魔女が最高層の世界で最下層の男と愛し合ったら 〜最下層のディアレスト〜

星名 泉花

男女を知らない恋【3】

「最近あまりお見かけしておりませんでしたので心配しておりましたわぁ」

「ありがとうございます」

「ところで、それはなんですかぁ?」


冷ややかな目つきでリベルトを一瞥する。


「リベルトよ。私の大切な人なの」

「……大切な人」


口元に手をあててロゼッタは笑い出す。

いつもそうだ。

ロゼッタはエレオノーラを嘲笑う目で見ている。

言葉であからさまな中傷をしないが、エレオノーラを下に見ていた。

身分ではエレオノーラが上でも魔女としてはロゼッタのほうが断然強い。

そして公爵は王族に次ぐ身分であった。


「そうですかぁ。やはりエレナ様はやることが人と違いますねぇ」


エレオノーラに対して容赦なく心に火傷を負わせていく。

笑っているのに、リベルトが目に入ると眉間に皺をよせて嫌悪感をむき出しにした。


「あまり羽目を外しすぎないようお気をつけくださいませぇ。誰が見ているかもわかりませんからぁ」


城内には色んな人が行き交っている。

常に王族は見られている。

その地位に見合うだけの審査の目にさらされている。

つまり、ロゼッタは誰と共にいるかの自由もないのが王族だと言いたいのだろう。

男を連れ回す変人が王族ではと嘆くように愉しんでいた。

もう慣れたもの。

……これが貴族たちのゴシップ好きな姿なのだから。


(私のことは好きに言いなさい。でもリベルトを笑ったら怒るんだからね)

拳を握りしめて、ロゼッタを見返しているとリベルトがそっとエレオノーラの手に触れる。


「エレオノーラ」

「リベルト?」

「部屋、戻ろ? エレオノーラ、冷えちゃう」


心配そうに見つめてくるリベルト。


(あぁ、私怖い顔してたかな?)


そういう顔はあまりリベルトに見られたくないと思ってしまった。

気を取り直し、触れたリベルトの手を掴んでそっと手をつないだ。

このやさしい温度が、強張った心を解かしていく。


「そうね、戻ろうか。……それではロゼッタさん、私たちはここで失礼するわね」


ロゼッタの横を通り過ぎて、リベルトの温度に浸る。

その場を離れていく二人をみて、ロゼッタがどんな風に見ていたかは気にしない。

燃えるような赤髪に反した冷ややかな目でロゼッタは二人の去っていった方を眺めていた。


「魔力が低いから男で遊ぶなんて、愚かな女ねぇ。どこかに閉じ込めておくくらいしていただきたいものだわぁ」


護衛を呼び戻し、歩き出す。

足音の鳴り響く回廊で、ロゼッタは愉悦に浸っていた。


「さすがは白髪の王族。滑稽なお方ですことぉ」


瞳に炎が宿る。

なんの抵抗力もないエレオノーラを焼き尽くそうと、ロゼッタは舌なめずりをして城から離れていった。



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