一途な淫魔の執着愛

森本イチカ

ーー4ー3

 バチリと視線がぶつかり合い色素の薄い瞳に吸い込まれそうになる。


「っ……!」


 パチンッと金縛りにあったかのように身体が動かない。


「え……んんっ……んぅっ」


 頭を掻き抱かれ強引に奪われた唇。熱くて、柔らかくて、熱で溶かされて呑み込まれてしまいそう。


 強張っていた身体はどんどん蕩けはじめ頭も身体もジンジンと痺れてきた。頭ではダメだと、ヤバイやつだと分かっているはずなのに、何故か身体は洸夜の舌に答えてしまう。


「んぅ……はぁ……」


 一度離れた唇、まだキスされているような感覚が残っている。


 なんだろう、こんな身体の芯まで溶かされてしまいそうなキスはしたことが無いはずなのに、なんだか洸夜の唇の熱と柔らかさを知っているような気がした。


「ああ、可愛い。日和の唇がこんなにも俺に応えてくれるんだ、もう思い出しただろう?」


 日和の頬に手のひらを当て優しく包み込む。目を細めて日和の顔を見る洸夜の表情はひどく優しく、穏やかだ。


「あ……えっと……」


 全く思い出せない。こんなイケメンどこで会ったんだろう。茶色の髪に茶色い目、高い身長に、低くてよく響く声。


「お前は俺だけに抱かれてろって言っただろう?」


 洸夜は日和の耳もとで囁いた。


「っ……、抱かれ……あーーーっ!!!」


 日和は背筋をピンっと伸ばし、叫び声に似た大きな声を張り上げた。


 お前は俺だけに抱かれてろって、聞き覚えがある! でもそんな夢みたいなこと、いや、夢の中の話なんだけど、え? まって、どういうこと?


 驚きと動揺でズザザとソファーから後退りしようとしたところを「離れんなって」と腰を抱かれ引き戻された。


「その様子だと、思い出した?」


 洸夜は嬉しそうに口角を上げて日和の顔を覗き込んでくる。夢では目元がはっきりと見えていなかったがそれ以外は似ている、いや、似ているどころか不感症の日和が感じてしまうのは夢の男だけ。でもそんなことって……。


「ありえない……」


 日和は小さく呟いた。


「まだわかんねぇの?」


「え、あっ、ちょっと!」


 日和の身体をすっぽりと洸夜は包み込み、また耳元で囁いた。


「ありえなくないから今ここで確証させてやるよ」


「んっ……」


 低くて響く声が媚薬のように全身熱くを巡っていく。


「な、なに言ってんのよっ、あのねぇ! んんっ、ちょっとっ」


 唇にちゅっ。


「日和」


 頬にちゅっ。


「会いたかった」


 額にちゅっ。


「好きだ」


 最後の言葉にドキンと胸が高鳴る。こんなに真剣な表情で、声で好きだなんて言われたのは生きてきた中で初めてかもしれない。ブラウンの瞳は真っ直ぐに日和を見つめる。少しの濁りもなく、真っ直ぐだ。


「あの……んんっ……」


 塞がれた唇の隙間から甘い声が漏れる。


 やだっ、この声私? キスがこんなに気持ちいなんて……。


 柔らかな洸夜の舌が日和の舌に絡みついては離さない。


「んっ……ふっ……」


 離さない、そう強く言われているような気になってしまいそう。


 洸夜のスラリと長い指が日和のニットを捲りあげる。露わになる肌にキスで溶けかけていた思考がハッと戻ってきた。


「やだっ、恥ずかしいからやめて! っきゃっ!」


 服を戻そうと手を伸ばすが逆に押し倒されてしまった。背がソファーにつき、洸夜が覆い被さっている。


「恥ずかしくなんかない。こんなに綺麗なんだから、それにもう俺はお前の身体で知らないところは無い」


 グイッと更にニットを捲りあげられた。


「ほら、こんなに真っ白な肌、吸い付きたくなる」


 日和に覆い被さった洸夜の吐息が胸に当たる。


「っつ……や、だ……」


 生温かい息が当たるだけで身体がビクリと反応してしまう。


「やめてあげない」


 ちゅうっと膨らみに吸いつかれ、チリっと痛みが走った。


「ほーら、こんなに俺のだって印が綺麗についた。もっとつけたくなるな……」


「ひゃあっ」


 視線を下にずらすと胸元にはキスマークがしっかりとついている。


「あぁ、本当に可愛い、すげぇ甘い匂いが日和からプンプンする」


 甘い匂いって何!? 香水はつけていないしっ。でも……。


「あんっ……きも……っつ」


日和はこの状況に困惑しつつも気持ちいいと感じてしまっている自分に驚いた。


 な、何言おうとした!? やだっ!


 自然と口から気持ちいいと声に出してしまうところで言葉を飲み込んだ。


コメント

  • せいとも

    キャー、夢じゃなくて実在するの?!

    1
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