一途な淫魔の執着愛

森本イチカ

ーー1ー4

「誰にも取られないように俺を日和にしっかりと刻み込んでおかないとな」


「え? ぁっ、ちょっと……あぁんっ」


 恥ずかしいのに、恥ずかしいはずなのに、身体というのは正直でもっと洸夜から与えられる刺激を求めてしまう。


「ははっ、かわいすぎ。日和のおっぱいは柔らかくて揉みごたえがある」


「あぁん……やっ、……んんッ……だ、ダメッ」


 スキニーパンツのチャックを下げられハッと我に帰る。ショーツの中に侵入しようとしている手を引き留めた。こんな所でするなんて……。


「俺は今すぐに日和に入りたい。俺のだって、日和は俺のだって実感させて」


 そんなこと言われたって……。


 おそるおそる後ろに視線をずらすと、バチリと目が合った。そんな目で、日和が欲しいと熱くもとめるような瞳で見ないで欲しい。バーナーで炙られているように視線を受けた場所から熱く焦がされ溶かされてしまいそうだ。


「あっ……」


「あ〜、スッゲェ濡れてる。今日、改めて思ったけど仕事を頑張ってる日和も凄くキラキラしてて魅力的だったな。まぁ、エッチな日和も好きだけど」


 洸夜は日和の頬にちゅっと音を立てて唇を触れさせる。


「え……」


 そうなの?


 てっきり自分の身体だけが目当てなのかと思っていたので洸夜の思いがけない言葉に心臓がドクンと大きく波打った。誇りを持って一生懸命働いているパティシエと言う職業を褒めてもらえたような気がして嬉しいという感情が湧き上がる。


「ん? なんか凄くいきなり溢れ出してきた。気持ちいい?」


「んぁ……はっ……あっ……」


「日和、好きだよ」


「っ……!」


 また、ドクンと心臓が高鳴った。


「チッ、もうこれ邪魔だから下ろすな」


 ショーツと一緒にスキニーパンツを足首まで下げられスルリと脱がされた。日和の無駄な肉のないスラリとした足が露わになると太腿を徐に撫で回す。ただ撫でているだけなのにビクビクと身体が反応し脚から砕け落ちそうだ。


 カチャカチャと金属音が聞こえ、しゅるりとネクタイを外し、ワイシャツを脱ぎ捨てた洸夜が躊躇なく日和に身体を重ねる。


「最初はゆっくり動くけど一応壁に手ぇついてな」


「あ、ちょっと……はぁん……」


 ちゅぅと首筋に強く吸い付かれ力を吸い取られたかのよう。


 も、もしかして今精気を吸い取られたの……?


 力なく壁に手をつけるとヒンヤリと冷たくて火照った身体にはちょうど良かった。


「あ、やだっ、やっぱり人がくるかも……」


「大丈夫、誰も来ないから。それに、日和が魅力的なのがいけない。天使みたいだった日和がこんなにいらやしい身体に育って、溢れ出すほど甘い蜜を垂れ流すんだからな」


 洸夜は背骨に沿って日和の身体に舌を這わす。


「日和はどこを舐めても甘い。……可愛いよ、日和」


「あぁっ……」


 唐突にきた高揚感、息はさらに荒れ、立っているので精一杯だ。


「俺が支えててやるからもう少しがんばってくれよ」


「あぁ、も、やだっ……お、おかしく、んあッ……おかしくなるっ」


「ああ、俺の腕の中でだったらどんなにおかしくなっても俺がいる……日和、こっち向いて」


 甘く優しく誘い込まれる。身体をくるりと回転させられ向き合う状態に、異常に心臓がバクバクと動き出した。


 な、なんか凄くかっこよく見えちゃう……やだ、そんなの有り得ない、でも……。


 引き寄せられるようにキスを繰り返し、自然と自分から洸夜に抱きつき、両腕を首に回していた。肌と肌が触れ合うことがこんなにも気持ちいいなんて洸夜に出会い、抱かれなければ知ることはなかった。


 どうしよう……凄く、キスがしたい……。


 洸夜の事が好きなはずがないのに、淫魔なんてありえないのに、流されるように抱かれてしまっている自分の気持ちが良く分からない。どうして抱かれることを拒めず、身体はこんなにも素直に受け入れてしまうんだろう。どうしてこんなにも……彼が愛おしく感じてしまうのだろう。たくさんの愛を囁いてくれるからだろうか、真っ直ぐな感情を素直にぶつけてきてくれるからだろうか、確かに夢では何年も会ってきた。でも実際はまだ出会って数日なのに自分のどこを気に入って好きと言ってくれているのか日和には分からなかった。


「ひ、よりッ……」


「あっ、んんぅ……ンッ、んん」


 自分の思考を読み取られているんじゃないかと思えるような熱いキス。腰を動かすたびにズレる唇を何度も紡ぎ直す。


「ああ、もうダメッ……あぁぁんっ……!」


「ああ、いい、俺でダメになれ、俺しかっ……日和をこんなに乱すことはできないんだ……」


「あぁっ……!」


 ビリビリと痺れるような感覚が持ち上げられている両足のつま先から流れ始める。


「っく……」


 息を詰らせた洸夜の身体がぶるりと震えた。なかなかひかない恍惚に身体に力を入れることができない日和の身体をいたわるように姫抱きにし、洸夜は額に優しいキスを落とした。


「日和、お前だけは俺の側から離れないでくれよ……」


 優しいのに、切なげで、ギュウッと大事なものを誰にも取られないよう抱きしめるように日和の息が整うまで洸夜は抱きしめ続けた。

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