一途な淫魔の執着愛
ーー6ー2
「お待たせ致しまし……えぇ!?」
ビシッとまとめ上げられたブラウンの髪、ネイビーのスリーピーススーツをサラリと着こなした長身の男。吸い込まれそうな髪色と同じブラウンの瞳。
「よお、来てやったぞ」
「はあ!?」
フンッと得意げにシュガーベールに洸夜が突然現れた。
来てやったぞって何!? この男もしかしてストーカーにでもなっちゃったの?
日和はドンびいた顔で洸夜を見る。
「はあ? って、婚約者の店に来たって良いだろう。それに俺は今日仕事の話をしに来たんだから」
「え、婚約者って日和っ、いつの間にこんなイケメンと婚約してたのよ!」
婚約者と言うワードに綾乃が食いつく。自分が聞きたいくらいだ。婚約者だなんてとんでもない。こいつは変態ヤリチン野郎だ。
「婚約なんてしていないし、こんな人知りません」
日和は真顔で返事を返した。
「おいおい、知らないってあんなに俺たち愛し合って、昨日だって――んんっ」
冷たく言い放ちあしらおうとしたが洸夜の一言で日和は急いで洸夜の口を塞ぎ、睨みつけた。
「あんた、余計な事言ったら許さないわよ」
目元を緩ませてうんうんと頷くので口から手を離す。スッと近づいてきた洸夜の口から日和にしか聞こえない声量で「俺たちだけの秘密だな」と囁いた。
洸夜の生暖かい吐息が耳に当たりゾクリと背筋が震えた。昨日の事がフラッシュバックし、下腹部がキュンとする。
「っ……!」
誰にも気付かれないよう日和は冷静を装った。
「今日はどのようなご用件でしょうか?」
「あぁ、じゃあ、店長を呼んでもらえるか。俺はビジネスの話を今日はしに来たんだ。日和の作ったここのケーキをこれからうちの会社で使いたいと考えているから」
「え? 結婚相談所で?」
日和は首を傾げた。
あぁ、でも確かに昨日行った時ケーキを出してくれるって言ってた……あ、ケーキ、食べてない……。
ふと食べていないケーキの存在に日和は肩を落とした。
「あぁ、もし受けてくれるならケーキバイキングパーティーなどを開いて会員同士の出会いの場にしたいと思ってさ、お互いにいい話だろう?」
「まぁ……」
それは確かに良い話だ。実際のところケーキ屋はケーキをたくさん売ってなんぼな所がある。経営が厳しいとかではないが、シュガーベールのケーキを宣伝する良い機会にもなるし、多分この話を健にしたら秒速OKが出そうだ。
「そうですか。じゃあ今呼んできますね」
日和は厨房にいた健を呼び、洸夜と健はスタッフルームへと消えていった。その姿を見送り、どっと疲れが出る。
はぁ、なんなのよ。もう関わりたくないのに。
長い溜息が絶え間なく溢れ出す。
「ひーよーりー」
ワクワク、何あのイケメン、どんな関係?
と、もう綾乃の聞きたい事が顔にしっかりと書いてある。
「あ~、昨日勢いで結婚相談所に行ったんだけどそこの社長みたい」
キャーと女子高校生のような黄色い声で「御曹司じゃん、玉の輿じゃん」なんて一人テンション上がっている。
「そんなんじゃないよ」
御曹司だろうと、玉の輿だろうと変態ヤリチン野郎は無理。断固拒否!
金輪際関りたくなくて、スタッフルームから聞こえてくる声に耳を立てる。
「では、さっそく宜しくお願いしますね」
「もちろん。全力を尽くさせてもらいますよ〜」
日和はズーンっと肩を落とした。
……やっぱりこの話は成立すると思った。
満足げな洸夜と、嬉しそうな健がスタッフルームから戻ってくると「契約成立だ」と洸夜が日和に向かって嬉しそうな優しい笑顔を向けた。
「なっ……!」
ドキンと心臓が高鳴る。
な、なによ。嬉しそうな顔しちゃって……。
不意に見せられた笑顔に胸がドキンとしてしまったのは、意地悪な笑顔ではなく、優しい笑顔だったから、ただそれだけだ。そう日和は自分に言い聞かせた。
「日和の作るケーキはどれも最高に美味しいからな。きっとこの企画は成功すると思う」
洸夜はショウケースをキラキラした瞳で見渡している。
「美味しいって、貴方は私の作ったケーキ食べた事ないですよね?」
日和はキッと洸夜を睨みつけた。その場凌ぎのお世辞ならいらない。毎日丹精込めて作っているケーキだ。食べていないのに美味しいと言われるのは嫌な気持ちになる。
「あるに決まってるだろう。秘書に何度も買いにこさせていたからな。日和の作ったザッハトルテが俺の一番のお気に入りだ」
ふふん、と自慢げに話す洸夜。ザッハトルテは日和がフランスに留学した時に研究して、練習して、自分の思い描くザッハトルテが出来た日和の自信作だ。そのザッハトルテを一番のお気に入りと言われて素直に嬉しいと思えた。
思ったけど……。
「秘書って……何で自分で買いにこなかったのよ」
照れ隠しに洸夜に強くあったってしまう。
「なんでって……好きな人に急に会うとか、て、照れるだろ……」
「……は?」
洸夜は頬を少し赤くして照れている。
え、この男何言ってんの? 照れるって散々あんな事しておいてどの口が言ってんの?
行動が矛盾しすぎている洸夜に日和の頭の中はハテナマークでいっぱいだ。
「じゃあ急だけど来週のパーティーのケーキ宜しく頼むな。仕事頑張れよ」
洸夜は日和の頭をポンポンと軽く叩き嵐のように去っていった。
な、なんなのよ……。
日和は悔しそうに唇を噛む。
「イケメンの頭ポンポンは第三者から見ても胸キュンするわ」
「綾乃……」
第三者じゃない、好きな人と言われ頭をポンポンされた当事者の日和の心臓は何故かバクバクと早く動き、身体が燃えるように熱かった。
ビシッとまとめ上げられたブラウンの髪、ネイビーのスリーピーススーツをサラリと着こなした長身の男。吸い込まれそうな髪色と同じブラウンの瞳。
「よお、来てやったぞ」
「はあ!?」
フンッと得意げにシュガーベールに洸夜が突然現れた。
来てやったぞって何!? この男もしかしてストーカーにでもなっちゃったの?
日和はドンびいた顔で洸夜を見る。
「はあ? って、婚約者の店に来たって良いだろう。それに俺は今日仕事の話をしに来たんだから」
「え、婚約者って日和っ、いつの間にこんなイケメンと婚約してたのよ!」
婚約者と言うワードに綾乃が食いつく。自分が聞きたいくらいだ。婚約者だなんてとんでもない。こいつは変態ヤリチン野郎だ。
「婚約なんてしていないし、こんな人知りません」
日和は真顔で返事を返した。
「おいおい、知らないってあんなに俺たち愛し合って、昨日だって――んんっ」
冷たく言い放ちあしらおうとしたが洸夜の一言で日和は急いで洸夜の口を塞ぎ、睨みつけた。
「あんた、余計な事言ったら許さないわよ」
目元を緩ませてうんうんと頷くので口から手を離す。スッと近づいてきた洸夜の口から日和にしか聞こえない声量で「俺たちだけの秘密だな」と囁いた。
洸夜の生暖かい吐息が耳に当たりゾクリと背筋が震えた。昨日の事がフラッシュバックし、下腹部がキュンとする。
「っ……!」
誰にも気付かれないよう日和は冷静を装った。
「今日はどのようなご用件でしょうか?」
「あぁ、じゃあ、店長を呼んでもらえるか。俺はビジネスの話を今日はしに来たんだ。日和の作ったここのケーキをこれからうちの会社で使いたいと考えているから」
「え? 結婚相談所で?」
日和は首を傾げた。
あぁ、でも確かに昨日行った時ケーキを出してくれるって言ってた……あ、ケーキ、食べてない……。
ふと食べていないケーキの存在に日和は肩を落とした。
「あぁ、もし受けてくれるならケーキバイキングパーティーなどを開いて会員同士の出会いの場にしたいと思ってさ、お互いにいい話だろう?」
「まぁ……」
それは確かに良い話だ。実際のところケーキ屋はケーキをたくさん売ってなんぼな所がある。経営が厳しいとかではないが、シュガーベールのケーキを宣伝する良い機会にもなるし、多分この話を健にしたら秒速OKが出そうだ。
「そうですか。じゃあ今呼んできますね」
日和は厨房にいた健を呼び、洸夜と健はスタッフルームへと消えていった。その姿を見送り、どっと疲れが出る。
はぁ、なんなのよ。もう関わりたくないのに。
長い溜息が絶え間なく溢れ出す。
「ひーよーりー」
ワクワク、何あのイケメン、どんな関係?
と、もう綾乃の聞きたい事が顔にしっかりと書いてある。
「あ~、昨日勢いで結婚相談所に行ったんだけどそこの社長みたい」
キャーと女子高校生のような黄色い声で「御曹司じゃん、玉の輿じゃん」なんて一人テンション上がっている。
「そんなんじゃないよ」
御曹司だろうと、玉の輿だろうと変態ヤリチン野郎は無理。断固拒否!
金輪際関りたくなくて、スタッフルームから聞こえてくる声に耳を立てる。
「では、さっそく宜しくお願いしますね」
「もちろん。全力を尽くさせてもらいますよ〜」
日和はズーンっと肩を落とした。
……やっぱりこの話は成立すると思った。
満足げな洸夜と、嬉しそうな健がスタッフルームから戻ってくると「契約成立だ」と洸夜が日和に向かって嬉しそうな優しい笑顔を向けた。
「なっ……!」
ドキンと心臓が高鳴る。
な、なによ。嬉しそうな顔しちゃって……。
不意に見せられた笑顔に胸がドキンとしてしまったのは、意地悪な笑顔ではなく、優しい笑顔だったから、ただそれだけだ。そう日和は自分に言い聞かせた。
「日和の作るケーキはどれも最高に美味しいからな。きっとこの企画は成功すると思う」
洸夜はショウケースをキラキラした瞳で見渡している。
「美味しいって、貴方は私の作ったケーキ食べた事ないですよね?」
日和はキッと洸夜を睨みつけた。その場凌ぎのお世辞ならいらない。毎日丹精込めて作っているケーキだ。食べていないのに美味しいと言われるのは嫌な気持ちになる。
「あるに決まってるだろう。秘書に何度も買いにこさせていたからな。日和の作ったザッハトルテが俺の一番のお気に入りだ」
ふふん、と自慢げに話す洸夜。ザッハトルテは日和がフランスに留学した時に研究して、練習して、自分の思い描くザッハトルテが出来た日和の自信作だ。そのザッハトルテを一番のお気に入りと言われて素直に嬉しいと思えた。
思ったけど……。
「秘書って……何で自分で買いにこなかったのよ」
照れ隠しに洸夜に強くあったってしまう。
「なんでって……好きな人に急に会うとか、て、照れるだろ……」
「……は?」
洸夜は頬を少し赤くして照れている。
え、この男何言ってんの? 照れるって散々あんな事しておいてどの口が言ってんの?
行動が矛盾しすぎている洸夜に日和の頭の中はハテナマークでいっぱいだ。
「じゃあ急だけど来週のパーティーのケーキ宜しく頼むな。仕事頑張れよ」
洸夜は日和の頭をポンポンと軽く叩き嵐のように去っていった。
な、なんなのよ……。
日和は悔しそうに唇を噛む。
「イケメンの頭ポンポンは第三者から見ても胸キュンするわ」
「綾乃……」
第三者じゃない、好きな人と言われ頭をポンポンされた当事者の日和の心臓は何故かバクバクと早く動き、身体が燃えるように熱かった。
「恋愛」の人気作品
書籍化作品
-
戻ってきた初恋はバラの香り~再会した御曹司の豹変ぶりに困惑しています~-
222
-
【書籍化】勤め先は社内恋愛がご法度ですが、再会した彼(上司)とまったり古民家ぐらしを始めます。-
317
-
嘘と微熱〜甘美な一夜から始まる溺愛御曹司の愛執〜-
93
-
パーティーを追放された俺は、隠しスキル《縁下》で世界最強のギルドを作る-
112
-
【コミカライズタイトル:恋と不眠と小説と】大好きな作家の担当編集になったけど、ワンナイトした男性でした-
57
-
社長、それは忘れて下さい!?-
140
-
馬小屋暮らしのご令嬢嬢は案外領主に向いている?-
39
-
Pessimist in love ~ありふれた恋でいいから~-
444
-
僕は御茶ノ水勤務のサラリーマン。新宿で転職の話をしたら、渋谷で探索者をすることになった。(書籍版・普通のリーマン、異世界渋谷でジョブチェンジ)-
4

コメント
-

1
コメントを書くせいとも
私もキュンキュンする〜