「離婚して欲しい」と言われましたので!
36.兄の助言2
『どうやら晃司君は初恋に夢中のようだ』
お兄様はいつの間にか入手していた婚約者の浮気相手の写真を見せてくださいました。写真の横には家族構成などを記した資料が載せられています。写真に写っている女性は、特に美人という顔立ちでもなく、どちらかと言うと可愛らしいタイプの女性でした。笑顔が素敵という印象で、こう言っては何ですが『いつも笑顔を絶やさない』『純真』な少女に思えました。しかし、お兄様が何を伝えたいのか……。さっぱり分かりませんでしたわ。
唯一解ったことは、私は婚約者に好みのタイプではないと言われたようなもの。最近の彼の言動に不信感を抱きましたが、こうまで堂々と不貞行為を働かされますと逆に感心してしまいます。普通はもう少し隠すでしょうに……。
お兄様は、いつも私の相談に乗ってくださいました。
とても感謝していますわ。お兄様がいなければ私は愚かな女に成り果てていたでしょう。ですが……。
花の17歳にして既に恋愛事に関して興味を失ってしまった理由は、お兄様の助言と、婚約者の行動のせいです。ええ、これは間違いないと断言できますわ。
私だって人並みに恋がしたかったのに……。
勿論、相手は婚約者である鈴木晃司様と――
お兄様には内緒ですが、私の初恋は晃司様でした。
淡い想いは、現実を直視した時点で消え失せてしまいましたが……。
この浮気に激怒なさったお父様が再三に渡って鈴木家に「婚約解消」を提案しましたが、あちらはその都度、土下座されて「息子には言い聞かせます」「今だけです」と頼み込むような事態にまでなり、お父様は「ふざけるな!」とかなりキレておいででした。
怒る理由は分かりますわ。
あちらが「どうしても」と頼むため、婚約を許したのですから。
『話し合いはまだ決着が付かないみたいだ。桃子の短大卒業も間近だ。どうだろう、いっそ日本を離れてみるかい?』
『よろしいのですか?』
『勿論、花嫁修業と言っておけば鈴木家も何も言ってこないさ』
『では、そうさせて頂きますわ』
お兄様の提案で、私はイギリスに二年間留学する事になったのです。
私の考えではこの二年間で鈴木家と決着が付くものだとばかり思っていましたわ。まさか、晃司様が最愛の恋人とあっさり別れを選ばれるなど思ってもみなかったのです。
『いいかい、桃子。晃司君と結婚生活を円満に送るためには彼の三歩後ろを歩かないといけないよ。彼はどうやら無意識な男尊女卑のようだからね。桃子が自分よりも優秀だと知れば、彼は良い顔をしないだろう。場合によっては桃子を貶める発言や言動をしてくるかもしれない。それこそ結婚してからならどうとでもなると思っているだろうからね。自分が出席したくないパーティーや集まりなどを桃子一人に押し付けてくるかもしれない。パートナーが必須の集まりでさえも欠席して、さも桃子が悪いと言わんばかりの態度を周囲に取り、同情を得るだろうね。だからね、桃子。決して彼より目立ってはいけない。前に出てはいけない。影ながら支えるようにするんだ。晃司君を矢面に立てさせるんだよ、いいね』
お兄様の助言に従って良かったですわ。
あちらは勝手に自滅してくださいましたもの。
お陰で、悪縁と縁切りでき、良縁を結ぶことができました。
私はこの春に結婚します。
お相手はドイツ貴族の血を引く男性。
まさか彼と結婚するなんて考えてもいませんでした。その前に、彼がそんなに『すごい方』だとは知らなかったのです。名前は勿論知っていましたわ。世界に名だたる投資家ですもの。メディアに一切出ない、経歴も謎に包まれた投資家。
そのような方が何故、我が家で運転手をなさっていたのかしら?
本当に謎ですわ。
お兄様はいつの間にか入手していた婚約者の浮気相手の写真を見せてくださいました。写真の横には家族構成などを記した資料が載せられています。写真に写っている女性は、特に美人という顔立ちでもなく、どちらかと言うと可愛らしいタイプの女性でした。笑顔が素敵という印象で、こう言っては何ですが『いつも笑顔を絶やさない』『純真』な少女に思えました。しかし、お兄様が何を伝えたいのか……。さっぱり分かりませんでしたわ。
唯一解ったことは、私は婚約者に好みのタイプではないと言われたようなもの。最近の彼の言動に不信感を抱きましたが、こうまで堂々と不貞行為を働かされますと逆に感心してしまいます。普通はもう少し隠すでしょうに……。
お兄様は、いつも私の相談に乗ってくださいました。
とても感謝していますわ。お兄様がいなければ私は愚かな女に成り果てていたでしょう。ですが……。
花の17歳にして既に恋愛事に関して興味を失ってしまった理由は、お兄様の助言と、婚約者の行動のせいです。ええ、これは間違いないと断言できますわ。
私だって人並みに恋がしたかったのに……。
勿論、相手は婚約者である鈴木晃司様と――
お兄様には内緒ですが、私の初恋は晃司様でした。
淡い想いは、現実を直視した時点で消え失せてしまいましたが……。
この浮気に激怒なさったお父様が再三に渡って鈴木家に「婚約解消」を提案しましたが、あちらはその都度、土下座されて「息子には言い聞かせます」「今だけです」と頼み込むような事態にまでなり、お父様は「ふざけるな!」とかなりキレておいででした。
怒る理由は分かりますわ。
あちらが「どうしても」と頼むため、婚約を許したのですから。
『話し合いはまだ決着が付かないみたいだ。桃子の短大卒業も間近だ。どうだろう、いっそ日本を離れてみるかい?』
『よろしいのですか?』
『勿論、花嫁修業と言っておけば鈴木家も何も言ってこないさ』
『では、そうさせて頂きますわ』
お兄様の提案で、私はイギリスに二年間留学する事になったのです。
私の考えではこの二年間で鈴木家と決着が付くものだとばかり思っていましたわ。まさか、晃司様が最愛の恋人とあっさり別れを選ばれるなど思ってもみなかったのです。
『いいかい、桃子。晃司君と結婚生活を円満に送るためには彼の三歩後ろを歩かないといけないよ。彼はどうやら無意識な男尊女卑のようだからね。桃子が自分よりも優秀だと知れば、彼は良い顔をしないだろう。場合によっては桃子を貶める発言や言動をしてくるかもしれない。それこそ結婚してからならどうとでもなると思っているだろうからね。自分が出席したくないパーティーや集まりなどを桃子一人に押し付けてくるかもしれない。パートナーが必須の集まりでさえも欠席して、さも桃子が悪いと言わんばかりの態度を周囲に取り、同情を得るだろうね。だからね、桃子。決して彼より目立ってはいけない。前に出てはいけない。影ながら支えるようにするんだ。晃司君を矢面に立てさせるんだよ、いいね』
お兄様の助言に従って良かったですわ。
あちらは勝手に自滅してくださいましたもの。
お陰で、悪縁と縁切りでき、良縁を結ぶことができました。
私はこの春に結婚します。
お相手はドイツ貴族の血を引く男性。
まさか彼と結婚するなんて考えてもいませんでした。その前に、彼がそんなに『すごい方』だとは知らなかったのです。名前は勿論知っていましたわ。世界に名だたる投資家ですもの。メディアに一切出ない、経歴も謎に包まれた投資家。
そのような方が何故、我が家で運転手をなさっていたのかしら?
本当に謎ですわ。
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