髪と目でも、本命のセドリックは綺麗だと言ってくれることだろうか。

(セドリックと復縁したいけど、もう乙女ゲームっぽい選択肢も浮かばなくなってきてるのよね。攻略ルートがあるかもよくわからないし)

そもそも、ここが本当に『乙女☆プリズム夢の王国』の〝ゲームの中の世界〟かも怪しい。
これは同じ異世界転生者のサンドローザ王女も言っていた。

(その辺の検証もしなきゃだし。やることが多すぎて追いつかない)

男性陣が休憩を終えて再出発の準備を始めている。
エスティアも頭を切り替えて山頂に向かうことにした。

          

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