呪いを解くには、セ×クスするしかありません?!

文野

好き、の自覚7

 その頃、池袋のアパート、六畳間の魔女のへやにて。
 キキは収穫した「支払い」の勘定をしていた。今年のノルマは達成できたかな。達成できないと上司に嫌味を言われる。上司も中間管理職でいろいろと大変なのだろうが、下っ端営業員の魔女も大変なのだ。
 キキは魔女界では若手なので、ノルマもきつい。
 半年前に支払いを受けた「声」を取り出す。
 萌ちゃんの声か。あの弁当はうまかったの。
 萌ちゃんの声は「支払高」が高いだろう。萌ちゃんの声は美声だ。
 どれどれ……。あれ、少ないぞ。
 萌の声の支払高は魔女の予想に反して少なかった。
 魔女は萌の純愛に免じて、天馬に対してだけは話しかけられるようにしたはずだった。声優になるという夢を諦めてまで救った、その純愛に免じて。
 純愛相手と好きなだけ愛を囁き合うがいい。
 その分支払い高は減ったはずだが、それにしても減りすぎている。
 あれ………? 
 あ、逆だ。手元が狂って、純愛相手にだけ話しかけられないようになってた。
 どうしようかの………。
 ノルマはこなせそうだから、支払高が少ないのはいいけど、萌ちゃんには可哀想なことをしたかの。
 キキはしばらく考えて、顔を上げた。
 ま、いっか!
 恋人同士なんぞ、目と目で愛を交わすものだからの。
 言葉なしでもいいだろ。
 魔女は勘定作業に戻った。

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