炎上乙女ゲー聖杯伝説~結婚当日に友人王女が婚約者を寝取って婚約破棄なので諦めてた初恋の隣国王弟の攻略に戻ります
結婚前日の不貞
婚約者のアルフォートを呼びに、幼馴染みのカーティスとセドリックと客間に向かうと。
アルフォートの部屋の前で手持ち無沙汰に控えていた侍従がぎょっとした顔をして慌てだした。明らかに挙動不審だ。
「え、エスティア様!? どどど、どうされましたか!?」
「午後からお客様たちとお茶会だと言っておいたでしょう。アルフォートは?」
「お待ちください、いま入られては……!」
婚約者が実家から連れてきた従者はエスティアたちを止めようとしてきたが、時間通りに来ないアルフォートが悪い。
客間のドアを開けると、人の話し声がする。
男の声はアルフォートの。女の声はくぐもっていてよくわからない。
「うわ」
エスティアの後ろから付いてきたカーティスがドン引きした声を小さくあげた。
室内の手前に背の高い観葉植物があって、婚約者たちはまだエスティアに気づいていない。
というより互いに夢中のようで物音など耳に入っていない様子だ。
観葉植物の大きな葉の隙間から見えたのは、抱き合う男女の姿だ。
片方がエスティアの婚約者のモリスン子爵令息アルフォート。
(結婚は明日よ。解消も間に合わない。よくもまあ、私の家に女を連れ込んだわね!)
女性のほうはアルフォートの身体の影になって見えない。
だが抱き合う二人はやがて口づけ合って絡み合い、エスティアたちの耳には濡れた音まで聞こえてきた。
「っ!」
咄嗟に飛び出して行こうとしたカーティスとセドリックを、両腕でそれぞれ静止した。
振り返って、人差し指を縦にしたまま自分の唇に当てた。
『静かに。このまま出て』
無声音で促し、客間の外に出た。
「あの女性は誰?」
「わかりません。来客のどなたかのはずですが、お茶をお運びしようとしたら不要だと言われ部屋から追い出されてしまったので」
侍従に確認したが、肝心の浮気相手のことがわからない。
叱責しようとしたが、この侍従は婚約者のアルフォートが自分の実家から連れてきた者だ。婚儀は明日とはいえ、まだ未婚の今は他家の家人に強い文句は言えなかった。
それに侍従自身、アルフォートのエスティアに対する言動を以前から何度も謝罪していて、今も土下座せんばかりに深く頭を下げている。
「わかった、もういい。だけど、彼は本当に私と結婚する気があるのかしら?」
「………………」
侍従はわからない、という素振りで首を振った。
こうなると彼を責めても仕方がない。
エスティアは二人を連れてサロンに戻ることにした。
          
アルフォートの部屋の前で手持ち無沙汰に控えていた侍従がぎょっとした顔をして慌てだした。明らかに挙動不審だ。
「え、エスティア様!? どどど、どうされましたか!?」
「午後からお客様たちとお茶会だと言っておいたでしょう。アルフォートは?」
「お待ちください、いま入られては……!」
婚約者が実家から連れてきた従者はエスティアたちを止めようとしてきたが、時間通りに来ないアルフォートが悪い。
客間のドアを開けると、人の話し声がする。
男の声はアルフォートの。女の声はくぐもっていてよくわからない。
「うわ」
エスティアの後ろから付いてきたカーティスがドン引きした声を小さくあげた。
室内の手前に背の高い観葉植物があって、婚約者たちはまだエスティアに気づいていない。
というより互いに夢中のようで物音など耳に入っていない様子だ。
観葉植物の大きな葉の隙間から見えたのは、抱き合う男女の姿だ。
片方がエスティアの婚約者のモリスン子爵令息アルフォート。
(結婚は明日よ。解消も間に合わない。よくもまあ、私の家に女を連れ込んだわね!)
女性のほうはアルフォートの身体の影になって見えない。
だが抱き合う二人はやがて口づけ合って絡み合い、エスティアたちの耳には濡れた音まで聞こえてきた。
「っ!」
咄嗟に飛び出して行こうとしたカーティスとセドリックを、両腕でそれぞれ静止した。
振り返って、人差し指を縦にしたまま自分の唇に当てた。
『静かに。このまま出て』
無声音で促し、客間の外に出た。
「あの女性は誰?」
「わかりません。来客のどなたかのはずですが、お茶をお運びしようとしたら不要だと言われ部屋から追い出されてしまったので」
侍従に確認したが、肝心の浮気相手のことがわからない。
叱責しようとしたが、この侍従は婚約者のアルフォートが自分の実家から連れてきた者だ。婚儀は明日とはいえ、まだ未婚の今は他家の家人に強い文句は言えなかった。
それに侍従自身、アルフォートのエスティアに対する言動を以前から何度も謝罪していて、今も土下座せんばかりに深く頭を下げている。
「わかった、もういい。だけど、彼は本当に私と結婚する気があるのかしら?」
「………………」
侍従はわからない、という素振りで首を振った。
こうなると彼を責めても仕方がない。
エスティアは二人を連れてサロンに戻ることにした。
          
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