一途な淫魔の執着愛

森本イチカ

ーー4ー3

「……じ、焦らしてるの?」


 恥ずかしいながらも精一杯の言葉だった。


 洸夜は一瞬驚いた顔を見せたが、直にいつもの強気な態度の洸夜に戻り、くすりと小さく微笑んだ。


「俺に早く抱かれたいの?」


 ……当たり前じゃない。一刻も早く悠夜の痕跡を消してほしい。洸夜でいっぱいにしてほしい。


「日和?」


 ……言わない。言わないけど、分かってよね。


 洸夜の首に腕を回し自分からキスをした。これで分かるでしょう?


 恥ずかしくて自分でも分かるくらいに顔が赤面している。そんな顔を見られたくなくてそっぽを向いた。


「まじで、可愛すぎ。もう抑えらんねぇよ」


 そっぽを向いていた日和の顔を洸夜は両手で包み込み正面を向かせた。欲情に滾った洸夜の顔がよく見える。


「ちゃんと俺に抱かれてるってしっかり見ておけ」


 真っ直ぐに見つめられ身体の奥底からジワジワと何かが湧き上がってくる。熱くて、甘い何かが。


 洸夜はネクタイをしゅるりと外し、ベストもシャツも剥ぐようにして脱ぎ捨てた。スーツの下の引き締まっ身体が眩しくて直視できない。


「駄目。ちゃんと目をそらすな」
 ぎしりとソファーがしなり、その瞬間唇が重なった。


「ん、……んっ……」


 甘い声が徐々に増えていく。抑えようがないくらいに気持ちが良い。


「日和を初めて抱いた時のことを思い出すな。日和とのセックスは全部覚えてる」


 下着をいつの間にか外されて二つの膨らみが揺れた。


「あっ……」


「可愛い。日和の胸は甘くて飴でも舐めてるみたいだ」


 もう、欲しい……そう言いそうになるまで焦らされた所で洸夜の指が日和の足の間に触れた。触れただけなのに腰が浮きそうになるくらいの衝撃だった。


 全然違う。あんなに悠夜に触られ痛かったのに、洸夜に触れられると蕩けるような感覚で甘い蜜が溢れ出してくる。


 悠夜に触れられたのはほんの少し、押し倒されたが痛いと泣きじゃくる日和を見て元は心優しい人だからか直に止めてくれた。もう既に悠夜はいない。日和の頭の中も身体に感じる熱も全て洸夜しか感じない。


「あぁ……ひゃっ……やっ、……ダメっ……」


「あ〜、やらしい。凄い濡れてる。聞こえる? この音、くちゃくちゃ俺の指を咥えこんで鳴らしてる」


「やっ……、あ、あんたにしか濡れて……なっ、はぁん……ないしっ……!」


「俺だけ……」


 指を抜いて、洸夜の指に滴る日和の蜜をペロリと舐め上げた。


「日和の味がする、極上に甘い、俺好みの味」


「な、なに言ってんのよ……」


「もう、誰にも触らせない。俺が一生守るから」


 身体が燃えるように熱い。今まで付き合ってきた何人かの男の一生なんて言葉は全く信じられなかったのに、洸夜の一生という言葉はすぅっと身体の中に吸収されていく。五歳の時からずっと一途に日和だけを求めてくれていた洸夜の言葉だから、真っ直ぐに日和を見つめてくれる洸夜だから信じられるのだ。


 日和が洸夜の瞳に視線を奪われているいうちにどこから出したのかあっという間に避妊具をつけた洸夜が優しく覆いかぶさってきた。


「日和、好きだよ」
 

 ドクンと心臓が高鳴った。


「んぅ……ン……」


 日和の身体に自身の身体を埋めてくる洸夜を見て、愛おしさが込み上げてきた。


 もっと、もっとこの男を早く感じたいと日和は洸夜の首元に手を回し抱きついた。驚いたのか動くのを止めチラリと上を見て日和の顔を覗き込むと満足そうな笑みを浮かべ「夢の中じゃないのに日和がおねだりなんて、嬉しすぎるだろ」と日和の耳元で囁いた。夢の中の自分は素直で、洸夜のことを求めているんだ。でも今は夢ではない現実でも日和は洸夜を求めている。それほどまでに自分の中で洸夜は特別で大きな存在になっていた。

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