一途な淫魔の執着愛

森本イチカ

ーー3ー2

「んっ……ぁ……んんっ」


 こんなに近くにいて唇を重ねているのにまだ足りない。もっと洸夜を感じたい。もっと洸夜でいっぱいにしてほしい。日和は自分の両腕を洸夜の首に回してしがみついた。


「んだよ、可愛すぎ」


「あっ……」


 羽織っていたジャケットは剥ぎ取られ、服を捲り上げられた。冷えた身体に洸夜の熱い吐息がかかりビクリと身体が感じて震えた。


「なんか今日の日和の匂い甘いけど、ケーキの匂いの方が強い気がする。でも、いい匂いだ。俺の好きな日和の匂い」


 胸の間に顔を埋め、スーハーと息を吸う。息を吐く度に胸の間に熱い熱が溜まった。


「んあぁっ……やっ……あっ」


 下着を下げられ二つのマシュマロのように柔らかく甘い膨らみが洸夜に食べられてしまう。軽く甘噛され、ちゅうっとキツく吸い付かれる。


「はぁんっ……ぁあッ……んんぅッ……」


 舌先をつかい執拗にペロペロと舐め回されて、視覚にとらえる淫靡さだけで、クラリと目眩がするほどに昂ぶった。


「アぁ……やぁあっ……」


「ヤじゃないだろ。こうやって俺の舌で舐められるの日和は好きだもんなぁ」


「んんっ……恥ずかしいッ……」


「可愛すぎる日和がいけないんだからな? こんな格好もう俺だけにしか見せないで」


 膝上のスカートの中にするりと手が入り込んできた。洸夜はいつも日和の脚を大切そうに撫で回す。


 あ……。


 ショーツに染みをつくるほど濡れている。日和の良いところを知っているこのスラリと長い指はいとも簡単に日和を絶頂まで導いてきた。


「あぁぁ……やっ、あつ、あ、あんっ――」


 後少しで達しそうなところを絶妙なタイミングで指を抜かれ、待てとご主人さまに命令された犬のようだ。


「まだイッちゃダメ。俺ともっと繋がってからじゃないとイかせない」


 カチャカチャと金属の擦れる音にゴクリと唾を飲む。勢いよく飛び出してきた洸夜の性はもう既に準備は満タン。


「あ、こんなときに限ってゴムが入ってねぇや。くそッ」


 スーツのポケットを探っていたが、まさかいつもポケットに避妊具を忍び込ませていたことを初めて知った。


「日和、ベッドまで運んでやる」


 持ち上げようと日和に手を伸ばしいてきたが、もう限界だった。待てを命じられた犬はもう欲しくて欲しくて食べてしまいたくて、伸ばしてきた手を拒んだ。


「もう限界だから……」


 日和は自分から玄関ドアに手を付きサンタのスカートからお尻を突き出した。


「いいのか……?」


「いい。だって私……あんたの婚約者なんでしょう?」


「っつ――当たり前だろ、日和は出会った時から俺の婚約者だ!」


 ギラギラさせたブラウンの瞳はしっかりと日和を捉えている。


 フーフーと息が荒い。頬を紅潮させ額にはうっすらと汗をかいている。日和も洸夜が欲しくて限界だったが、洸夜も同じく限界だったことが目に見えて嬉しかった。こんなにも激しく自分を求めてくれるのはこの生きてきて三十年の人生で洸夜だけだ。でもそれは今まで自分が相手のことを求めていなかったからなのかもしれない。初めてこんなにも自分の身体が自分のものじゃないみたいに飛び跳ねるように嬉しくなったり、心臓を掴まれているように苦しくなったり、悲しくなったり、とにかく洸夜を求めていたのだ。


「……っつ! はぁあんっ……ぁあ、あっ、あっーー!」


「はっ、……んんっ、日和の中すげぇ気持ちいい。腰がとまんねぇ」


 洸夜の苦しそうな息の詰まった声に嬉しくてお腹の奥がキュンとなった。


「んっ……日和……俺だけのひより……」


 耳元でうわ言のように何度も日和の名前を呼び、首元に顔を埋めてはぬるりと舌が首筋を舐め上げ、チリっと痛みが走る。それも何度も。甘く、愛おしそうに。


 湧き上がる快楽はもう限界。ぶくぶくと勢いよく弾けた。


「あっ、やっ、キちゃう、キちゃうからぁぁっ、あぁぁっーーー!」


 全身にキュッと力が入り途端に抜ける。


「……ん、盛大にイッたな。でもまだクリスマスは始まったばかりだからな」


「やぁ、今動かしちゃダメッ……はぁんっ」


 パンパンと肌の当たる音が玄関に響く。奥までリズミカルに突き上げられ洸夜が息を更に荒く、艶めいた声を出した。


「あー、イク。中にだしていい?」


 中に? 日和の身体の中に洸夜の熱が注がれることを想像しただけで身体がビクンと熱く反応した。


「あっ、はッ、あぁ……す、好きにしてッ……ンンッ……」


「俺の子孕んじゃうかもな」


「えっ、あぁっ……んァッ……やだ、っは、げし……ああぁ、ンンっーー!」


「はぁっ、日和ッ……愛してるッ……っっ」


 お尻にポタポタと感じる熱。初めて感じる温かさをボーっと感じた。


 中に出さなかったんだ……。


 少し残念と思う自分と、ちょっと安心してしまった自分。どちらも本音だ。洸夜の子供を妊娠してもいいと一瞬で思えたし、でもちょっと妊娠はまだ怖いと思ってしまう矛盾した自分の気持ち。耳元に洸夜の荒い吐息を感じる。


「もう少し、二人の時間を過ごそうな」


 あ、泣きそう。


「日和……」


 抱き寄せられ、軽々と横抱きにされてしまう。洸夜がとても愛おしそうに日和を見つめ、頬に、額に、唇に、何度もキスを落としながら歩き出した。

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