最強の後輩は義妹の奴隷をしてる俺がお気に入り〜ざまぁさせたい後輩としたくない俺〜
04 後輩の襲来
そして迎えた昼休憩。
さすがに胃が痛くなりそうなので、どこか人のいない場所へと退避しよう。
うん、そうだよ、久しぶりの自由じゃないか。
好きなところで好きなように出来る。これを満喫しないワケにはいかないだろ。
まぁ自由の代償に随分胃に悪い環境にはなったけども。
しかし今日はとことん俺に優しくない日らしい。
「ね、ねぇ秋…」
バァン!と扉が勢いよく開いた。
何やら直前に誰かの声が聞こえた気がしたが、確かめる方法も余裕もない。
「あはぁ……聞きましたよぉ?」
なんせ開いた扉の奥から、学校随一の問題児が現れたのだから。
「うげぇ……出た…」
「……真織」
嫌そうに呟く陽奈と、神妙に名を呟く星川さん。
それ以外の生徒達は普段は快活な彼女が放つ異様な雰囲気に気圧されたのか、全員口を閉じて身動きひとつとろうとしない。
まぁ気持ちはわかる。
何度もこいつと対峙した……させられたから分かるようになった、こいつのちょっとした機微。
笑顔の下に色々と隠すこいつはーーその恐ろしい底知れなさだけじゃなくーー時には怒りや不満だって隠す事がある。
つまりいつもの笑顔は、時に周りへの配慮でもある……と思う。
ところが、今の目の前のこいつはどうだ。
誰が見てもーー陽奈は除くーー分かるくらいに迸る感情。
かろうじて口の形だけは笑顔だが、いつもと違って目が一切笑ってない。それが余計に怖い。
「ふぅん……みーんな、だんまりですねぇ」
ちなみにこれまでの経験からひとつ分かるようになったのは、こいつが悪戯を仕掛けようとする時だ。
いやまぁシャレにならん悪戯ばっかされたせいで察知能力がね。嬉しくはない。
とにかくだ。今それを察知したワケで。
ただでさえ俺の学校生活がどう転ぶかのデリケートな時期だってのに、こいつにトドメを刺されたらマジでちょーやばい。やばすぎてやばい。語彙力もやばい。
「おい待っ」
「飼い主さん?もうせんぱいはいらないって事でいいんですかねー?」
間に合わずぅ!
どう仕掛ける気かは分からないが、こいつ相手に陽奈では良いように転がされるだけなのは確定してる。姫様マジちょろいもん。
「そうだけど。なに、文句あんの?」
「いーえー?文句なんてなーんにもないですよー?あはっ」
途端に先程までの底冷えしそうな笑顔から一転、誰もが目を惹かれそうな可愛らしい笑顔へと変わる。
周囲もそれを見てホッとしたように顔を綻ばせたり、男子に至っては見惚れてまでいる。
だがしかしだ。
俺の対星川妹へと警戒はいまだに大音量で鳴り続けている。というか今尚強くなってる。
同じ予想に至ったのは姉の星川さんくらいで、彼女だけが微かに怪訝そうに眉を寄せていた。
そして俺と星川さんの予想は当たる事となる。
「じゃーあー、あたしが拾っても問題ないですよねー?」
『は?』
なんとも唐突な悪戯娘の爆弾発言に、教室中から短くもこれ以上なく明確な疑問が飛んだ。ついでに完全に空気が死んだ。
これには慣れてきた俺や、姉の星川さんまで硬直してしまう。
「は、はぁあ?なんでアンタなんかにこいつをあげなきゃいけないワケ?」
ここで空気も読まず疑問に固まる事もない陽奈はある意味ですごいと思う。
「何言ってるんですかぁ?あげるもらうとかじゃなくて、いらなくなって落ちてたものを拾うだけですよー?今言ったのも一応伝えてあげただけですしぃ?」
「ぐっ…!」
ナチュラルな物扱いにイラっとしてやっと我に返れたわ。
ていうか姫様よっわいですね。カウンター一発KOってあんた。
ザワザワと騒がしくなり始めた教室。
あー……まずいな。
好き勝手されたらどう転ぶか分からないし、鎮静を図ろうと立ち上がる。あとついでに文句の一つや二つ言ってやる。
「真織、落ち着きなさい」
しかし、俺よりも早く凛とした声が教室に染み渡った。
にわかに騒がしくなり始めていた教室が再び見事に鎮まる。
その声の持ち主は、言うまでもなく学年の頂点に立つ女神、星川さんのものだ。
「あたしは落ち着いてるよー、お姉ちゃん。それとも慌ててるように見えるかなぁ?」
しかしさすが妹というべきか、それとも問題児と呼ばれる胆力というべきか。
平然と姉の静かな言葉を受け止めた上で、どこか挑発的にも見える表情すら見せて返してみせる。
てか待って?俺まだ文句も言えてないの。当事者なのに。
「慌てていなくても怒ってるでしょうに。それに、別に真織が動かなくても私に考えがあるわ」
「へー?珍しぃー!お姉ちゃんがわざわざ動くの?でも大丈夫、あたしに任せていーよ?」
「真織だとどうせ余波が酷いのでしょう?私が適任だと思わない?」
「あはははっ、思わなーい!だってぇ、今回はむしろその余波が必要だと思わない?むしろあたしの方が適任だってばー!」
「あなたね……。はぁ、それを本人が望んでいるとでも?」
「んーん?でも………だからこそ、だよ」
「へぇ………あなたらしくない発言ね」
待って待って待って!だんだんと空気が重くなってるから!
特にお互い最後の一言とかトーン2つくらい落ちてましたよ?怖いって!
間違いなく我らが教室で過去一番重苦しい雰囲気に包まれる中、星川姉妹はお互い薄く微笑む。
うっわぁ……妹が見た目天使の皮をかぶった悪魔なのは知ってたけど、姉も物静かなクールの下にこんなえげつない刃を隠してたんすね…。
珍しく陽奈まで固まってるし、唯一仲介できそうな王子様の雨森さんも気圧されてるようで動こうとしない。他は当然硬直してる。
……となると、奴隷の仕事になってしまうワケで。ホントこの奴隷根性を誰か褒めて欲しいです。
そっと溜息をこぼしながらスタスタと星川妹に向かって歩く。
周りから困惑やら疑問等の様々な感情がこもる視線を向けられるのが分かるが、あえて無視。
姉から俺へ視線を移した星川妹は「へ?」と珍しくキョトンと本当に驚いた顔で俺を見上げていた。……こうしてると可愛いんだけどな。
そんな星川妹の前まで歩いて……
「ぅひゃあっ?!」
ガシッと肩を掴んだ。
「えっ、え、えぇっと、せ、せんぱい?」
これまた珍しく本気の狼狽を見せる星川妹。
普段ならいつもの仕返しに茶化してやりたいとこだが、今はそれよりも大事な事がありすぎる。
「いい加減にしとけアホ。昼休憩の初っ端から暴れやがって。見ろ、誰も昼飯食えてねぇだろ」
「え、えっ?そこですかせんぱい?」
「俺も腹減ったんだよ……ただでさえ胃に悪い一日だから余計にな」
「それ普通は喉を通らなくなるパターンですよね」
「はいはい、屁理屈と我儘はまた後でね」
「いやこれ正論……ってちょ、ひゃあっ!せ、せんぱいっ?!」
口の減らない後輩の肩をぐるんと反転させ、こちらに向いた背中をぐいぐいと押して教室から出る。
「むぅー……もーせんぱいぃ、まだお姉ちゃんとの話がついてないんですけどー?」
廊下に出たところで追い出されたと気付いたらしい星川妹が、肩越しに見上げながら頬を膨らませる。
その顔はいかにも不満を訴えているが、先程までの底知れないナニカは見えない。
つまりは、いつも通りのこいつだ。内心安堵する。
「はいはい、後でっつったろ。俺も飯食いたいし、どの道教室じゃ無理な雰囲気だったし、このままどっかで食うわ」
「へ?あっ……も、もしかしてあたしを誘ってるんですかぁ?」
「いや、もう教室は脱出できたし用済み。じゃあな」
「…………あっ!逃げる為にあたしを使ったんですかせんぱーい?!」
あ、バレた。
いや元からどっか人のいないとこ探して食べるつもりだったしね。
それなのにいきなり暴れ出したこいつが悪いし、だったら役に立ってもらおうかなと。
「もー!ひどいですよー!噂を聞いてわざわざ助けに来てあげたのにー!」
「はぁ?嘘つけぇ。姉妹同士の主語抜き会話のせいか詳しくは分からんかったが、余波が必要だとか物騒な事言ってじゃん。どうせまた掻き回して遊ぶ気だったんだろ?」
「ちがいますー!……こほん。せんぱいの為だけにぃ、あたしが一肌脱ごうかなぁって…」
「わざとらしくしおらしい喋り方すんな、ウケる」
「色々失礼すぎますよ?!」
つーか結局着いてくるのね君……。
まぁいいけど。むしろまたあの後教室に突撃されたら教室の生徒らに役立たずだって睨まれそうだし。
横できゃいきゃい騒ぐ後輩に適当に相槌を打ちながら静かな場所を探す。
「なぁ、どっか人目がないような場所とかない?」
「んー、どうなんですかね。そんなに大きな学校でもないですしー……思いつかないですねぇ」
「えぇ……お前ヤンキーだろ?サボり場所とか用に知ってるかと思ったのに」
「んなっ?!ヤンキーじゃないですよー!成績も優秀ですしぃ!……むぅ、分かりましたよ。今からどっかの教室行って全員追い出してやります」
「なるほど、そしたら人目のつかない場所の出来上がり……って追い出す時点でむしろ大注目だろ。俺が悪かったからやめてください」
とまぁ廊下をちんたら歩きながら「意外と無いもんだなぁ」とか話していると……不意に背後から声がかかった。
「良い場所を知ってるわ。ついてきて」
「「………へ?」」
いつの間にか背後に立っていたのは女神にして横に立つ後輩の姉である、多分学校一の有名人ーー星川さんだ。
突然の出現に思わず俺と後輩は目を丸くして振り返る。
てか何この神出鬼没姉妹。どんなご家庭の教育されてるの?
さすがに胃が痛くなりそうなので、どこか人のいない場所へと退避しよう。
うん、そうだよ、久しぶりの自由じゃないか。
好きなところで好きなように出来る。これを満喫しないワケにはいかないだろ。
まぁ自由の代償に随分胃に悪い環境にはなったけども。
しかし今日はとことん俺に優しくない日らしい。
「ね、ねぇ秋…」
バァン!と扉が勢いよく開いた。
何やら直前に誰かの声が聞こえた気がしたが、確かめる方法も余裕もない。
「あはぁ……聞きましたよぉ?」
なんせ開いた扉の奥から、学校随一の問題児が現れたのだから。
「うげぇ……出た…」
「……真織」
嫌そうに呟く陽奈と、神妙に名を呟く星川さん。
それ以外の生徒達は普段は快活な彼女が放つ異様な雰囲気に気圧されたのか、全員口を閉じて身動きひとつとろうとしない。
まぁ気持ちはわかる。
何度もこいつと対峙した……させられたから分かるようになった、こいつのちょっとした機微。
笑顔の下に色々と隠すこいつはーーその恐ろしい底知れなさだけじゃなくーー時には怒りや不満だって隠す事がある。
つまりいつもの笑顔は、時に周りへの配慮でもある……と思う。
ところが、今の目の前のこいつはどうだ。
誰が見てもーー陽奈は除くーー分かるくらいに迸る感情。
かろうじて口の形だけは笑顔だが、いつもと違って目が一切笑ってない。それが余計に怖い。
「ふぅん……みーんな、だんまりですねぇ」
ちなみにこれまでの経験からひとつ分かるようになったのは、こいつが悪戯を仕掛けようとする時だ。
いやまぁシャレにならん悪戯ばっかされたせいで察知能力がね。嬉しくはない。
とにかくだ。今それを察知したワケで。
ただでさえ俺の学校生活がどう転ぶかのデリケートな時期だってのに、こいつにトドメを刺されたらマジでちょーやばい。やばすぎてやばい。語彙力もやばい。
「おい待っ」
「飼い主さん?もうせんぱいはいらないって事でいいんですかねー?」
間に合わずぅ!
どう仕掛ける気かは分からないが、こいつ相手に陽奈では良いように転がされるだけなのは確定してる。姫様マジちょろいもん。
「そうだけど。なに、文句あんの?」
「いーえー?文句なんてなーんにもないですよー?あはっ」
途端に先程までの底冷えしそうな笑顔から一転、誰もが目を惹かれそうな可愛らしい笑顔へと変わる。
周囲もそれを見てホッとしたように顔を綻ばせたり、男子に至っては見惚れてまでいる。
だがしかしだ。
俺の対星川妹へと警戒はいまだに大音量で鳴り続けている。というか今尚強くなってる。
同じ予想に至ったのは姉の星川さんくらいで、彼女だけが微かに怪訝そうに眉を寄せていた。
そして俺と星川さんの予想は当たる事となる。
「じゃーあー、あたしが拾っても問題ないですよねー?」
『は?』
なんとも唐突な悪戯娘の爆弾発言に、教室中から短くもこれ以上なく明確な疑問が飛んだ。ついでに完全に空気が死んだ。
これには慣れてきた俺や、姉の星川さんまで硬直してしまう。
「は、はぁあ?なんでアンタなんかにこいつをあげなきゃいけないワケ?」
ここで空気も読まず疑問に固まる事もない陽奈はある意味ですごいと思う。
「何言ってるんですかぁ?あげるもらうとかじゃなくて、いらなくなって落ちてたものを拾うだけですよー?今言ったのも一応伝えてあげただけですしぃ?」
「ぐっ…!」
ナチュラルな物扱いにイラっとしてやっと我に返れたわ。
ていうか姫様よっわいですね。カウンター一発KOってあんた。
ザワザワと騒がしくなり始めた教室。
あー……まずいな。
好き勝手されたらどう転ぶか分からないし、鎮静を図ろうと立ち上がる。あとついでに文句の一つや二つ言ってやる。
「真織、落ち着きなさい」
しかし、俺よりも早く凛とした声が教室に染み渡った。
にわかに騒がしくなり始めていた教室が再び見事に鎮まる。
その声の持ち主は、言うまでもなく学年の頂点に立つ女神、星川さんのものだ。
「あたしは落ち着いてるよー、お姉ちゃん。それとも慌ててるように見えるかなぁ?」
しかしさすが妹というべきか、それとも問題児と呼ばれる胆力というべきか。
平然と姉の静かな言葉を受け止めた上で、どこか挑発的にも見える表情すら見せて返してみせる。
てか待って?俺まだ文句も言えてないの。当事者なのに。
「慌てていなくても怒ってるでしょうに。それに、別に真織が動かなくても私に考えがあるわ」
「へー?珍しぃー!お姉ちゃんがわざわざ動くの?でも大丈夫、あたしに任せていーよ?」
「真織だとどうせ余波が酷いのでしょう?私が適任だと思わない?」
「あはははっ、思わなーい!だってぇ、今回はむしろその余波が必要だと思わない?むしろあたしの方が適任だってばー!」
「あなたね……。はぁ、それを本人が望んでいるとでも?」
「んーん?でも………だからこそ、だよ」
「へぇ………あなたらしくない発言ね」
待って待って待って!だんだんと空気が重くなってるから!
特にお互い最後の一言とかトーン2つくらい落ちてましたよ?怖いって!
間違いなく我らが教室で過去一番重苦しい雰囲気に包まれる中、星川姉妹はお互い薄く微笑む。
うっわぁ……妹が見た目天使の皮をかぶった悪魔なのは知ってたけど、姉も物静かなクールの下にこんなえげつない刃を隠してたんすね…。
珍しく陽奈まで固まってるし、唯一仲介できそうな王子様の雨森さんも気圧されてるようで動こうとしない。他は当然硬直してる。
……となると、奴隷の仕事になってしまうワケで。ホントこの奴隷根性を誰か褒めて欲しいです。
そっと溜息をこぼしながらスタスタと星川妹に向かって歩く。
周りから困惑やら疑問等の様々な感情がこもる視線を向けられるのが分かるが、あえて無視。
姉から俺へ視線を移した星川妹は「へ?」と珍しくキョトンと本当に驚いた顔で俺を見上げていた。……こうしてると可愛いんだけどな。
そんな星川妹の前まで歩いて……
「ぅひゃあっ?!」
ガシッと肩を掴んだ。
「えっ、え、えぇっと、せ、せんぱい?」
これまた珍しく本気の狼狽を見せる星川妹。
普段ならいつもの仕返しに茶化してやりたいとこだが、今はそれよりも大事な事がありすぎる。
「いい加減にしとけアホ。昼休憩の初っ端から暴れやがって。見ろ、誰も昼飯食えてねぇだろ」
「え、えっ?そこですかせんぱい?」
「俺も腹減ったんだよ……ただでさえ胃に悪い一日だから余計にな」
「それ普通は喉を通らなくなるパターンですよね」
「はいはい、屁理屈と我儘はまた後でね」
「いやこれ正論……ってちょ、ひゃあっ!せ、せんぱいっ?!」
口の減らない後輩の肩をぐるんと反転させ、こちらに向いた背中をぐいぐいと押して教室から出る。
「むぅー……もーせんぱいぃ、まだお姉ちゃんとの話がついてないんですけどー?」
廊下に出たところで追い出されたと気付いたらしい星川妹が、肩越しに見上げながら頬を膨らませる。
その顔はいかにも不満を訴えているが、先程までの底知れないナニカは見えない。
つまりは、いつも通りのこいつだ。内心安堵する。
「はいはい、後でっつったろ。俺も飯食いたいし、どの道教室じゃ無理な雰囲気だったし、このままどっかで食うわ」
「へ?あっ……も、もしかしてあたしを誘ってるんですかぁ?」
「いや、もう教室は脱出できたし用済み。じゃあな」
「…………あっ!逃げる為にあたしを使ったんですかせんぱーい?!」
あ、バレた。
いや元からどっか人のいないとこ探して食べるつもりだったしね。
それなのにいきなり暴れ出したこいつが悪いし、だったら役に立ってもらおうかなと。
「もー!ひどいですよー!噂を聞いてわざわざ助けに来てあげたのにー!」
「はぁ?嘘つけぇ。姉妹同士の主語抜き会話のせいか詳しくは分からんかったが、余波が必要だとか物騒な事言ってじゃん。どうせまた掻き回して遊ぶ気だったんだろ?」
「ちがいますー!……こほん。せんぱいの為だけにぃ、あたしが一肌脱ごうかなぁって…」
「わざとらしくしおらしい喋り方すんな、ウケる」
「色々失礼すぎますよ?!」
つーか結局着いてくるのね君……。
まぁいいけど。むしろまたあの後教室に突撃されたら教室の生徒らに役立たずだって睨まれそうだし。
横できゃいきゃい騒ぐ後輩に適当に相槌を打ちながら静かな場所を探す。
「なぁ、どっか人目がないような場所とかない?」
「んー、どうなんですかね。そんなに大きな学校でもないですしー……思いつかないですねぇ」
「えぇ……お前ヤンキーだろ?サボり場所とか用に知ってるかと思ったのに」
「んなっ?!ヤンキーじゃないですよー!成績も優秀ですしぃ!……むぅ、分かりましたよ。今からどっかの教室行って全員追い出してやります」
「なるほど、そしたら人目のつかない場所の出来上がり……って追い出す時点でむしろ大注目だろ。俺が悪かったからやめてください」
とまぁ廊下をちんたら歩きながら「意外と無いもんだなぁ」とか話していると……不意に背後から声がかかった。
「良い場所を知ってるわ。ついてきて」
「「………へ?」」
いつの間にか背後に立っていたのは女神にして横に立つ後輩の姉である、多分学校一の有名人ーー星川さんだ。
突然の出現に思わず俺と後輩は目を丸くして振り返る。
てか何この神出鬼没姉妹。どんなご家庭の教育されてるの?
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