一途な淫魔の執着愛

森本イチカ

ーー5ー洸夜side

 祝! 素人童貞卒業おめでとう俺!


「夢で抱く日和も可愛いけどそれ以上にリアルの日和は死ぬほど可愛かったっ!!! なんなのあの生き物!? 白くてちっちゃくて肌が綺麗で柔らかくて、凄く甘い味がして……とにかく最高すぎたわ!」


 一人取り残された社長室で洸夜はソファーに座りながら悶えた。


 ……ヤリチン野郎とか言われて逃げられちまったけど、あんなに顔真っ赤にして照れて、夢の中の素直な日和も可愛いけど、照れ屋な日和も可愛いなぁ。


「日和に淫魔だってことをカミングアウトしたげど理解してるのか……」
 

 うーん、と顎に手を当てて唸った。


 洸夜は生まれた時から淫魔だ。母親が淫魔で父親は普通の日本人。淫魔と日本人との子供は大抵淫魔が産まれる。けれど淫魔だからと言って子供の頃から人間の精気を吸わなければ生きていけない訳では無い。子供の頃は普通の食事だけで栄養は賄えるし、淫魔だからと言ってむやみに異性を誘うフェロモンは出たりもしない。というよりも自分自身で制御できるからだ。だから淫魔として生まれても普通の子供のように何一つ困る事なく育てられてきた。


 だが、どうしても大人になると食事だけでは賄えなくなり、夢に入って精気を吸ったり、本当にセックスをして精気を吸ったりするが、吸うと言うより性的欲求を満たしてもらうって感じの方が自分は近いような気がする。


 洸夜は日和以外の夢に入った事もなければ他の女とセックスをした事も無い。


「あ〜本当日和が可愛すぎてつらいわ」


 日和の匂いが残ったソファーにもたれこみスーハァーっと残り香を吸い込むように息を吸う。


 あ〜本当良い匂いだ。やば、日和の匂いだけで勃つわ。


 スーツのチャックを下ろし、徐に勃ち上がった男の性を出す。


「はっ、日和……好きだ……日和……」


 先端から溢れ出す透明な液体が纏わり付いてぬちゃぬちゃといやらしい音を出す。動かす手が止められない。


「日和……ずっと、ずっと好きなんだ……くっ……」


 洸夜は五歳の時からずっと日和の事だけが好きだった。


 洸夜は五歳の時に母親に捨てられた。理由は未だに……分からない。


『お母さん、買い物に行ってくるから少しの間お留守番宜しくね』


 そう言って大きな荷物を持った母親はその日帰ってくる事は無かった。


 泣いて、泣いて、声が枯れるまで泣き尽くした頃に父親が仕事から帰ってきた。


 父親にどうしてなんだ、なんでなんだと五歳ながらに母親が出て行った事に気づき問い詰めたが教えてくれる事はなかった。日を改めて聞いても母親の話を出すと機嫌の悪くなる父親、いつの頃だったか聞くのをやめた。いや、もう聞く事を諦めたに近かった。


「あ……くっ……ひ、より……」


 キスしてぇ、日和の甘い匂いを存分に嗅いで、日和の柔らかい胸を揉みまくって、熱いアソコに俺のを腰が砕けるまでぶち込みたい……。


 母親が急に居なくなり父親は仕事が忙しい事を理由に洸夜に家政婦をつけて、幼稚園の迎えも家政婦、食事を用意してくれるのも家政婦、けれどどれも業務的で五歳の洸夜にはストレスだった。


 家政婦に公園に行きたい、と言ってたまたま連れてきてもらった近所の公園。よく母親と二人で手を繋ぎ歩いてきた公園だ。遊具もブランコと滑り台しかないような小さな公園だった。それでも母親と一緒に落ち葉を集めて遊んだり、ブランコに乗って後ろを押してもらったり、滑り台から滑る洸夜を見て「凄い! 早い!」と手を叩いて喜んでくれたり、小さな公園でも、母親と二人で凄く楽しかった。楽しかったのに、どうして俺を置いて居なくなったんだよ……ずっと我慢していた涙がそこにいない母親を思い出してしまい溢れ出す。幼い瞳はたくさんの涙で視界を掠めた。


『なんで泣いてるの? 大丈夫?』


 突然女の子に話しかけられ慌てて涙を手で拭う。五歳の男の子でも女の子に涙を見られるのは嫌だった。


『な、なんでもねぇよ……』


『そっか……じゃあ元気になるまで日和とお話ししよ』


『べ、別に元気がない訳じゃないからな』


『そっかそっか、ねぇ、お絵かき好き?』


 木の枝を持ってきた日和は徐に地面に絵を描き始めた。


『はい、ニコニコ笑顔の〜名前なんて言うんだっけ?』


『オレ? 洸夜だけど』


『ニコニコ笑顔のこうやくーん!』


 日和が地面に書いた絵はニコニコ笑っている洸夜の似顔絵だった。お世辞にも上手いとは言えない似顔絵だったが洸夜は凄く嬉しかった。目がにっこりと一本線で書かれた顔。自分のために書いてくれたことが、五歳の日和の優しさが、ギュッと心臓を締め付けるくらい嬉しかった。


『に、似てねぇし』


『似てると思ったけどなぁ。じゃあこうやくん、ブランコで遊ぼう!』


 洸夜と日和は日が暮れる直前まで二人で遊んだ。


「はっ、あの時の日和は天使みたいに可愛かったな……くっ、あーやばッ」


 せり寄せる波に手の動きが速くなる。


 ……あの後公園に何度行っても日和には会えなかったんだよな。


コメント

  • せいとも

    ハーフなのね〜

    1
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