一途な淫魔の執着愛

森本イチカ

ーー4ー2

「っと、日和大丈夫か?」


 崩れた日和を洸夜はしっかりと抱きとめた。


「ご、ごめん。なんだが気が緩んじゃったみたい……」


「謝ることじゃない」


 身体から骨が無くなったように力の入らない日和をひょいと持ち上げソファーに背をつけた。日和に覆いかぶさっているのは洸夜だ。悠夜じゃない。でも、どうしてもフラッシュバックしてしまう。あの時の恐怖が。男の人の強い力で抑えつけられたことが、憎しみの感情をぶつけられたことが、ハッキリと蘇る。


「抱いて……」


 洸夜に抱かれたい。隅から隅まで洸夜に愛されたい。あの深い愛情に満ちた綺麗なブラウンの瞳に見つめられたい。


 洸夜の首に腕を回ししっかりと抱きついた。


「ん……ん……」


 引き寄せ合うように唇を重ねる。どうして洸夜とのキスはこんなにも身体が溶けそうになるくらい気持ちいいんだろう。悠夜と仲直りしたとはいえ、された事は記憶から消えない。悠夜のされたおぞましいキスを思い出してしまいバッと唇を離してしまった。日和の異変に気づいた洸夜は優しく日和の頬を撫でる。


「日和、俺が全部塗り替えてやるから安心して俺に抱かれて。俺の腕の中ではなにも余計なことは考えなくていい。俺だけを感じろ、な?」


 真っ直ぐに熱い視線で見つめられる。


「ど、どこ触られたとか聞かないの……?」


「聞かない。そんなこと口にしなくていいだろ? 俺が日和の身体全部を消毒してやるから、いい」


 優しさがツンと鼻の奥に染み、目頭が熱くなった。何も不安がることなんてない。この男に全てを委ねよう。


 そう思うとふと身体の力が抜け気持ちが楽になった。


「こんなに噛み締めて……血は止まったみたいだな」


 日和の切れた唇を覆うように唇で包み込まれる。柔らかくて温かな温もりがまるで治癒効果でもあるんじゃないかと思うくらい唇に痛みを感じない。


 優しく優しく啄まれる。傷つけないように気をつけてくれていることがひしひしと伝わってくる。上唇を丁寧に舐められ、下唇を優しく吸い尽くされた。


「あ……ん……んぅ……」


 呼吸を交わす合間に漏れるとろけた声、まさかこんなにキスだけで感じてしまう日がくるなんておもってもいなかった。キスを繰り返すうちにお互いの息がどんどん上がっていく。腕を洸夜の背中に回し、強く抱きついた。この男から離れたくない。


「日和……好きだ」


 唇からゆっくりと下に這うように移動し、ツツーッと洸夜の柔らかな舌が日和の首筋を這う。細く線を書くような刺激に思わず身を捩った。好きな人に触れられるってこんなに気持ちよくて幸せなんだ。


「日和の匂い、大好き」


 ドクンと鼓動が大きく波打った。好きと言われて嬉しくて、大好きと言われて泣きそうになる。嬉しいのに泣きそうになるなんて恋とは不思議な感情だ。


 舌先が身体から離れバチンと目が合う。洸夜の瞳は優しく細まるが、その瞳の奥は熱を帯びていたのが日和にはすぐに分かった。


 大切なプレゼントをゆっくり開けるように日和の服のボタンが外されていく。一つずつ丁寧に、それが逆に恥ずかしくて顔を横に向けた。


 はらりと脱がされ日和の砂糖のように白い肌があらわになり、洸夜は体重をかけないように気を使いながら日和を抱きしめた。肩に蹲る洸夜のブラウンの髪が頬に当たる。


「ん……」


 首筋にチリっと痛みが走り、キスマークを着けられたと気付かされた。けれど日和は俺のもの、と表されているきがして嬉しくて、もっと、もっと着けてほしい……。


「あっ……」


 洸夜の手が胸に触れた。そっと触れ、撫でるように全体を揉みしだく。マッサージをうけているような、そのくらい優しい。優しすぎてなんだかもどかしい。日和をこんな淫らな身体にしたのは洸夜だ。もっと、もっと欲しい。


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